県、受け入れ合意なし 普天間移設

V字案で防衛省見解 検討委に次回正式報告

2010年1月7日 09時55分
(7時間10分前に更新)

 【東京】政府・与党3党が米軍普天間飛行場の新たな移設先を検討する「沖縄基地問題検討委員会」第2回会合が6日、首相官邸で行われた。2006年5月に稲嶺恵一知事(当時)と額賀福志郎防衛庁長官(同)が交わした「在沖米軍再編に係る基本確認書」をめぐり、防衛省は、名護市辺野古沿岸部に建設するとした現行案(V字形滑走路)で、当時の政府と県が合意したとは言い切れないとの認識を初めて示した。政府側はこれまで同確認書を基に県が現行案を事実上容認したとしていたが、両者の認識の違いを明言した。

 与党関係者によると、防衛省側は「当時の政府としては(両氏が)サインしたから合意と思っている。しかし稲嶺前知事は違うと言っているので、100%合意とは言えないと思う」と説明したという。同省が持ち帰り、12日予定の次回会合までに正式に報告する。

 同省は普天間代替施設案の経緯も説明。(1)キャンプ・シュワブ陸上部のヘリポート案(2)海上ヘリ基地案(3)軍民共用・15年使用期限付きの辺野古沖案(4)L字案(5)今のV字案―の順番で5工法が変遷したことを確認した。

 社民党は、日米両政府が代替施設に不可欠と考える要件(基地機能)を具体的に示すよう要求。旧自公政権時代の移設案について、日米間で提起された地域をすべて明らかにした上で断念した理由を示すよう求めた。鳩山政権発足後の日米による検証結果の開示も求めた。

 平野博文官房長官は、可能な限り資料を提出するよう事務方に指示した。各党から今月中に提示するとされている新たな移設先の具体案は示されなかった。

 国民新党は、普天間移設と在沖米海兵隊のグアム移転協定がパッケージになっているかの確認を求め、外務省が引き取り確認することになった。

 会合後、社民党の阿部知子政審会長は「県民の代表者である知事が、政府案に一貫して賛成していないことを互いに確認できた」と述べた。国民新党の下地幹郎政調会長も「沖縄と日本政府で合意はされていないことが分かった」と話した。

合意はしてない

稲嶺前知事

 2006年の米軍再編に係る政府との基本確認書に合意した前知事の稲嶺恵一氏は6日、「(当時)県は、政府案には合意してはいないとの県民向けのメッセージを発表するなどして、県の立場を一貫して主張してきた」と説明した上で、「行政の立場は、オールオアナッシングでは物事を進めていくことはできない。米軍再編の協議が進む当時の状況の中で、(基本確認書への合意は)ギリギリでベターな選択だった」と振り返った。


« 最新のニュースを読む

写真と動画でみるニュース [一覧する]