改ざんされた企業や個人のウェブサイトを閲覧した利用者のパソコンが、有害サイトに誘導され、ウイルスや不正プログラムを埋め込まれてしまう「ガンブラー」と呼ばれる新種のコンピューターウイルス被害が多発している。ウイルス対策会社によると、国内で約3500件以上のサイトが被害を受けているとみられ、独立行政法人「情報処理推進機構」は注意を呼びかけている。
同機構によると、ガンブラーによる被害はまず、企業や個人のウェブサイトを管理するパソコンから盗んだ管理用パスワードで、何者かがサイトに不正侵入。サイトの内容が書き換えられてウイルスが仕掛けられると、サイトを閲覧した利用者のパソコンが別の有害サイトに誘導され、他のサイトのプログラムをダウンロードする機能を持つ不正プログラムやウイルスが自分のパソコンに埋め込まれてしまう可能性があるという。
ウイルス対策会社「カスペルスキー」(東京都千代田区)によると、ガンブラーによる被害は昨年5、6月ごろから目立ち始め、昨秋から急増。昨年末にはJR東日本やホンダなど大手企業も自社のサイトを改ざんされたことを公表した。年明け以降も民主党東京都連などでホームページの改ざんが明らかになり、6日にはローソンや京王電鉄も被害を公表した。
同機構によると、パソコンにインストールされている各種ソフトが最新版なら、改ざんされたサイトを閲覧しても有害サイトには誘導されない。同機構は「ソフトが最新版か確認して、古いバージョンなら更新してほしい」と話している。
バージョンの確認は同機構などによるサイト(http://jvndb.jvn.jp/apis/myjvn/#VCCHECK)でできる。【奥山智己】
毎日新聞 2010年1月7日 東京朝刊