先日、日本帰国時に大分での講演会に招待された時の事です。食道楽の私は冬の別府ということもあり喜び勇んで前日入りを決め、お目当ての河豚を食すべく前もって現地の友人に連絡を取っていました。その甲斐あって普段観光ではまず行くことが出来ない様な河豚料理屋を予約していただき、そこで生まれて初めてふぐの肝を頂きました。聞くところによると、日本でも別府だけが公然と頂ける唯一の場所だと知り喜んでいた処、てっさ(ふぐさし)と一緒に何やら黒っぽいパテ状のものが運ばれてきました。「これが肝だよ。たれに溶かしたり、てっさにつけて頂いて下さい。」と言われたのですが、自分が想像していた肝とかなり様子が違っていた事と、やはり新聞記事でたまに見かける河豚の肝を食べたことによる死亡事故が頭をよぎり、最初に手を付けることがどうしても出来ず、たじろいでいた処、さすがはローカルの方々、その肝をたっぷりてっさの身に付け美味しそうに食べているではありませんか。皆さんが食べ終わったのを確認した上で、私は少しだけ肝を取り恐る恐る同じように食べてみるとこれがなんとも美味!その後は話しをするのも忘れ、気づいた時にはひれ酒を3杯もお代わりしていました。
河豚を見てかなり引き気味のSJ先生
その夜、帰りのタクシーでふと去年の冬の出来事を思い出しました。それはUCLAからインプラントの専門医で私の知人でもあるDr. S Jが来日していたときのことです。浦和のH先生の処で講演会の後、ふぐパーティーを開くことになり、そのH先生は下関より立派な天然のトラふぐを取り寄せアメリカから来たドクターに最高のふぐをもてなそうと考えていました。しかし、このS J先生は調理前のふぐを見た瞬間「Poison Fish!」と叫んで、今からこれを食べるのか!というリアクションをとってかなり引いていたのです。その後てっさと白子が、テーブルに並んだときこの先生が顔を引きずらせながら真っ先に発した言葉が、「Tommy! You eat first.」であった。俟っていましたとばかりに私が白子をポン酢で食べてみせ、満面の笑みで「S! This is better than foie gras.」と言ってお皿を差し出したところ、彼も観念したらしく、お箸で一番小さな切り身を選びポン酢を付け恐々口に運びました。「Oh my Goodness! Tommy! This is so good.」と言った後、そこにあった焼酎を勢いよく飲み干していました。後から聞いた話ですが、強いアルコールは解毒になると思って焼酎を一気飲みしていたらしく、この話を聞いた時には、思わず笑い転げてしまいました。しかし、自分が同じシチュエーションになればやはり同じリアクションを取ることが解り、あの日、S J先生の事を見て笑っていた自分にいたく反省をした夜でした。「S 先生ゴメンね!貴方の気持ちが痛いほど解りました。」
日本の冬はロサンゼルスと違い寒さも厳しい分、美味しい食材が豊富にあり、鍋を囲むとみんなHappyな顔になるいい季節ですね。
すばらしいふぐ刺し
この白子最高
白子を食べた後焼酎を一気飲み
鍋を囲むとみんなHappy !