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「環境のまち」構想着々…梅田北ヤード 2期開発技術支援、アジア重視都心に残る西日本最後の一等地とされるJR大阪駅北側の梅田北ヤードに、関西に集積した環境関連の技術や知識をビジネスに発展させ、アジアに発信する「知の拠点」を整備する構想が固まった。約10年後の街開きを目指す2期開発区域に設ける方針で、大阪市や関西経済連合会などでつくる大阪駅北地区まちづくり推進協議会(会長=平松邦夫・大阪市長)が、2010年度にも具体的な構想を打ち出す。環境配慮型の球技専用スタジアム構想も急浮上し「環境の2期」を前面に出して開発に弾みをつける考えだ。 (戸田博子)
協議会の下部組織として産学官でつくる「2期開発ナレッジ・キャピタル企画委員会」(委員長=西尾章治郎・大阪大副学長)は、2期区域の中核施設として、環境をテーマにした知の拠点「環境ナレッジ」と、関連技術を具体化する「実証フィールド」を整備する構想を固めている。 優れた環境技術をアジアに移転するため、各国市場を分析して事業モデルを立案する「技術移転エンジニアリング機構」、環境技術の基準作りを進める「国際標準化推進機構」などの開設を目指す。国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で提案された「気候変動技術革新センター」の誘致も検討する。 また、アジア各国から留学生を呼び込み、新技術に明るく、国際的な交渉力を持つ人材「環境エリート」を育てる仕組みを整える。 旧国鉄の未処分地・梅田貨物駅の跡地である梅田北ヤードは、24ヘクタールに及ぶ再開発地だ。3月に着工する7ヘクタールの先行開発区域(1期)には、関西に関連企業や大学が集まるロボットや映像をテーマにした「知の拠点」を整備し、12年度下期の街開きを目指す。 2期開発では、関西には太陽電池や充電池、水処理の技術などに優れた企業や大学も多いことから、環境をテーマの柱に据える。 2期用地は17ヘクタールを占めており、日本サッカー協会と大阪市が8万人規模の球技専用スタジアムを建設する構想を打ち上げた。太陽光パネルの設置や壁面緑化を想定しており、「環境」を切り口に2期開発での連携策を探ることになる。 ただ、国や自治体は財政難にあえぎ、経済界も不況に直面している。1期も2期も「知の拠点」計画は検討段階で、1期の目玉とされる「アジア太平洋研究所」さえ、設立するかどうかの判断が先送りされた。 今も誰がどのような形で計画を主導するのか、開発資金をどのように確保するのかは見えていない。北ヤード開発を関西の成長につなげるために、全体の調和がとれた計画の具体化を急ぐ必要がある。 (2010年1月7日 読売新聞)
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