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【東京】

拓殖大・長坂教授に『蘭日賞』 オランダモデル日本に紹介

2009年12月26日

「蘭日賞」を受賞した長坂氏(右から2人目)。左から、ハイデン総長、小和田氏、ヒューリック教授=いずれもオランダのライデン大学大講堂で

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◆『NGO研究 評価され光栄』

 拓殖大学(東京都八王子市)国際学部の長坂寿久(としひさ)教授が、日本とオランダの文化・研究・経済関係に貢献した個人や団体に贈られる「蘭日賞」を受賞した。長坂氏は、均等待遇によりパートタイム労働を促進して財政赤字と高失業率を克服したオランダ型ワークシェアリング(労働時間短縮による雇用創出)や、政府・NGO・企業の三者が協働するオランダの社会経済システム「オランダモデル」を日本に紹介したことなどが評価された。日本人の受賞は初めて。(土田修)

 同賞はライデン大学エイリオン財団が二〇〇四年から実施。同大のファン・デル・ハイデン総長らが審査し、二年に一回顕彰している。三回目となった今年は「アカデミック調査」をテーマに長坂氏と同大東アジア芸術・文化部のファン・ヒューリック教授(東洋美術史)が受賞した。

 十六世紀に設立された同大はオランダ最古の大学で、幕末オランダに留学した日本人はここで学んだ。幕末から明治初期の教育者、西周(あまね)がフリーメイスンに入会したときの署名文書も残されている。植物園にはシーボルトが日本から持ち帰った植物が植えられ、アジサイやカエデが茂るシーボルト記念庭園にはブナの巨木の下にシーボルトの胸像が立っている。

 同大の大講堂で催された授賞式で、ハーグ国際司法裁判所長で同大国際関係学教授でもある小和田恒氏が長坂氏ら二人に蘭日賞を贈呈した。

 授賞式で長坂氏は「オランダの社会経済システムは二十一世紀の日本や世界にとって大きな意味がある。民主主義をよりよく機能させるには政府・NGO・企業がパートナーシップを結び、三者による対話と合意に基づく社会システムをつくっていく必要がある。私のオランダをフィールドとしたNGO研究を評価していただき、光栄に思う」とスピーチした。

 <長坂寿久> 1942年神奈川県生まれ。明治大卒業後、日本貿易振興機構(ジェトロ)に入会し、アムステルダム、ニューヨークなどに駐在。99年から現職。専門は国際関係論。「NPOファミリーハウス」前理事長。著書に「オランダモデル〜制度疲労なき成熟社会」(日本経済新聞社)、「NGO発、『市民社会力』〜新しい世界モデルへ」(明石書店)、「オランダを知るための60章」(同)など多数。

 

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