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上振れ期待

2010年1月7日0時2分

 日本経済の長期低迷は続き、いつのまにか「失われた20年」と呼ばれるに至っている。近々中国の国内総生産(GDP)が日本を上回り、世界第2位の経済大国の地位を、日本が中国に明け渡すことになる。

 選挙民はこのような悲観路線をさすがに我慢できず、長期に続いた自民党政権を見限り、民主党政権に政治を託した。

 自民党政権下、日本は国内消費を上回る生産能力の拡大に、政策の焦点を絞ってきた。そして輸出超過を享受し、外貨を稼いだ。外貨は大いに蓄積されて、この20年間は日本が世界最大の純債権国の座にある。くしくも「失われた20年」とほぼ重なる。

 実は外貨の蓄積こそが、駐車ブレーキが掛かりっ放しの状態をもたらしている。アクセルをいくら踏んでも日本の経済成長は抑えつけられたままである。

 外貨の蓄積とは、額に汗した労働の成果である日本製の自動車を、コストがタダ同然のドル紙幣と交換することだ。受け取ったドル紙幣は着ることも食べることもできず、ためておくだけである。働いても働いても、ドル紙幣をため込むだけでは日本人の生活は豊かにならない。

 処方箋(せん)は、ため込んだ外貨を使って海外から買い物をすることである。ところが、外国製品で欲しい物はない、とよく言われる。だとしたら、ドルを売り払って円を国内に持ち帰り、国内の消費を増やすしかない。手段を尽くして消費を増やし、黒字減少から経常収支が均衡すれば、経済活動から駐車ブレーキははずれ、成長率は上昇する。

 現政権は参院選を目当てに、とにかく消費拡大の手を打つしかない。大方の予想を裏切り、景気の上振れが期待される。(岳)

    ◇

 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。

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