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【しんけん聞きたい】

フグ無届け販売 なぜ多い

2009年03月30日

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「割烹(かっぽう)にしおか」の2代目として店を切り盛りする西岡一雄・大分ふぐ名店会長=大分市都町3丁目

 由布市で起きたフグの食中毒事件をきっかけに、条例で義務づけられた県への届け出をせずフグを販売している店が多いことが発覚した。なぜ無届け販売が横行しているのか。大分市内のフグ料理店13店舗でつくる大分ふぐ名店会の西岡一雄会長(62)に聞いた。(聞き手・野崎健太)

 ――フグを取り扱うには、どんな資格が必要ですか。

 都道府県によって制度が違いますが、県内では県食品衛生協会が開いている講習を受け、「フグ処理者」の資格を取らなければなりません。以前は講義だけでしたが、食の安全への意識が高まったことから、実技講習も導入されました。県条例では、フグを出す飲食店だけでなく、取り扱う鮮魚店にもフグ処理者を置くように義務づけています。

 ――なぜ、無届け販売が多いのでしょうか。

 行政のチェックが甘かったのではないでしょうか。今回、食中毒の発生を受けた調査で、無届けの店が多いことが初めてわかりました。無届け、無資格でフグを出していても食中毒さえ出さなければ行政には分からない、と安易に考えている店が多いということでしょう。

 フグといえば、以前は高級食材でしたが、安い養殖ものや輸入ものが多く流通するようになり、取り扱う店が増えました。養殖ものは安全なエサを与えているから毒がない、といった誤った知識も広まっています。フグには何千という種類があり、それぞれ食べられる部分と食べられない部分が違う。知識のないままに扱うことは、とても危険です。

 ――どうやって食中毒を防げばいいでしょうか。

 流通の拠点である卸市場に、知識のある人が必要です。フグの食中毒は全国で毎年のように起きていますが、資格のある調理師が起こすことは、めったにありません。一般の人が店で買って食べて起きることが多いんです。市場には、持ち込まれたものを何でも流通させるのではなく、安全をチェックする仕組みが必要です。

 食の安全は人命にかかわるのですから、行政によるチェックを厳しくして、違反には罰則を設けることも検討した方がいい。県条例には罰則の規定がありませんが、無届け、無資格などの違反には、行政が厳しく対応することが必要ではないでしょうか。
 ――全国一律の資格制度を求める声もありますね。

 大いに検討してほしい。魚は県境を越えて流通するのに、都道府県によって制度が違うのは、何かおかしい。特殊なものを扱うのですから、国家資格にしてもいいかもしれません。

 ◆フグの無届け販売 由布市のスーパー内の鮮魚店で先月、フグの卵巣を買って食べた男性2人が食中毒で入院した。店は県条例で義務づけられた届け出をせず、フグ処理者の資格のない従業員がさばいていた。県と大分市が調査した結果、県内でフグを扱う鮮魚店245店のうち43店が無届けで、12店はフグ処理者を置いていなかった。

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