現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. 教育
  4. 大学
  5. 記事

シニアもネットデビューを 専修大でソフト開発中 神奈川

2009年12月21日

写真老人福祉センターの絵手紙教室が終わったあと、参加者に「ほっとリング」への意見を聞く学生ら=川崎市多摩区

 パソコンに不慣れな高齢者でも、写真や趣味の作品をインターネットで簡単に公開できるソフトウエアを専修大学(川崎市多摩区)の3年生11人が開発している。「自宅で趣味を発信し、友人や地域と交流できるものを提供したい」という学生たちは、シニアの意見を採り入れながら実用化を目指す。

 開発中のソフトは「ほっとリング」。趣味の作品や写真をページとして記録し、ネット上に自分だけの本を作ることが出来る。グループでお互いの作品を共有することも。機能はブログに近いが、パソコンが苦手な人でも扱いやすいよう工夫されている。

 このプロジェクトは専修大ネットワーク情報学部の若林祐佳さん(21)ら学生たちの発案。授業の一環として、4月から、老人福祉センターなどで、ヒアリングを重ねた。

 学生たち11人の多くは、ほとんど身近に高齢者がいないため、当初はどんな機能が求められているか、イメージがつかみにくかったという。

 聞き取りを続けるうちに、趣味を楽しむ高齢者は多いが、作品を発表する場所がなかなかないことを知った。もしネットで発表するなら操作が簡単なことや、本のようにアナログ感があり親しみやすいこと、特定の人しか見ることができない機能などが求められていることがわかった。

 橋本綾子さん(21)は、「絵手紙などの作品を人に見せたいけれど、見知らぬ人には見られたくないという思いは、実際に聞かないとわかりませんでした」と話す。

 今月中旬、大学で開かれた発表会には多くの人が訪れた。学生がヒアリングをしている多摩老人福祉センターの絵手紙教室の参加者も来て「写真をパソコンに取り込む作業の説明をしっかり」「取り扱い説明書ということばをもっとやわらかい表現に」など熱心なアドバイスをくれた。若林さんは「シニア前の世代も来て、年をとった時にあったら便利といってくれたのがうれしかった」と話す。

 ソフトの完成はまだ先だが、いずれ川崎市の老人福祉センターなどで使ってもらいたいという。指導する望月俊男講師(32)は「高齢者の生活を豊かにする情報技術はこれから必要になる。地域活動と連携してネットワーク上でも充実した自己表現と学びの場を作り出していきたい」と話している。(斎藤博美)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

[PR]注目情報

ここから広告です

広告終わり

ジャンル別の最新情報はこちら
  • 大学
  • 中学・高校
  • 通信制高校