第170回国会 農林水産委員会 第2号
平成二十年十一月十三日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十一月十二日
    辞任         補欠選任   
     高橋 千秋君     相原久美子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         郡司  彰君
    理 事               
                主濱  了君
                平野 達男君
                加治屋義人君
                佐藤 昭郎君
    委 員               
                相原久美子君
                青木  愛君
                一川 保夫君
                金子 恵美君
                亀井亜紀子君
                藤原 良信君
                舟山 康江君
                米長 晴信君
                岩永 浩美君
                野村 哲郎君
                牧野たかお君
                山田 俊男君
                風間  昶君
                草川 昭三君
                紙  智子君
   国務大臣
       農林水産大臣   石破  茂君
   副大臣
       総務副大臣    倉田 雅年君
       農林水産副大臣  近藤 基彦君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       野村 哲郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 朝雄君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      岡田 太造君
       内閣府地方分権
       改革推進委員会
       事務局次長    小高  章君
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局取引部長   中島 秀夫君
       厚生労働大臣官
       房審議官     中尾 昭弘君
       農林水産大臣官
       房長       岡島 正明君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   本川 一善君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   吉村  馨君
       農林水産大臣官
       房技術総括審議
       官        吉田 岳志君
       農林水産大臣官
       房政策評価審議
       官        今井  敏君
       農林水産大臣官
       房統計部長    長   清君
       農林水産省総合
       食料局長     町田 勝弘君
       農林水産省消費
       ・安全局長    佐藤 正典君
       農林水産省経営
       局長       高橋  博君
       林野庁長官    内藤 邦男君
       水産庁長官    山田 修路君
       経済産業大臣官
       房審議官     上田 隆之君
       環境大臣官房審
       議官       森谷  賢君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (事故米穀の不正規流通に関する件)
 (輸入米麦の取扱いに関する件)
 (水田・畑作経営所得安定対策に関する件)
 (国の出先機関の見直しに関する件)
 (国産バイオ燃料の生産拡大に関する件)
 (ミクロネシア連邦による日本漁船だ捕に関す
 る件)
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○委員長(郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、高橋千秋君が委員を辞任され、その補欠として相原久美子君が選任されました。
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○委員長(郡司彰君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官岡田太造君外十六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(郡司彰君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○平野達男君 平野達男でございます。
 石破大臣、まず就任おめでとうございます。よろしくお願い申し上げます。
 今日は初めての石破農林水産大臣に対する質疑の機会にもなるわけでありまして、本来でありますといろんな観点からいろんなことをお聞きしたいわけではございますけれども、まずは今足下の問題でありますところのいわゆる事故米、汚染米の問題について今日はテーマを絞りまして、以下質問をさせていただきたいと思います。
 事故米につきましては、御承知のように二つのルートといいますか流通のルートがございまして、一つは政府が保管しているもの、それからもう一つは、これはMA米に限定されますけれども、商社が輸入をして、港に揚げた段階で検疫所で検査に引っかかったもので、それがいったん、政府でいったんワンタッチで買い入れて、それで戻して、そして商社が、まあ廃棄するのか市場に流通させるのか分かりませんが、ほとんど多くは市場流通されていると思いますが、いわゆるその商社ルートと言われるものがあります。
 そこで、まず一番最初に、政府備蓄米、政府備蓄に係るものでございますが、政府は少なくとも平成七年度以降、平成七年度というのは御承知のようにミニマムアクセス米が入ってきた年でございます、平成七年度以降、政府保管に係る米、これは政府米もございます、それからMA米もございますが、の際に発生したいわゆる事故米、これは原則売却をしてきたと、こういう理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 保管時に発生いたしました事故米穀につきましては、物品の事故処理要領に基づきまして、品質の程度を勘案して加工原材料用、飼料用、工業用のり用、こういった用途を決定して売却したということで、原則としては売却してきたということでございます。
○平野達男君 その場合の事故米というのは三つのタイプがあるかと思います。一つはいわゆる食品衛生法の六条違反にかかわるもの、それから十一条違反にかかわるもの、それから食用に転用できる、いわゆる水ぬれ等というふうに分けられるわけでありますけれども、それを称して今後これからは事故米というふうに今日は呼ばさせていただきますけれども、その管理体制というのはどういうふうになっていたんでしょうか。
 当然、食品衛生法に引っかかるものについては、これは横流しができないということになっているわけでございまして、また契約上もそういうふうになっているわけですが、その管理体制はどのような管理体制、どのようなやり方でやってきたんでしょうか。簡潔でいいですから答えてください。
○政府参考人(町田勝弘君) 事故米穀の不正規流通の防止ということで、売買契約書におきまして、用途に違反して処分した場合には違約金を徴収する、また必要によって調査又は報告を求めるということになっておりました。
 そして、この事故米穀が買受け目的に従いまして適切に加工されているかどうかを確認するために、この契約を踏まえまして、立会い中におけます目視における米穀の破砕状況の確認、台帳による工場の受入れ数量と販売数量の確認を行ってきたわけでございますが、立会い以外のときに適切に加工されているかどうかや当該業者の販売先の帳簿との照合まで行われていなかったということで、大変不十分だったというふうに反省しております。
○平野達男君 今の答弁で言われたのは、いわゆるメタミドホス汚染米が非常に大きな議論になっていますが、メタミドホス汚染米の検査方法というのは、少なくとも平成七年度以降、あるいはひょっとしたらその以前からかもしれませんが、政府備蓄米の汚染・事故米についての販売の検査体制で確立されていた手法だと、体制だというふうに私は理解しましたが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) こうした体制につきましては平成七年度以前からやっておりまして、平成七年度のMA輸入米以降も特に変更してないということでございます。
○平野達男君 確認しますけれども、政府米についてもそのような体制を取ってきたということですか。
○政府参考人(町田勝弘君) さようでございます。
○平野達男君 ポイントは、少なくとも農水省は、事故米についての売却に当たっての検査体制というのは、今回のメタミドホスの汚染の問題で明らかになったようないわゆるずさんな体制をずっと続けてきたと、これを続けてきたということだと思います。
 次の質問に移りますけれども、それでは、しからば今度は商社ルートの話ですけれども、MA米につきましては輸入検査時に事故品となった米については原則国内流通を認めていた、こういう理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 輸入検疫によりまして、食品衛生法に違反しまして食用不適とされた米につきましては、厚生労働省の検疫所長の命令によりまして輸入業者が積み戻し、廃棄又は非食用に使用することのいずれかを選択することとなっております。
 積み戻しや廃棄につきましては、海上輸送費や焼却等の経費が必要となりますことから、多くの場合輸入業者は非食用として輸入することを選択いたしまして、政府もこれを認めてきたところでございます。
○平野達男君 私が調べた限りにおいては、MA米の中にはシップバックになった例は一例しかないというふうに理解しています。それは何かといいますと、SBS米といいまして、御承知のようにこれは主食用に回っているやつですね、ミニマムアクセスの中でも。これは契約上、国内流通にできない契約になっているんですね。だから、これが平成十五年でしたか、たしかありまして、そこでジクロルボスが検出された例があって約二百トン、その後、若干メタミドホスが検出された例もあったかな、ちょっと今記憶定かでございませんが、まあそれが一件でシップバックになっています。あとは、基本的には全部ワンタッチ方式で政府が買い入れる仕組みになっていますから、国内流通をさせているわけです。
 しからば、その管理体制はどうなっていたんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) これにつきましては、非食用として処理された米穀につきましては、輸入商社に対しまして地方農政事務所が売渡先、用途、処分方法に関する指導監督をすることとなっていたわけでございますが、実際には、輸入商社から地方農政事務所長あてに売却等に関する報告をさせているにとどまっておりまして、その後のフォローはできていなかったということで、ここも反省しなくてはいけないと思っております。
○平野達男君 ですから、この商社経由で出回ったもの、その中には十一条違反というのは最近出てきた一例を除いてないと思いますが、少なくとも六条違反のものは相当量あったという前提で考える必要があると思います。
 それは食用としては転用されていけないものでありますけれども、それが横流しされているかどうかについては、事実上政府は、売却を行っている商社、そこに全部任せていて、ただ報告だけ上がるということで良しとしていたということでございますね。
○政府参考人(町田勝弘君) そのとおりでございます。
○平野達男君 そうすると、食品衛生法の違反になるかどうかについては、これは当然厚生労働省にも相談をしていませんし、国としてはそれをウオッチする仕組みというのはなかったと、ずっとなかったということで、再度確認しますが、そういう理解でよろしいですね。
○政府参考人(町田勝弘君) 先ほど申し上げましたが、輸入検疫がありまして、食品衛生法に反しまして、食用不適とされた米、これは厚生労働省の検疫所の判断でそういうふうに不適というふうにされているわけでございます。
○平野達男君 いずれ、私の言いたいことは、商社ルートについての米の流通に関しては事実上民間にすべて任されておったということであって、その監視体制についてはきちんとした仕組みはつくられていなかったということだったと思います。
 そういうことで、要は何を言いたいかといいますと、今メタミドホス汚染にかなり話が限定されて、それに、これは消費者安心の確保ということが優先されていますからしようがないんですけれども、実はこの事故米につきましては、メタミドホス汚染の今回の事件は、以前から行われていた事故米の販売の仕組み、しかも実に不十分な仕組みの上に乗っかって出てきた事件だということをちょっと言いたいがための今までの質問でありました。
 それで、以上の前提を踏まえまして次の質問なんですけれども、いわゆる横流しということにつきましては、少なくとも平成十五年度以降に販売された米が今、調査の対象になっているんですが、その米を見た限りでも相当程度が横流しをされているということでございますので、十四年度以前においても相当の横流しがされていたと考える必要があると私は思いますが、大臣、どのようにお考えになられますか。
○国務大臣(石破茂君) 現在記録が残っていないので断定はできないのですが、今まで局長が答弁を申し上げましたとおり、また委員から御指摘がありましたように、今まで、では横流しがなかったかというと、それは否定はできないということだと思っております。否定はできないというよりも、それは証拠はないのだが、そういうような可能性が極めて高いと言わざるを得ないと私は思います。
○平野達男君 そこで、お手元に資料をちょっと用意しましたので、以下、資料に基づいて御説明を申し上げたいと思いますが、まず一枚目、これは事故米穀の不正規流通状況ということで、これは農水省が作成した資料でございます。今回の調査は資料が残っている平成十五年度以降に限定されていまして、平成十五年から二十年まで政府米として七千四百トン売却したと。それ以外に、政府米以外に、下に書いてございますけれども、いわゆる商社ルートでアセタミプリドと住商が扱った物件のこの二件について今回流通経路の解明がされているということでございます。
 もう一枚めくっていただきますけれども、じゃ、いわゆる事故米というものがどういうものがあるかということですが、これはミニマムアクセスに限定されています。先ほど言いましたように、私は二つのルートがあるというふうに申し上げました。まず、政府ルートで市場流通されているもの、これが国内保管時に事故品等とされた輸入米穀ということで、このデータによる限り平成七年から全体として六千五十九トンあったということになりまして、この中の平成十五年以降の量について今いわゆる流通のルートの解明がされているということです。
 左側に商社ルートで市場流通というのがございますが、これは輸入時の検査において事故品等とされた輸入米穀でございまして、全体として約二万トンあるんです。二万トンあって、食品衛生法違反の事故品がかなりの量があるということですね。そして、その中で今流通ルートが解明されて公表されたのは八百十六トンだということでありまして、この商社ルートについては今解明をしているということでございますが、相当程度の量が実は商社ルートの方で量があるということだというふうに理解する必要があるということだと思います。
 そこで、私は、この横流しの事実は少なくとも今日昨日できたものではない。平成十五年度には横流しがあった。この横流しには、元々の横流しをした三笠フーズとかあるいは島田化学工業とかというそういう会社、いわゆる入口の部分の会社、それからもう一つ最終的な最終需要者という会社があって、その中に実はたくさんの仲介業者が絡んでいます。こういったネットワークは昨日今日でできるものではないんだというふうに思います。
 こういうネットワークというのは私はあったんではないかというふうに、これは証拠はないんですが、類推するんですが、大臣はそこに対してはどのような印象を持っておられるでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 印象を述べよという御質問であります。
 これは食管法が食糧法に変わってこういうような形になってきた、そこにいろんなビジネスの余地があるという言い方はいかぬのかもしれませんが、そういうようなものが入り込むような背景というのはそういうことがあったんだろうと。ただ、私は、食管法を食糧法に変えたということの意義はそれは大きなものがあると思いますが、そこにこういうようなものが入り込んでくるベースというか背景があったんだろうなというふうには思っております。
 それを構造的というかどうかは分かりませんが、そういうようなシステムがあったとして、何でこんな業者が介在するのっていっぱいあるわけですよね、いわゆるペーパーカンパニーみたいなものもあるわけで。だとするならば、そこの流通ルートというものはきちんと、私たちは消費者の安全、安心、安全と安心はかなり気を付けて使わなければいけないと思っていますが、を確保するためにきちんと把握をしていかねばならぬだろうというふうに思っております。
 現在、委員も御案内のとおりと思いますが、流通システムの在り方について、いろいろな関係の方々においでをいただきまして、米流通システム検討会というのを開催し、鋭意検討を行っていただいているところであります。そこにおきまして、十一月中にこの骨格、いかなるシステムが望ましいかということについての骨格は固めていきたいと思っておりまして、何にしても優先しますのは食の安全、安心ということだということに思っておりますので、そこを念頭にシステムの骨格を固めてまいりたいと思っております。
○平野達男君 少なくとも私は、こういう流通システムがあるということ、要するに、横流しによってその中の買入れ価格と売り先の価格の差の中から出てくる利益を吸い上げていた仲介業者が多数介在するような流通システムがあったということを政府は気が付いていて放置したということはないと思います。これについては、こういうことを結果としてはしかし放置してきたということだと思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) そういう御理解でよろしいと存じます。
 これは、食管法が食糧法になったときに、私も何冊か本を読みましたが、米ビジネスというのは非常に複雑多岐にわたって、たしかその本のタイトルは、米ビジネスはやみの中みたいなそんなタイトルではなかったかと思いますけれども、そこを、故意ではもちろんございませんが、それを放置してきたということの反省はしなければなりません。
 したがいまして、この流通システム検討会の議論というものを十分踏まえて、新しい流通システムの在り方を提示をしたいと思っておるところでございます。
○平野達男君 そこで、今回に関与した会社に関連してちょっと質問いたしますけれども、いわゆる三笠フーズについては既に告発をしておりますし、そのほかについても、会社についても、今いろいろ準備をしているというふうに聞いておりますが、今の議論の中であった仲介業者につきましてはどこにも議論が出てこないんですね。このままでいきますと、いわゆる入口にあった会社については確かに告発ということで、場合によったらきちっとした刑事罰も科せられるかもしれませんし、社会的制裁も受けるんだと思います。ところが、仲介業者は、まあ後で悪意、善意という話が出てきますけれども、これは本来扱ってはいけない米だというふうに薄々知りながら、それに介在した仲介業者もいる可能性があるわけです。そして、しかもその仲介業者は不当利益を上げているわけです。この不当業者に対して二つの問題があります。
 まず、今回の一連の事件に関して、この仲介業者に対してどういう対応をするのか。それからもう一つ、二つ目は、食糧法のどの規定を読んでも、この仲介業者に対する何か悪いことをやったときの罰則規定がないです。だから、全部がここで議論されなければ、仲介業者は不問に付されて、これからも仕事をする可能性があるんです。
 だから、今、二つのことを言いました。一つは、今回いろんな商社ルートもこれから解明されますけれども、そこに関連した仲介業者、少なくとも名前は三笠フーズその他、公開されていますね。その中で、本当にこれは悪意を持ってやった仲介業者、これはちゃんと特定する必要があるんじゃないかなというふうに思いますが、まずその点、どのように考えておられるでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 事故米穀と知りながらこれを購入してきた業者、これはまさに悪意の事業者になるということでございます。私ども、今回、経営支援対策を講じようとしておるわけでございますが、第三者委員会におきましてこうした悪意と判定されれば、まず経営支援を行わないということになっております。
 さらに、御指摘のような、更に罰則を含めた制裁を行うということのためには事実関係が明確に把握されていることが前提となると考えております。したがいまして、三笠フーズと共謀いたしました事実等が明らかになれば、これは告発等を含めて検討することになるということであります。そうでない場合は取締りといったことは難しいというふうに考えております。
○平野達男君 まず、支援事業については、これは申請制ですから、最初から悪意持ってやる業者なんか申請するわけないですよね。
 それから、私が聞きたいのは、結果としては明らかになって、それは告発するのは当たり前ですよ。結果として明らかにするためのプロセスはどのように考えていますかということの話ですよ。
○政府参考人(町田勝弘君) 今回、関係の事業者につきまして、善意、悪意の判断、これは私ども、先ほど申しましたように、第三者委員会で行っていただこうというふうに思っております。
 これは、繰り返しになりますが、経営支援の対象となるか否かを判断するということでございます。ここで判断をしていただくのは私どもでなくて、やっぱり各分野の専門家、公認会計士さんですとか税理士さんですとか、そういった専門家が総合的に判断していただくということが適切だというふうに思っております。
 この結果、第三者委員会の判断で悪意というようなことの事業者につきましては、これは私どもも調査を行いまして、先ほど申しましたように、法律違反の事実、こういったことが確認されれば告発等も含めて適切に対応していきたいというふうに考えております。
○平野達男君 今の御答弁は非常に重要な答弁だというような感じがするんですが、要するに第三者委員会で、今回の流通にかかわった業者は全部チェックをするという答弁をされたという理解でよろしいですか。
○政府参考人(町田勝弘君) これはあくまでも申請に基づいて確認をしていただくと、第三者委員会に確認していただくということでございます。
○平野達男君 だから、その過程の中では、要するに仲介業者なんか申請してくるわけないじゃないですか。だから何もしないということですよ、このままいったら。
○国務大臣(石破茂君) 委員が御指摘のとおり、これは経営支援とは全然別の話であって、それもおっしゃるとおり、まあそういうものが絶無、皆無とは申しませんが、悪意のものが申請をするなぞということは考えにくいお話でございます。
 そうしますと、これ捜査中の案件でございますので、三笠フーズの方から、実際、当局が事案を解明しますときに、その全体像が出てくるということになると考えております。ただ、私どもとして権限を持って、罰則を持ってそれに臨むためにいろんな捜査を行い得るかというと、その捜査権を持っているわけではございません。
 いずれにしても、捜査の上においてこの事案の全体像が解明される、局長から答弁申し上げましたように、その場合には当然告発も含めて臨むことになるということでございます。
 そういうような悪意の仲介業者なるものが、委員御指摘のように、見過ごされてこれからもビジネスが行われるということはやはり国家として許すべきことではないと考えておりますが、私どもとしてその事実関係を究明するというような実際の権限を有していないということを申し上げておるのでございます。
○平野達男君 厚生労働省にお伺いしますけれども、一つの切り口としては食品衛生法違反というのがあり得ると思います。厚生労働省はこの仲介業者については何らかの形で調査をするというつもりはあるでしょうか。
○政府参考人(中尾昭弘君) 事故米穀は、カビの発生ですとか水漏れ等の被害を受けたもの、あるいは基準値を超える残留農薬等が検出されたものでございまして、これを食品として流通させる行為は食品衛生法第六条又は第十一条に違反するということは先ほどから委員御指摘のとおりでございます。
 厚生労働省におきましては、農林水産省の情報提供を受けまして、九月の五日に関係自治体に対しまして、食品衛生法の規定に基づく回収命令等の実施を要請するなど、食品衛生法上必要な措置が講じられるよう農林水産省及び関係自治体と連携をいたしまして対応してきたところでございます。
 それで、個別の関係事業者に対する調査あるいは処分ということにつきましては、関係地方自治体の判断ということになるわけでございますけれども、厚生労働省といたしましても、農林水産省や関係自治体と連絡を取りつつ、引き続き適切に対応することとしたいと考えております。
○平野達男君 やっぱりかなり心もとない話で、あくまでも食品の回収という、食べ物にかなり注目していますけれども、仲介業者に対する対応をどうするかということについては確たる考え方を持っていないということだと思います。
 そこで、まずこの体制をどうするか。どうも警察の捜査頼みで、結果出てきたら告発しますよというのはいかにも情けないじゃないですか、これだけの案件が起こってきて。しかも、そのシステムも、先ほどの話の中で、ずっと続いてきたかもしれないシステムですよ。ここにメスを入れるということをやらなかったら、これはやっぱり駄目だと思いますよ。これからトレーサビリティーを入れるとか、そういうことの要するに対応を議論するというのももちろん大事ですけれども、今までどういうことでそういうシステムが、システムというか、どういう状況にこのシステム等が置かれてきたのか、置かれてきたというよりもだれがそういうふうに運用してきたのか、そういったことの全体像をやっぱり是非解明することが私は必要だと思います。
 このことについては後でまた多分、米長氏が関連で質問すると思いますが、このことを前提にした調査すら今農林省していないんですよね。流通ルートを解明したときに、例えば各業者がどれだけの価格で買い入れてどれだけの価格で売ったとか、例えばそういった調査なんか全くやっていないでしょう。そういったことも含めて、あとこれは米長氏に、後でいろいろ追及を、追及というか質問をすることになると思います。
 そこで、食糧法なんですけれども、こういった仲介業者に対しての取扱いについては今は単に届出制になっておりまして、ある一定の量以上を扱う業者については届出をすればだれでも入れるという仕組みになっている。これは本来、自由な競争をして流通の効率化を図るという趣旨で入れたはずです。ところが、これが逆手に取られまして、入口の価格で低く設定して出口で高い価格になるというものがあれば、中でいろんな仲介業者がぐるぐるぐるぐる回して不当利益を上げるという、それに悪用されているということです。この悪用されているということを踏まえた上で食糧法の改正をどうするかという問題があると思いますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 委員御指摘のとおり、現行の食糧法におきましては、米の取扱業者に対しましては一定規模以上の出荷・販売業者に対する農林水産大臣への届出、また帳簿の備付け、また農林水産大臣への報告の徴求、立入検査の受忍といったことを義務付けておりまして、これらに違反した場合、一定の罰則を科しているところでございます。
 しかしながら、今回の事故米の不正規流通問題におきまして、食糧法上のこうした措置が米の購入目的外への横流しの防止や食品の安全確保に十分ではなかったというふうに考えているところでございます。このため、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、米の流通に関する制度を見直すことが必要であるというふうに考えておりまして、十一月中に新制度の骨格をまとめたいというふうに考えているところでございます。
○平野達男君 是非検討をしていただきたいと思います。
 そして、繰り返しになりますけれども、今回の案件はメタミドホス汚染米がかなり注目を浴びていますけれども、もちろんこれは、消費者の安心の確保、安全の確保のために流通ルートの解明が急がれたということは、これは十分尊重いたします。しかし、全体は、その背後にあるのは、流通システムというのは昔からあったかもしれない。それから、もう一方で商社ルートというのがまだまだ実態が解明されていないということもあって、全体の今回の事故品等の実態解明はまだまだこれからだということをちょっと申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つ、次の質問に移りますが、今お話にあったメタミドホスについて、残留農薬基準を上回る米についてでございます。
 以下、これについては汚染米ということで言葉をちょっと変えさせていただきますが、この汚染米につきましては、メタミドホス汚染米については、平成十八年にポジティブリストの制定を受けた検査をやって、十八年、十九年に約三千六百トンのメタミドホス汚染が出てきまして、これが最終的には今回の調査で明らかになったようにほとんど売却されて、その多くの部分は食用に転用されていたという実態が明らかになっています。
 そこで、私の質問は、この米は、私が農水省から聞いたところによると、平成十五年に中国から輸入されたモチ米だと聞いております。そのときに輸入された量は五千トンというふうに聞いております。仮に、平成十五年にポジティブリストができたとすれば、その五千トンの米は全部汚染米でした。ところが、ポジティブリストが後で作られたために、その段階では何も問題はなかった。しかるに、平成十八年の段階までに、先ほど言いましたように三千六百トンのメタミドホス汚染米がその段階で出るんですが、ということは、それまでに一千四百トンの米を売却していたということになるんですが、まず局長、そういう理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) ポジティブリスト制度に移行する前でございますが、メタミドホスの残留農薬規制はございませんでした。中国産モチ精米は食品衛生上問題ないものであったことから、通常の米として販売をしていたところでございます。
○平野達男君 その量は、約一千四百トンでよろしいでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 少し詳しく言わせていただきますと、十五年度から十七年度までの間に千五百五十トン販売をしております。
○平野達男君 千五百五十トンでした。としますと、恐らくその部分はほとんど消費されたと思います。しかし同時に、平成十八年に政府の備蓄米からメタミドホスが検出された段階で、ひょっとしたら市場のどこかにその米があった可能性があるわけです。つまり、売ったやつで、売って、どこかの商社が、仲介業者か何か知りませんが、倉庫にたまたま蓄えていた可能性があります。その量は把握したでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) この件につきましては、食品衛生法の規制が強化されたことで、それまで食品衛生上問題がなかった、合法だったものが法律違反となったということでございます。
 この規制強化に当たりまして、規制強化があった施行日は十八年五月二十九日でございますが、その前日までに製造加工が終了した製品につきましては従前の制度により規制を適用するという経過措置が設けられていたところでございます、厚生労働省の告示でございますが。こういったことから、十七年度までに販売されたお米につきましては、規制強化の施行前、この前日までに製品化されるものというふうに私ども考えていたところでございます。
○平野達男君 考えていたということで、粒のままの状態でどこかにストックされていたという状況を把握していないということですよね。粒の状態のままでそこにストックされているその米は、それはメタミドホス汚染米でありまして、食品衛生法の第十一条に該当するものです。その量さえ把握していなかったというのは、食の安全を守る役所の姿勢としては若干やっぱり対応が手ぬるかったというか甘かったというふうに、若干どころじゃない、かなり甘かったというふうに言われてもしようがないと思います。
 ちなみに、それは厚生労働省にそういう扱いをするという相談をしたんでしょうか。それから、食品安全委員会にそういう扱いをするという相談をしたんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) しておりません。
○平野達男君 非常に悪い言葉で言いますと、政府は、調査すらしない、あるかもしれない要するにメタミドホス汚染米が市場に出回っているということを放置したということになっちゃうんですよ、今回その案件は。ましてや、その段階では食品安全委員会というのもできていました。そして、こういう米が出て、既に市場に出回っています、だけど、今回の場合は、その米については、ずっと食べ続けても人体に影響が出ることはありませんというその程度の水準です。それが加工されても問題ありませんと。本当はこのメタミドホスが出た段階で食品安全委員会にきちっと相談して、そういう情報を流す義務もあったかもしれませんね。
 大臣、どう考えますか。
○国務大臣(石破茂君) 義務があったかどうかというのはここはなかなか断定することは難しいのですが、少なくともそうすべきであったということは言えるんだろうと思っております。
 ですから、今局長から答弁を申し上げましたように、例えば、十七年度までに販売された米については規制強化の施行日の前日までに製品化されると見ていましたとか、多分こうであろうみたいな思い込み、あるいは性善説とは申しませんが、そういうような予断みたいなものがあったのではないかというふうに思っております。そこは相談をすべき、少なくとも協議をすべきであったということはそのとおりでありまして、今後はそのようにしていかねばならない。もちろん、今後このようなものが流通ルートに回ることはございませんが、私どもとして、こういうような食の安全にかかわるものについては極めて厳重かつ細心の注意を払わねばならないということだと反省をいたしておるところでございます。
○平野達男君 あえて付け加えさせていただきますと、想像するに、そういうことに対してしっかりした対応を取っていないということの根底にあるのは、メタミドホス汚染米についてはそんなに問題がないんだというふうにこれは類推せざるを得ないんですよ。そういった意識が今回の一連の横流し事件、最初に、特にも告発文が出てきた段階においても十分な対応をしなかった。
 それから、メタミドホス汚染について言えば、政府保有米とすれば初めての十一条違反ということで、残留農薬基準を超える米が出てきた初めての案件です。それにもかかわらずきちっとした対応もしなかったという、全部その中に通じるんじゃないかなという感じがするということはちょっと指摘しておきます。
 確認しておきますけれども、厚生労働省にお伺いしますが、その段階で、これは通告申し上げませんでしたけれども、ポジティブリストが施行された段階で、粒としてこういった米がどこかの会社が倉庫に保有している、それがメタミドホス汚染の可能性があるということ、可能性があるというか、メタミドホスの残留農薬基準を超えているということであれば、その米は市場に流通するということは食品衛生法違反になりますね。
○政府参考人(中尾昭弘君) 加工食品につきましては、その製造加工が終了した時点により経過措置の適用を判断することになりますけれども、生鮮食品たる米につきましては経過措置の対象とならず、平成十八年五月二十九日以降、新たな基準が適用されるということでございます。
○平野達男君 いやいや、だから私の質問は、粒として何も加工されていない状態での米があったということであれば、それは本来であれば汚染米になるわけですから、それを流通させることは食品衛生上禁止されていますねということを確認しているわけです。
○政府参考人(中尾昭弘君) 済みません。御指摘のとおりでございます。
○平野達男君 大臣、このことについてはやはりしっかりとした総括をしておくことも大事だというふうに思います。
 それから、次のテーマに入ります。
 事故米等の支援事業についてでございますが、いわゆる不正事業者という言葉が使われておりますが、この間、先般出されたプレスリリースのペーパーなんですけれども、国の不正事業者に対する求償ということで、不正事業者に対して、善意の事業者の損害賠償請求権を引き継ぎ、不正事業者に対して求償をするという規定がございます。これは、支援事業の中で、汚染米と知らずに扱った業者で風評被害等によって被害を受けた業者に対しては支援をする。その枠が今百五十億円というふうに設定されているわけですが、その一方で、いわゆる不正事業者と言われる者に対して国が損害賠償をするという、一種の代位弁済みたいな仕組みになっているわけですね。
 ここで言う不正事業者という定義をちょっと教えてください。
○政府参考人(町田勝弘君) この不正事業者でございますが、食用とすることができない事故米穀を食用であると偽って販売等を行い、民法に基づく損害賠償義務を負う者を指しているところでございます。
○平野達男君 これは先ほどの仲介業者にも関連しますが、これは仲介業者も入り得るというふうに考えてよろしいでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) ただいま申し上げました要件を満たす場合には、告発されております三笠フーズ等だけでなく、仲介業者も不正事業者に含まれることになるところでございます。
○平野達男君 だからこの観点からも、不正事業者ということをきちっとうたっているわけですから、どういう手続でどういう仕組みでだれが不正事業者として認定するのか、これはきっちり明示する必要があると思いますが、大臣、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 先ほど来答弁申し上げておりますが、そういう者が今後ものうのうとこの手のビジネスを続けることがあってはならないということだと思っております。したがいまして、この事案の捜査の過程、あるいは、委員御指摘のように、一種の代位弁済的なことをやるわけですね。その者に対してさあ払ってちょうだいというようなことになるわけで、その過程で明らかになってくるものがあると思っております。
 ただ、私どもとして権能を持ってかくかくしかじかということでもう強制的にそこまで調べるかというとそうではありませんで、そこはもう警察ともよく連携を取りながらやらなければいけないと思っております。もちろん、私どもがそういうような請求権を引き継ぐという形を取るわけでございますから、不正事業者が何たる、どのようなものであるかということについてその過程で明らかになることは当然あり得ると思っております。
○平野達男君 あと、これ以下は意見として申し上げておきますけれども、仲介業者等も含めた業者については既に相当程度の会社が公表されています。これから行われるのは支援事業者のこれは特定がされると思います。これは公表するのか公表しないのか。公表しないという前提でしたか。これは公表しましたか。公表するということになっていますか、対象業者は。
○政府参考人(町田勝弘君) 経営支援の対象となります善意の事業者につきましては、公表するという方向で検討しているところでございます。
○平野達男君 そうすると、善意のそういった支援対象になった事業者以外は、ひょっとしたら残った業者は全部不正事業者というレッテルを張られる可能性がありますが、そこはどう考えますか。
○政府参考人(町田勝弘君) この経営支援対策の枠組みを構築するために、私ども全国の業者の方を訪問しておわびをしながら状況を聞かさせていただいたところでございます。そうした中に、当該経営におきましては影響がないといった御回答の方もございました。そういった方は申請がないということでございますので、申請がされなかった方がすべて善意ではないということではないというふうに考えております。
○平野達男君 ではないという説明になりますけれども、善意の事業者というものを特定するのであれば、不正事業者もやっぱり特定すべきですよ。それが今回の公表したということに対しての一つの私はけじめにもなるということをちょっと意見として強く申し上げておきたいと思います。
 ちょっと時間がなくなりましたので最後の質問に入りますが、今回の案件の中で私はずっとこだわり続けているのは、例の告発文です。あれは私は一つの証拠を突き付けられたということを何回も部門会議で申し上げてまいりました。その証拠とは何かといいますと、いわゆる検査成績書が付いていたんです。食用の米が流通するのに検査成績書が付くなんというのは、これはあり得ない話だと私は思っていますが、厚生労働省、そういう理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(中尾昭弘君) 今回ありましたようなメタミドホスだけを検査した成績書が付くというようなことは通常はないというふうに認識をしております。
○平野達男君 言うまでもなく三笠フーズがこれは依頼した検査でございまして、しかもメタミドホスに特定している。で、三笠フーズはメタミドホスの汚染米を買っているという、そういう客観的事情がもう明らかになっているわけですね。
 それで、もう一つの問題は、この告発文は流通させていますという告発文じゃなくて、売り込みの話があったという告発文なんです、この文書は。ところが、政府が対応したのは在庫を確認したということだけなんです。で、この政府の有識者会議に出された文書によりますと、以下、検査を強化することで十分対応することができたというふうに当時の人が判断していたというような、何か訳の分からぬ表現になっているんですけれども。この告発文は、あくまでも売り込みの話があって、これから売り込まれるかもしれないという告発文なんです。
 しからば、政府はその後に、一段階としてまず在庫は確認しました。結果として三袋なかったわけですね。どういう検査体制の強化をすべきだという具体的な指示は出したんでしょうか。
○政府参考人(本川一善君) この告発文につきましては、こういう検査証明書が付いているという具体的な内容でございましたので、当時の担当者から聞き取ったところによりますと、まずそういう横流しがなされているかどうかということを確認をするために在庫のすべての調査を行ったということでございます。その結果として、御指摘のように三袋、九十キログラム足らなかったわけでございますけれども、五百トンの一万六千六百六十五袋、これをすべて確認をしてわずか三袋が足らなかっただけであるということ、それから業者間の売買は十トンが基本単位でございますので、三袋がそういう業者間売買に付されることはないというふうに当時としては判断をして調査を終了したわけでございます。その後は、その在庫がきちんと処理をされているということを確認をするということで、そこの確認を強化すれば横流しは防げる、不正売買は防げるというふうに当時の者は判断をしたということでございます。
 ただ残念ながら、そういう調査を強化するということは指示をしておりますけれども、具体的にこのようにしろということは残念ながら指示をされていないということが確認をされております。
○平野達男君 ですから、今の答弁にありますのは、本当に指示したかどうかもよく分からないんだけど、結果的には現場においては従前の、ホッパーか何か知りませんけれども、破砕するための現場に行ってその調査を確認をするという従来の作業をただ繰り返したというだけなんです。結果的に、この投書の中では在庫確認したという、そのときに三笠フーズさんが売却していたかどうかは分かりません。分かりませんが、在庫確認をしたということだけであって、その後のフォロー体制は特に強化もしてなければ、具体的な、何というんでしょうかね、調査の強化についての具体的な行動は取らなかったということですね。
 しかも、ちょっと時間がありませんからあれなんですが、三笠フーズに対してこの検査証明書も突き付けていませんね。突き付けたところで三笠フーズが本当のことを言うとは到底思えません。しかし、これは何だということぐらい当然言わなくちゃおかしいですよ。
 更に言えば、この問題については、本省レベルでいくと食糧部長以上に上がっていなかったと。本当に危機感をこれ持ってやっていたのかということなんだろうと思います。性善説に立っていたというのは十分分かりますけれども、ここの部分の対応についてはもう本当に残念なというか、な対応というふうに、幾ら強調しても強調し過ぎることはないんではないかというふうに思います。
 特に、この告発文については厚生労働省にも相談もしていない。BSEが起きたときに一つの問題になったのは縦割り行政でした。情報共有をしっかりしようじゃないかと。それは全く生かされていないということでございまして、そういった点等を含めまして、十分な反省、総括が必要だと思いますが、大臣の御所見をちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のとおりで、何ら反論もコメントもする余地はございません。そのとおりでございます。
 私も実際に福岡に行って現場も見ましたが、もう何ですか、これはと。大臣の言うべきことじゃないかもしれませんが、それはもう現場だけではなくて、本省から現場まで全部そういう意識だったと断ぜざるを得ません。
 例えば、告発文の取扱いについても、投書とかメールとかいろんなやり方はありますが、このルールも決まっていないと。どこで、今、食糧部長まで上がっていなかったという御指摘ですが、どこまで上げるのかというルールもない。だれが責任を持ってどういう判断をしたのかということもない。BSEの教訓も生きていない。これは単に縦割りだということで片付けられるお話ではありませんので、全省的にどうやってそういう情報を共有をし、だれがいかなる責任を持つべきかというお話をもう一度徹底をさせなければいかぬと思います。当時の担当者は替わっちゃいましたのでと言ったって、それはもうどうなるお話でもありませんで、当時の担当者は替わりましたので分かりませんとか、そういうようなことがないように仕組み全体を見直していかねばならないと思っております。
 緊張感、使命感、そういうものを徹底させるために、もう委員も当省に職を奉ぜられたことがありますので、当省のカルチャーもいろいろ御存じかもしれませんが、またいろいろと厳しい御指摘をいただきまして、国民のためにきちんと働くように、そのようにしてまいりたいと思っております。
○平野達男君 終わります。
○米長晴信君 民主党・新緑風会・国民新・日本の米長晴信です。
 石破大臣、就任おめでとうございます。この米の問題については、大臣就任早々、工程表を作られまして、スピード感を持ってやっておられたということは評価をすべきものだというふうに私は考えております。しかしながら、この十月三十一日に発表されたものを見ますと、大臣の本来意図する部分が必ずしもそのように進んでないんではないかという疑念も持たれる結果でございますので、それを今日は一つ一つ点検をしていきたいというふうに思っております。
 まず、その大前提として、工程表を作ってこの問題を解決するというのは、国民の皆様に食の安心、安全の情報を一刻も早く提供する、国民のためにこれをやっているということを改めて大臣に確認をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 農水大臣を拝命したその日に、とにかく全省的な対策本部をつくると。これはもうとにかく全省の問題であって、林野庁は関係ないとか水産庁は関係ないとか、そういうようなお話にはならないということで全省的な対策本部をその日のうちに立ち上げました。これはもうちゃんと意識を共有するということです。
 それからもう一つは、工程表を作るというのは、いついつまでに何をやりますということを目標として定めないと、仕事がだらだらとなってしまって緊張感に欠ける、スピード感に欠けるということが一つ。もう一つは、それを明らかにすることによって、解明状況が今こうなっています、あるいは検査体制はこうなっていますとか、あるいは行政の責任はどのように問われていますとかいうことを常に明らかにすることによって、国民の皆様方にそれをお見せをし、安心感を持っていただくと同時に、これに対して、それはおかしいではないか、違うではないかというような御批判も常に賜れる体制にしておかねばならないという思いがございました。そういう点で、対策本部を立ち上げ、工程表を作っておるところでございます。
 私は、これが中で完結をしちゃうということは実にうまくないと思っておりまして、これが常に外に見える、外からの御批判をいただけるということで、私は行政というのはすべからくそうあるべきものだと考えております。
○米長晴信君 国民のためだと、それをオープンにして双方向のやり取りをする中で批判も受けるということを改めて確認をいたしました。
 項目別にこれを見ていきたいと思います。
 ルート解明、これは、一刻も早く国民の皆様が自分の食べるものは、これ米を由来とするものは汚染されているのかどうかという不安を払拭するために、取りあえず量の流通を実態を明らかにするという作業であると思います。これについては全部のルートを解明するという作業だったと思うんですけれども、取りあえず今の段階で、調査に応じてもらえないとかいろんな理由はあろうかと思いますけれども、今の段階でまだ解明できていないもの、これを挙げていただきたいと思います。局長。
○政府参考人(町田勝弘君) 流通ルートの解明につきましては、三笠フーズのこの事件を契機といたしまして、他の事故米穀の販売先十六社の一斉点検を行ってきたところでございます。この結果、株式会社浅井、太田産業株式会社、島田化学工業株式会社につきまして、購入目的以外への使用が確認され、三笠フーズ株式会社とこれら三事業者について流通ルートの解明を鋭意進めてきたところでございます。
 その状況でございますが、まず、カビ毒であるアフラトキシンが検出される米につきましては、三笠フーズルートのみで流通しましたが、すべて解明をされたところでございます。次に、残留農薬基準を超えますメタミドホス及びアセタミプリドが検出されている米につきましては、三笠フーズ、浅井、太田産業のルートで流通をいたしましたが、食糧法に基づく報告徴求命令、罰則付きでございますが、これを掛けても販売先を提示しない事業者等に関する部分を除きまして解明を終了いたしました。
 これ以外の横流しをされました事故米穀でございますが、一般のカビ米、カビ毒は生じておりません。でございますが、これは、三笠フーズ、浅井、太田産業、島田化学工業、東伸製糊のルートで流通をいたしましたが、帳簿類が破棄されているケースなどを除いて解明を終えたところでございます。
 このように、流通ルートにつきまして解明できるものはすべて解明を終えたというふうに考えているところでございます。
○米長晴信君 まさにそんな答弁をしたらいかぬということを言いたいんですよ、この質問は。こんなところは本当は二、三分で済ましたかったんですよ。
 この結果を見ると、販売先拒否は九トンある。いろいろありますけど、東伸製糊については、百三十一トン、会社が清算されてしまったために追跡できないとか。それを挙げてくれと言ったんですよ。一つもその数字がないじゃないか。どういうことなんですか。国民が知りたいのは、ほとんど解明しました、万歳という姿を見たいんじゃないんですよ。
 まだ三笠については九トンあります、それはこういう理由です、東伸製糊は百三十一トンだけど、それはこういう理由でありますって、流通されていない部分があとどれぐらいかというのが国民に対する提起すべき情報であって、それをこんなルート解明、今資料として採用されている、これインターネットに載っている、今でも載っている国民にこの工程表の結果というので出している一枚紙ですけど、これ、済みなんというのはおかしいんですよ。あるんですよ、たくさん未解明が。それが解明できていない、理由はいろいろあろうかと思いますけれども、そこは国民納得すると思いますよ、理由があれば。
 それを、私のこのそういうことを意図した質問でこの委員会の中でそういう答弁するというのは本当に国民に対して背信行為だ。それどう思っているんです、大臣。
○国務大臣(石破茂君) これは私自身の委員の御指摘をよく踏まえて考えなければいかぬところですが、全容解明済みと書いたという書き方は適切ではないところがあると思います。
 ですから、委員御指摘のように、未解明の部分がある、その理由はかくかくしかじかということで今局長から御説明をしたとおりですが、委員がおっしゃるように、全容を解明した、どうだと、万歳万歳というふうに受け取られかねない書き方でございましたので、これは私の注意が足りませんでした。申し訳ございません。
○米長晴信君 付け加えると、本当に質問に対して解明できたものを挙げていって、数量を何も答えておられないんです。でも、それはこのまとめに書いてありますから、よく見ると。そこはもうそれ以上追及しません。どんどん次に行きます。
 一つ飛ばしまして、事故米の廃棄処分、これについてでございますけれども、これは、工程表の中では課題として三番、国が保有する事故米穀の廃棄処分と。具体的な中身は事故米の廃棄というふうになっております。
 国民の皆さんがこれをもって安心と判断するのは、日本国内に汚染米が一粒たりとも廃棄されてなくなったのをもって国民が安心すると、そういうために行っている作業だと思いますけれども、そういう意味であれば、国民が知りたいのは、十月三日に初めて焼却が始まったとはいうものの、どれぐらいあと残っていて、どれぐらいの段階でそういう汚染米がなくなるのかと、そういうことを知りたいということなんですよ。それをこのやはり工程表の中では廃棄処分開始をもって済みとしてしまって、今あとどれぐらい廃棄すべき米が残っているなんということは一切インターネットにも載っていない。本来はこれを廃棄すべてしたのをもって済みというのが当然であろうかと思います。
 それについては、本当に誠意を持ってこの情報を提示するなら、この工程表に基づいてしっかりと国民にアピールするなら、焼却するたびに今日は何トン焼却しました、残り何トンですということをどんどんインターネットでもプレスでも公開してください。いかがですか、大臣。
○国務大臣(石破茂君) 御指摘のとおりだと考えております。もう少し、もう少しという言い方は良くないですね、更に正確に細部にわたるまで情報は提供いたさねばならないものでございます。
 これは、済みと書かねばどこまでできたか分からないねということで、済みというふうに表示をしなさいということを申したのは私でございまして、そこの点において細心の注意が足りなかったことはおわびを申し上げます。
○米長晴信君 どんどん進めます。
 検査体制、これについては、取り急ぎやるというのは、検査マニュアルがなかったことからマニュアルを作るということで、工程表にもそのように載っかっております。それを十月十日をもって作られたと、それで済みと。ここは厳密に言うと、別に表の上では正しいわけでございますけれども。ただ、これはやっぱり、もっと踏み込むと、今までそういう検査体制がなかった、あるいはチェック、それぞれの農政事務所でそれなりの指針はあったけれども、ちゃんと統一的にやっていなかったということがこの事件を招いた一端でもあるということで、マニュアルを作ったことまではいいんですけれども、大臣、どこかの会見か答弁でおっしゃっていたと思うんですけれども、マニュアルを作ってすぐできるものでもないと。これはもう、それなりの検査官の育成だとかそういうこともやっていかなきゃいけないと思うんですけれども、それについては質問としてもうせずに、これをもって済みとせずに、速やかな対応をすべきもの以降の今後やっていくという中にも入っていませんので、そこは、いついつまでにどういう検査をする目的でどういう研修を行って、どういう検査をして、いつまでにこのマニュアルに基づいた検査を遂行する、その中身はこうであるということを公開すると、業者の人もそれなりの正しい流通を行うだろうし、それをもって国民も安心するということで、これは引き続き何らかの形でそういう部分も明らかにしていただきたいというふうに思います。
 引き続きまして、ここがメーンイベントなんですけれども、経営支援の部分、ここはもう平野先生が幾つか同じような論点をおっしゃいましたけれども、一つまず質問として伺いたいんですけれども、百五十億円という一つの枠組みを提示されましたけれども、これどういう試算で百五十億円というふうに出したのか教えていただきたいと思います。
○政府参考人(町田勝弘君) この九月三十日から、地方農政局、農政事務所を通じまして、約四百の業者を訪問して、回収費用、売上減少など、こういった経営状況をまずお聞きしたところでございます。
 この聞き取り調査におきましては、被害なし、あるいは不明、調査中という回答もかなりございましたが、回答のあった事業者の方々の回収、廃棄に要した費用、また売上減少額をベースに推計いたしまして、先ほど御指摘ありました約百五十億円程度と見込んでおります。
 具体的に申し上げますと、製品の回収、廃棄等に要した費用につきましては、この調査結果から一事業者当たり経費を約六千万円と推計をいたしました。これに、調査事業者数約四百業者から回収、廃棄等の支出がないと回答いただいた業者数約二百七十業者を除きました約百三十業者、六千万円にこの百三十業者を乗じまして、約八十億円というふうに推計したところでございます。
 次に、業者名の公表から六か月間におけます売上総利益の減少への補助でございますが、調査結果から一事業者当たりの売上総利益の減少額を約二千三百万円と推計をいたしました。これに、四百業者の調査事業者数から売上総利益の減少がないと回答をいただきました業者、約百二十業者を除きました二百八十業者、これに先ほど言いました二千三百万円を乗じまして、約六十五億円ということでございます。
 三点目、一年分の金利助成でございますが、これは一事業者当たりの金利助成額を約二百五十万円と推計いたしまして、融資を受けると想定される事業者、約四百業者の半分というふうに見まして、二百五十万に二百業者を乗じて五億円。合わせまして百五十億円程度というふうに推計をさせていただいたところでございます。
○米長晴信君 今の段階ではそういう方法しかないのかもしれないんですけれども、これ平野先生からも指摘があったんですけれども、まず順番が違って、まず支援すべきなのはこれ善意の事業者、前提はそれですよね。善意の事業者を支援するための政策であって、それにはやっぱりまずはこの事件の概要、すなわち三笠フーズ、これは今告発も行って、白、グレー、黒と色で分けるのはどうかと思いますけど、黒ということで評価されていると。黒と、汚染米かどうかは知らないけど、何か安いなと思って右から左に流していたという業者も半分悪いと。そういうところは恐らく申請すらしないんだろうと思うんですけれども。
 いずれにせよ、これベースを四百社をベースというのはやっぱりおかしいと思うんですよ。公表された四百一社ですか、それが分母というのはそもそも算出方法が違うし、まず救済すべきは、末端のエンドユーザーといいますか、実際におもちを作ったところとか外食販売だとか、何かそういう本当に被害者というものをまず特定して、そこを救済するのがこの経営支援対策であるべきだと思うんですけれども。それについて、まず、だから、平野先生も言ったけれども、本当に悪い業者、本当に残念ながらこれを買って利用してしまった善意の事業者、ちょっとグレーな部分、そういうところを本当は色分けをしなきゃいけないんですけれども。
 実はもう一つ別の論点があるんですけれども、公表された四百一社ですか、のうち、後になって、実際には公表される時点においてなかった、つまり例えばいろいろなケースがあろうかと思いますけれども、一回仕入れたけれどもそのまま返したと、本当にもう全く我々からは流通していない、そういう業者も含めて公表してしまったために、そういう業者は後から削除されて、それは私数えた限りでは十九社あるんですけれども、そこに対してはまたちょっと、私、一緒くたにして論ずるべきではないと思うんです。
 どういうことかというと、百五十億円税金を使って経営支援するんですけれども、国民に対してこの商品が安全かどうかというその安全の情報、安心させるためのその情報、それと代償で、その引換えにこの人たちの風評被害、実際に扱ってしまった人の風評被害、これを補てんする。これは国民もしかしたら納得いただけるかと思うんですけれども、農水省の勇み足で本当に扱っていないのに公表してしまった業者、農水省の失態でうっかり公表してしまった業者に対して、これをこの百五十億の中に入れて補てんすること、私は国民納得できないというふうに思うんです。これについて大臣、いかがお考えですか。
○国務大臣(石破茂君) そこはよく精査をしなければいけないと思います。委員御指摘のように、政府が経営支援をするといっても、それは国民の税金なんですから、よくそこの認識は持たなければいけないだろうと。
 私も熊本に行き、お菓子屋さんあるいは酒造メーカーさんのお話を聞きましたが、かなり惨たんたるものであって、これはもう委員御指摘のように、どうしても救済をしなきゃいかぬものだろうというふうに思っております。
 ただ、委員、農水省の勇み足というふうに御指摘がございました。確かにそういう面があるという御指摘もあろうかと存じますが、あのとき何が優先するかというと、とにかく消費者の安心、安全だと、これが絶対優先するんだというお話であって、じゃ、私衆議院の予算委員会でも答弁申し上げましたが、じゃ農水省にそれを公表する権限はあったのかというと、それはないということなのですね。ただ、とにかくあの場合に消費者の安心、安全を最優先にこれは公表するということでございましたから、そこにおいて、因果関係をぎりぎり詰めるというつもりもございませんが、どなたに経営支援をすることが国民の税金の使い道としてふさわしいのかということはちゃんと考えなきゃいかぬと思います。
 先ほど平野委員の御質問にもありましたように、まず申請主義を取るということ、そしてまたそれが本当に適切なものなのかどうなのか、第三者委員会のきちんとした確認が行われるということでございます。被害者に対しても、あなた、本当なんですか、本当なんですか、本当なんですかという、何だか疑わしいような、予断を持って聞くということも決していいことではございませんが、やはり税金を使わせていただくということの観点はきちんと持ちたいと思っております。
 御指摘を踏まえて、一件一件よく精査をしてまいります。
○米長晴信君 今の大臣の勇み足というのはちょっとと、そのときは情報を公開するのが最優先だというのはちょっと認識が実は甘いので、具体的に御指摘をさせていただきたいと思うんですけれども。
 私が取材というか、私、記者出身なので取材という表現使っちゃいますけれども、お話を伺うことができた、まず岐阜県内の米穀販売の会社。八月十九日に十二トン仕入れました。その後、九月一日に事故米穀ということが判明しまして、その連絡が農水省からあったということで、九月十一日に農政局、地方の農政局の職員立会いの下、返却したんです。立会いの下ですよ。立会いの下、返却を九月十一日にしている。そういう業者も九月十六日に公表の中に入れてしまったわけです。
 この結果、当然のことながら、立ち会ったじゃないかと、これ何でうちを入れるんだと。公表すると言われたので、もう本当に泣きながらそういうお願いをしたそうですよ。だけど、一度扱ったんだから仕方ないと。一度扱ったといったって、農水省立会いの下で返却しているんですよ。一度立ち会ったのだから仕方ない、上からの指示だから公表させてもらうというような趣旨のことを言って、実際に公表してしまったわけですよ。
 その後に、せめて、返却したと、もうここで扱っているものは今ありませんということを一筆下さいというお願いを農政局長のところに陳情しに行ったそうですよ。それもしてもらえなかったと。いわゆる公表リストから外されるまではそういう対応もしてもらえなかったというふうにこの業者の人は言っておられます。
 どこの業者かという、名前出していいとも言われているんですけど、公表を下ろした業者なんで、あえてこの場では名前申し上げませんけれども、岐阜県内の業者のお話であります。
 そこに卸したのが兵庫県内の米穀仲介業者ですけれども、ここもお話を聞くとやっぱり被害者で、同様の対応だったということを聞いております。その後の経営支援の調査というのも、本当にそういうことを聞くでもなく、悩み相談するでもなく、本当にもう機械的に、あんたの商い先月一か月どうでしたかとか、もう数字の話しかしないで、これ本当に何だったのかというようなことを言っていますよ。私がそういうことをずうっとお話しすると、話聞いてくれて良かったとも言われましたよ。ということは、調査に行った農水省の職員、そういうことをやってないということですよ、ちゃんとそういう相談をすると。機械的に恐らく、被害額は幾らだとか廃棄に幾ら掛かったとか、そんなことを機械的に聞いて帰ったということが推測されます、少なくとも。
 別の業者。鹿児島県内の和菓子の業者、これも八月の二日に一俵仕入れておられまして、で、九月九日に袋のままですよ、一部使ったとか後で足したとかじゃなくて、袋のまま返品したと。返品の伝票も私持っていますけれども、伝票もある。それも見せて、九月十六日の公表も、私たち返したじゃないかということを言っても、やっぱり公表をされてしまったと。その後、風評被害がひどくて、もう返品の山になったり、売上げが半減したりと。
 さっき言った、これ兵庫県内の業者なんというのは家と店が一体化しているんで、家族が外出れなくなったというようなことにもうなっているんですよ。本当に扱ってなくて、善意の被害者ですよ、それは。
 そういう業者に対しては、本当に今、その善意の業者、括弧、途中から公表しなくなったとかも含むとか括弧でただし書で付ける程度じゃなくて、そういうところこそ真剣に農水省は守らなきゃいけない、何とかしなきゃいけない。そこは、そういう営業の欠損だとか廃棄処分の掛かる費用だとか、そういうことじゃなくて、精神的苦痛もこれ考慮しなきゃいけないはずですよ。これは農水省のある意味犯罪的行為ですよ、勝手に公表してしまって、こんな、農水省立ち会って返却したのも無視して公表してしまうなんというのは。
 今の私の話を聞いて、ちょっと考えを改めていただいて、勇み足じゃないというようなことはもう一回ちょっと撤回するような形で、これについて真剣に取り組んでいただくと、ちょっとお答えください。
○国務大臣(石破茂君) 勇み足ではないとは申し上げませんでしたが、これはもう、いずれにしても私どもが検査が十分ではなかったということが一番の根底にあるわけです。そのことはもう言い訳無用のお話でございまして、私が申し上げたのは、勇み足という御指摘もそれはございましょうと言ったのであって、勇み足ではありませんということを申し上げたわけではありません。政府全体としてとにかく公表だというお話でした。
 ただ、そのときに、今委員がおっしゃいますように、もう農政局立会いの下で返したとか、あるいはもう一粒も使っていないでそのまま返したとか、公表をしないでくれとちゃんと頼んだのにということまできちんと把握をしなければいけない。先ほどの答弁の中で一つ一つちゃんと精査をしなきゃいかぬと申し上げたのはそういう意味でございます。
 私は、大臣になりましてから、この方々に対して、とにかくどの業者さんに対しても必ず足を運べと、当たり前のことですが申しました。そこでやらなきゃいかぬのは、まず大変申し訳ございませんということからやりなさいということで、そこは、私も民間の出身でございますから、お客様というものがどれほど大事かということはよく承知をいたしております。それから、そこはもう本当にそれぞれの業者の方に不快な思いをさせることが間違ってもあってはならないということでかなり徹底をしたつもりでございますが、お一人お一人の方々が委員御指摘のようなお気持ちをお持ちであるということは、私として、省をお預かりする者として深く反省をせねばならぬことだと思っております。
 もう一度、それぞれの方々がどのような思いでいらっしゃるか、委員御指摘のように、その損害を払ってくれということだけじゃなくて精神的な苦痛をどうしてくれるかということも私どもよくよく胸に置いて、これを引き起こした第一義的責任は私どもにもあると。もちろん三笠フーズが悪いに決まっているんですが、私どもがちゃんとしていればこんなことは起こらなかったのだという認識を職員一人一人が持たねばならないということだと考えております。
○米長晴信君 とにかく、これは三笠フーズに端を発した事件、この概要を、三笠フーズが単独犯なのか、どこかのところと共犯なのか、あるいは薄々知っている共同正犯みたいなのがいるのか、これは何社による不正流通事件で、あとは善意の第三者というような位置付けなのか、もっと根が深いのか、そういうことをまず、この事件を、今警察が入っているということですけれども、農水省としてもやっぱりこれはどういう事件なのかという概要をきちんと把握をして、本当に救済をするのにそういう真心を込めた調査をして、でもそれと間違って公表してしまったという業者、そこは僕は切り分けて、そこは特に念入りに誠意を持って対応していただきたいというふうに思います。
 時間が少なくなってきましたので、これについては、この工程表、大臣も自らここは不適切だと、済みと書くのはおかしいというようなこともおっしゃいましたけれども、今日行った議論を踏まえて、これインターネットで公開されていますから、きちんと私の趣旨にかなった、すなわち国民が知りたいと思う部分のことを加味してこれを直してください。いかがですか。
○国務大臣(石破茂君) それは国会の場で適切ではない、あるいは私の細心の配慮が足りなかったということを申し上げました。そうであれば、これは速やかに直さねばならないと思っております。また、直すに当たりましては、委員の御意見、御指摘をよく踏まえた上で直していかねばならぬ、早急にこの作業に入ります。
○米長晴信君 ここの国会の場で指摘したことでございますから、いつもありがちなパターンは、インターネットで人知れず公表して、それをもう公表していましたということですけれども、改めてこの委員会に提出をしていただきたいというふうにお願いをいたします。
 最後、もうちょっと時間がありますので、最後に、この汚染米とは違う、汚染米だけどこの工程表とは違う部分で、工業用のり、これの需要の話、これは閉会中審査で私取り上げさせていただいて、そのとき答弁をいただけませんでした。その日の質疑の中で、需要を一万五千トンと考えていると。でも、実際には六千五百四十六トンしか農水省から売っていなかった、五年間で。しかも、それが三笠みたいに一粒たりとも工業用のりに回していなかったということがありますけれども、今の時点で、実際その六千五百四十六トン五年間で売った中で、どれぐらい実際に工業用のりとして使われたんですか。
○政府参考人(町田勝弘君) 今回の事故米穀に係ります調査の結果、工業用のりとして使途が確認されましたものは、五年間で売却をいたしました六千五百四十六トンのうちの千九百七十二トンでございます。
○米長晴信君 五年間で千九百七十二トンですから、実績が、五年間。一年間に直すとその五分の一ですよ。年間一万五千の需要があるなんというのは本当にでたらめな試算であるから、これは過日の閉会中審査の中で答弁として、需要は一万五千と認識しているということでしたけれども、これは撤回してください。いかがですか。
○政府参考人(町田勝弘君) 本年九月に私ども工業用のり需要を推計した際に一万五千トン程度というふうに潜在的需要があると見込みまして、その旨、九月十八日の本委員会で答弁を申し上げたところでございますが、実態は先ほど申し上げましたとおり千九百七十二トンということで、この推計は大変甘い推計でございました。よく本当にもっと精査して御答弁をすべきだったというふうに思っておりまして、深く反省しているところでございます。
○米長晴信君 反省じゃなくて、一万五千というのはもう農水省としては数値を使わないと約束してください。違うということを認めてください。
○政府参考人(町田勝弘君) この時点での推計というのはもう実態と合っていませんので、今後使うということはございません。
○米長晴信君 とにかく国民目線でしっかりと監督していただきたいというお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。
○舟山康江君 民主党の舟山康江です。
 引き続き汚染米関係の質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、平成十九年一月二十九日に届けられました内部告発の手紙の件について少し確認させていただきたいと思います。
 この内部告発の手紙の中に中国モチJH002、また、中国モチZL014と、二つの番号が書かれております。
 以前、党内の部門会議におきまして、担当の課長さんの方から、これはロット番号だという回答をいただきましたけれども、これは、そのロット番号のお米は農水省で汚染米と認識していたものだと、認識できていたのかどうか、確認したいと思います。
○政府参考人(町田勝弘君) ただいまお話のあった番号でございますが、厚生労働省さんがお調べになった結果、三笠フーズが分析サンプルを検査機関に送付した際に、そのサンプルに記載されていた番号であるということでございます。
 この番号をどのような意味で記載したかどうか、三笠フーズでございますが、ちょっと私ども分かりかねているところでございます。
○舟山康江君 ということは、ロット番号、認識していたロット番号ではないということで、知り得なかったということだと思いますけれども、ちょっと別の観点で。
 平成十八年の六月二十八日のプレスリリースの中で、平成十七年度現在に在庫として所有しているMA米を全量検査していますよね。そして、その結果を公表しています。その結果、平成十五年度に中国から輸入したモチ精米から〇・〇五ppmのメタミドホスが検出されたということが公表されています。そして、前回、九月十八日の閉会中審査における山田委員の質問に対する回答と合わせますと、この量が三千四百トンであるということだと思います。ちょうど、先ほど平野委員からの質問の答えとも大体合っていると思うんですけれども、この三千四百トンの政府在庫として、その当時ですね、この検査のときに持っていたお米が、その後どこにどれだけ売られていたかというデータは把握しているんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) メタミドホスにつきましては、この中国産モチ精米、三千四百六十九トンでございます。これは五社に販売をされております。このうち、三笠フーズ、浅井、太田産業の三社が購入目的以外の転用をしていたということでございます。残りの二社につきましては、購入目的どおり使用していたということを確認しております。五社は確認しております。
○舟山康江君 それは、今はその数字が出ていますけれども、どの時点で販売先と販売数量を把握して、その販売の時点できちんと把握して、把握した上で販売したということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) さようでございます。
○舟山康江君 そうしますと、早い段階から三笠フーズには八百トン売却されていたということが分かっていたはずですよね。
 そうなりますと、もう一枚、その数日後、二月二日にもう一枚の告発文書が出ています。この中では、五百トンから八百トンと数量も指定しているんですよね、告発文の中で。ここには五百トンから八百トンという数量が出ている。そして、一月二十九日の告発文の中では、残留農薬〇・〇五%と、その農薬の濃度が指定されております。
 これ不思議な一致なんですけれども、二枚目の告発文で数量が特定され、一枚目の、一回目の告発文で怪しげな、何というんでしょうか、残留農薬の濃度が書かれています。そしてこの〇・〇五%というのは、その入っている残留農薬の種類はここには書いていませんけれども、まさしく十八年六月二十八日に検査のプレスリリースで報告した〇・〇五ppmのメタミドホスと、この濃度と奇妙に一致しているわけですよね。
 この二つの文書を合わせると、非常にこれかなり、何というんでしょうか、横流しを類推できると思うんです。分からなかった、検査に行ったけれども見付からなかったではなく、これとその二枚の告発文、そしてさらにはここに同封されている検査報告書。こういった検査報告書というのは、一般的に米の売買のときに付けられるものなんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 一般的な米の売買におきましてこのような検査証明書が添付されることはないというふうに承知しております。
○舟山康江君 やはりそうだと思うんです。だって、そもそも本当に付けるんであれば、いろんな項目全部検査して、それぞれどういう分析結果だったかというのが出なきゃおかしいのに、メタミドホスだけ特定して検査報告書を付けていると、これも非常におかしいわけですよ。三つの非常に極めておかしい証拠をこの二つの告発文書で提示しているにもかかわらず、ただ漫然と通常の検査をしていたということになるわけですけれども。
 やはりそれは、有識者会議の取りまとめ案でも、現場の検査がずさん、もちろん現場の検査がずさんだということは私も否定しませんし、もっと復命書見てもひどいものですし、もっときちんと検査していればという思いはありますけれども、その現場の責任というよりも、まず受け取って、それをさてどうしようかといった本省側の危機管理意識の欠如、そこに思いが至らなかったと、そこに最大の問題があると私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。
 これらの、こんな具体的なものを提示されていたのにもかかわらず、三笠フーズにも聞いていない、そしてその検査証明書の厚生労働省にも何も聞いていない。余りにも、今まで確かに対応が悪かったという反省の言葉は何度も聞いていますけれども、やっぱりこれ、改めてこの内部告発書って非常に何かもう本当によくできて、でき過ぎているぐらいできていまして、これを見て気付かないというのはもう私は信じられないと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) おおむねそのとおりだと思います。
 ですから、先ほども答弁を申し上げましたが、この告発なるものをだれがどのように見たのか、あるいはどこで何で止まったのかというルールがないわけですよ。ルールがあろうがなかろうが、これは大変だといって上に上げなきゃいかぬのですけれども。この告発の意味するところは何でしょうかという、告発はまず真実だと思ってかからねばならないのだということだと思います。中には人をおとしめようとか混乱に陥れようとかそういうものがないわけではありません。そんなものも実は山ほどあります。ただ、やはり告発はまず真実であるという前提に立って見ていかねばならないのだと、行政というのはそういうものだと思います。
○舟山康江君 本当にそのような御認識でこれからしっかり対応していただきたいと思いますけれども。
 本省の、少なくとも部長なり局長まで上がっていなかったにしても課長までは上がっていたわけなんですよね、この段階で、最初の段階で。やはりその課長個人が悪いという、責めるつもりもありませんけれども、やはり今大臣が御答弁いただいたそういったスタンスで、今後しっかりと、特に今回かなり細かい指摘している告発文書なわけですよ。やはりそこはきちんと対応するように本当に反省いただきたいと思っています。
 次に立入検査、具体的な立入検査について少し触れさせていただきたいと思いますけれども、これ、今回の事件が発覚した後に分かったことは、三笠フーズに九十六回、浅井に二十一回、太田産業に三十回、島田化学工業に二回、それぞれ立入検査をしていますけれども、この法的根拠、立入検査の法的根拠は何なんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 国が事故米穀の買受け業者と売買契約書を締結するわけでございますが、この売買契約書の中に、国は必要があるときは、事故米穀の買受け業者に対しまして、その業務又は資産の状況に関して質問し、帳簿書類その他の物件を調査し、又は参考となるべき報告若しくは資料の提出を求めることができるといった調査報告の規定が盛り込まれております。
 御指摘の立会いでございますが、この契約条項に基づき行われたものでございまして、食糧法五十二条に立入検査の規定がございますが、この立入検査として行われたものではございません。
○舟山康江君 そうしますと、国が直接その事故米穀を売った業者に対してはすべて立入検査をするという、契約に基づいて、法律ではないけれども、その契約に基づいて立入検査をしていたという、そういう位置付けでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 契約に基づく調査でございます。
○舟山康江君 ほかの業者に対しても立入調査をしていたんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 実態を見ますと、この食糧法に基づく立入検査、これまで余り発動をされておりませんでした。三笠フーズ、またそのほかの会社につきましてもそういった運用実態がございまして、契約に基づく立会い調査等を行ってきたということでございます。
○舟山康江君 食糧法五十二条に検査の規定がありますけれども、これはなぜ五十二条に基づく検査というのができなかったのかなというふうに思うんですけれども。
○政府参考人(町田勝弘君) 御指摘のとおりだというふうに思っております。
 私ども、今回の事案を反省いたしまして検査マニュアルを作成したわけでございますが、その作成に当たっては、この法律に基づく立入検査を行う、かつ抜き打ちで行うということを原則としたところでございます。
○舟山康江君 ところで、食糧法の改正によりまして、米穀の、米の取扱業者が登録制から届出制に変わりました。その前は許可制でしたけれども、届出制だと。一定以上、二十精米トンですよね、一定以上の米を扱う販売業者だったりというのはきちんと届けなければいけないという規定があります。
 実は、この一斉点検をした結果、購入目的に反して使用した業者が幾つかありましたし、そうではない、きちんと使っていた業者もありますけれども、全部で十七業者あります。この十七業者を調べましたところ、届出をしている業者というのは一社。また、旧法上の登録業者というのは自動的に届出とみなされますので、あえて届出する必要がありませんので、いわゆる合法的なというんでしょうか、きちんと届出なり登録している業者、それが旧法上の登録業者が四社ありまして、合わせて五社はきちんと手続を踏んでいると。逆に、その残りの十二社、七割ですよね、十二社は届出も何もしていないわけなんです。恐らくこれが規定数量以下の米しか取り扱っていないということではないと思いますけれども、これは法律違反ではないんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 御指摘いただきましたのは、食糧法の四十七条の規定でございます。米穀の出荷又は販売の事業の届出ということでございまして、今御指摘いただいたように、精米ベースで二十トン以上の事業者、出荷数量また販売数量がそういった数量の事業者が届出の対象者でございまして、米穀の加工業者、これは届出の対象とはなっていないということでございます。
○舟山康江君 そうしますと、食糧法五十二条で先ほど言われた検査権限について規定していますけれども、これに基づく検査というのは、その届出していない業者、そういった加工業者は含まれていないと今おっしゃったんですけれども、その業者も検査はできるわけですか。
○政府参考人(町田勝弘君) そのとおりでございまして、五十二条に基づく立入検査につきましては、届出事業者だけでなく、業として主要食糧の出荷、販売、輸入、加工若しくは製造を行う者を対象としておりまして、浅井等を含めた米穀の加工業者も検査の対象とできるということでございます。
○舟山康江君 ちょっと根本論をお聞きしたいんですけれども、そもそもこの食糧法の中の主要食糧というのは工業用のりの原料等となるこの事故米穀も含まれるんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 非食用の米穀につきましても食糧法の対象から除かれておりませんで、この法律の対象となるということでございます。
 その理由でございますが、非食用の米穀が主食用に横流しをされますと、食用の米の需給に影響が生ずるためでございます。また、用途ごとの適正な流通を確保するために、政府所有米穀の売渡しに当たっては、農林水産大臣は用途の制限など附帯条件を付することができるとされているところでございます。
 ただ、今回こうした法令や契約に違反した事故米穀を横流しをしました事業者をチェックできませんで、長年にわたって見逃していたことにつきましては、深くおわびを申し上げる次第でございます。
○舟山康江君 法解釈上含まれるとおっしゃいましたけれども、多分、実態上はどこか別物として扱っていたのかなという気がしてならないんです。
 例えば、通常のMA米を加工原材料用に売り渡す際には変形加工をしています。それはなぜかというと、横流しを防止するためにやはり一定の変形をすると。まあ、実際粉にすれば横流しが防止できるかといえば、そうでもないという部分がありますので、このこと自体大きな問題をはらんでいるとは思いますけれども、その問題は置いておくにしても、通常のMA米についてはやはり横流し防止のある一定の措置がとられていたと。それに対しまして、こういった事故米穀に関してはそういった加工も何もせずに、まあ相手を信じていたからかどうか分かりませんけれども、でも、その観点でいえば別に通常米だって何も変形加工する必要はありませんので、やはりそういったことを考えますと、どうも、法律の枠内には入っていると、その法解釈上はそうなんですけれども、実態の運用上は何かちょっと別物として扱っていたという、そんな気がしてならないんです。
 やはり私は、法律上は対象内といっても結局実態上もしっかりと管理しなければ何の意味もない、法律の意味もないと思っておりますし、やはりそこはもう一度きちんと改めて主要食糧にはこういったものも入ってきちんと責任を持って見ていくんだと。まさに主食であるし、それこそ、後でまたちょっと別の観点で質問をしますけれども、いわゆるその輸入に当たっても国家貿易をしているということで、やはりこれは慎重にきちんと国が責任を持ってやらなければいけないと思っております。
 もう一点、その変形加工についてなんですけれども、私もちょっと先入観でカドミウム米については着色と、そんなふうに思っていたんですけれども、実は合板接着剤原料用米穀の委託変形加工業務取扱要領というものがありまして、この中でカドミウム米について着色しなければいけないという規定があるんですけれども、これを見ますと、私はカドミウム米だけかと思っていたんですが、この着色をしなければいけないものというのは、ちょっとこれ昭和四十九年の古い要領なんでかなり言葉遣いも古いんですが、配給不適となった政府保有米穀を合板接着剤の原材料に売り渡すに当たり横流れ防止のため変形加工をしなければならないと、そういうふうに規定しているんです。だから、カドミウム米を着色しなければいけないのではなく、配給不適、まさに今回の事故米穀も同じだと思います、配給、食用に供給するのは不適だと。そういった意味でここにすっかり当てはまると思うんです。しかも、ここで言う変形加工というのは、粉砕して着色することなんですよ。さっきMA米のところで変形加工をしていますと、このときに着色しているんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) カドミウム米につきましては、変形加工をし、粉砕、着色しているということでございます。
○舟山康江君 今の質問は、カドミウム米はもちろんなんですけれども、MA米についても着色を、MA米の加工原料用に売り渡す際の変形加工の中には着色も含まれているんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) MA米につきましては着色はしておりません。
○舟山康江君 これ、私は、ここでいう変形加工という言葉の定義をもう一回しっかりと検証していただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたその昭和四十九年の合板接着剤原料用米穀の取扱要領における変形加工というのは、粉砕プラス着色なんですよね。ですから、一般的に変形加工というのは粉砕して着色をすることだというふうにここでは思うんですけれども、MA米のときの変形加工というのは粉砕だけだと、破砕だけだということであります。
 しかも、さっき指摘しましたけれども、配給不適となった政府保有米穀を、まあ食用以外ですよね、食用以外に売り渡すときには、横流れ防止のときにそういった措置をとらなければいけないというふうになると、事故米穀もやはり本来はきちんと粉砕なり着色なり変形加工をすべきだったんじゃないかと、これは要領をきちんと守っていなかったということだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 確かに、食用に回らないということで、粉砕をした上で着色をしているということでございます。
 この事故米につきましても、とにかくもう早く物品処理、経理処理をするということで、着色等の横流し防止の措置をとっていなかったということでございます。確かに、ここにはカドミウム汚染等と書いてございますので、それは対応としては極めて不適切だったというふうに思います。
○舟山康江君 結局、やはり、何というんでしょうか、制度そのものの不備でこういう問題が生じたという側面もありますし、制度があるにもかかわらず、きちんと厳格にその制度を運用していなかったということがこういった大きな問題を引き起こしてしまったということにもつながっているんじゃないかと思います。
 やはり、ここはもう一回、いろんな、私も本当にびっくりする、いろいろ見ていて、わあ、こんなにいろんな規則があるんだとびっくりしたんですけれども、やはりそれぞれをもう一度見直して、多分この段階、この昭和四十九年の段階ではまさか外からお米が入ってくるなどとも思いもしないし、食用不適なカドミウム以外の汚染米、それこそ食品衛生法六条、十一条違反の米が存在することになろうとも思っていなかったかもしれませんけれども、でも、それにしてもよくできたもので、きちんと読めるようになっているわけですよ。であれば、きちんとしっかりと運用をして防いでいただくようにしてもらいたいと、そんなふうに思っています。
 さて、ちょっとこれは確認なんですけれども、今後、事故米穀は廃棄又は積み戻しにより返送で対処するんだということで、出回らないよとなっているんですけれども、これ契約上、一回輸出国の検疫を通って日本に入ってきて、輸入国の検疫なり検査なりで違反だと分かったときに、輸出国に返品するのは、これ契約上可能なんでしょうか。本当に可能なんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 今の御質問に御答弁する前に、若干先ほどの答弁を修正といいましょうか、訂正をさせていただきたいと思います。
 この御指摘である四十九年の通知でございますが、平成七年に廃止をされているということでございます。ただ、この通知があってもなくても、工業用として売る事故米穀については、粉砕とか着色とか、そういった横流れ防止措置を講ずるべきであったと、極めて不適切であったという思いは変わりません。
 お尋ねの、済みません、ちょっとお時間をいただきまして、積み戻しによります輸出国等への返送、廃棄物等処理、これにつきまして、食品衛生上問題があるとされたお米につきましては、この二つの方法で処理をするということで、国と輸入業者の契約にその旨明記をしたところでございます。
 輸出国等への返送や廃棄処分につきましては、輸入業者の責任におきまして実施をされまして、その処理費用につきましても輸入業者が負担するということになります。このため、輸入業者におきましては、保険契約の締結等の措置を検討しているというふうに承知しております。
○舟山康江君 ちょっと時間がなくなってきましたので次に進みたいと思うんですが、米の流通経路についてお尋ねしたいと思います。
 私も今回の三笠フーズの問題でこんなに流通体系が複雑なのかということを初めて正直知りました。農水省で作った資料、三笠ルートの仲介業者等どのぐらい経ているのかというところを見ますと、最大で十業者ぐらい関与しているんですよね。これ、一般的に米の流通というのはこれだけ多くの仲介業者が介在するものなのかということを一般論で結構ですので教えていただきたいと思います。
○政府参考人(町田勝弘君) 一般論でございますが、主食用のお米に比べまして、こういった加工用の米穀の取扱業者というのはかなり流通的に数多くの業者が関係されているというふうに承知しております。
○舟山康江君 今回、工程表の中にも米流通制度検討という項目もありますけれども、やはり私は、この流通経路をもう一度再検討していく、見直していくということというのは非常に重要じゃないかというふうに思うんです。やはりまず、仲介業者が多ければ多いほど価格はおのずと上がっていきますし、生産者がどんなに頑張って安いお米を、それこそ今非常に所得が低迷していて生産費も賄えないような厳しい状況でありますけれども、安く提供して末端では高くなってしまう、それは当然ながら、途中段階が多ければ多いほどそういった確率は高くなってしまう。
 しかも、今回、汚染米の問題、やはり最初は知っていたけれども途中で分からなくなってしまった。途中で値段が上がれば、当然、普通のお米だと認識して売買していたという人が出てきます。これは私は、これもあくまでも類推なんですけれども、汚染米でさえ主食用に回ってしまったと考えれば、汚染されていない通常のMA米だって加工原料用だと言われていたものもやはり大いに主食用だったり、粉だって大いにいろんな主食のもちだったりに行きますので、そういったことに回されているんじゃないかという疑念が生じますし。更に言えば、国産、国内で作られている主食用以外の分けられた加工用として出荷したお米だって、こんな複雑な流通形態の中でいつの間にか末端では主食用に回っているという可能性はこれは否定できないんじゃないかというふうに思うんです。
 実際にやはり現場の農家の方と話をしますと、本当におれの出荷しているこの加工用米、ちゃんと加工されているの、これもどうせ主食用に回っていて、米の市場を、何というんですか、供給を増やしていることになっているんじゃないのと、そういった疑念がすごくあるわけです。
 そういった意味で、やはりここはしっかりとこの事件を契機にこの流通経路をもう一回見直して、きちんと生産者も納得ができ、末端の消費者も納得ができるようなものにやはりきちんと再度検証する必要があると。やはりその不正をなくし、適正な価格の形成といういろんな意味でやはりこれは重要だというふうに思うんですけれども、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 不正をなくすためには検査体制を強化するの一語に尽きます。これはそういうこと以外にあり得ないだろうと私は思います。もう一つは、先ほど来お答えをしておりますが、米の流通体系をどうするかということなのですが、食糧法の時代に戻るわけにはならぬことであります。
 それから、新たな流通の在り方というもの、今御議論をいただいておって、それを私ども尊重していかねばなりません。ただ、私はやはり、委員御指摘のように、そういう本来安いものが高く売られちゃうというようなことが起こらないような検査体制、それは強制力を含むものもございますが、それを強化するということがまず第一義的にあるのだろうというふうに思っております。
○舟山康江君 済みません。最後に、この汚染米を引き起こしたもとのこのミニマムアクセスについてお尋ねしたいと思います。
 ミニマムアクセスのこの解釈につきましては、平成六年五月二十七日の衆議院予算委員会において政府統一見解というものを出しています。ここでは、一般的には輸入機会の提供だと。その一方で、国家貿易だから通常の場合には当該数量の輸入を行うべきというふうに解釈していますけれども、例えば今回、不落が出ていますよね。きちんと輸入機会の提供をして入札に掛けたけれども落札できなかった。この場合はきちんと輸入機会の提供、義務として輸入機会の提供だというふうに解釈していいんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) そのとおりでございます。
○舟山康江君 そうしますと、結果的に、平成六年五月のときには、海外で不作等のそういった不測の事態のときには全量輸入しなくてもいいと、かなり限定的に書いていますけれども、今回、今のお答えですと、提供はしたけれども結果的に落札できなかったというのもこれに当たるということでいいんですか。
○政府参考人(町田勝弘君) 失礼いたしました。私が今申し上げましたのは、この十九年度の不落分がございました。これは国際的に非常に価格が高騰して、入札機会を提供したけれど結果として不落があったということでございます。これは先ほどお話がありました統一見解の(3)の例外的なケースに当たると、そういうことを申し上げました。言葉が十分でなく、失礼いたしました。
○舟山康江君 私はやはり、今手元に参考としてお配りしたのが、これも改めてなんですけれども、今年の九月にジュネーブでWTOに関する議員会議がありました。日本から篠原孝衆議院議員を団長といたしまして三人の国会議員が行っていますけれども、このときにミニマムアクセスはどう解釈すればいいのかということをファルコナー議長に質問しています。これに対する答えとして、あくまでもミニマムアクセスというのは、購買要件ではなく、機会を提供してある一定の量を輸入することを許すという意味だと、輸入義務はないということを明確に回答しています。これは明確化する必要があるとも言っていますよね。輸入せよとも言っていない、これを障壁と見るのは正しくないという、こういった回答もあります。
 私は、今までずっとこの政府統一見解に縛られて、何か、とにかく枠を提供して全量輸入しなきゃいけないんだと言っていますけれども、私は、これと今回のこの入札の結果、落札する人が全部いなかったということを受けて、やはりきちんと枠は提供している、一定量の機会を提供しているんであれば、結果的に全量を落札できなかった、全量を輸入できなかったということも、でもきちんとまさにこの義務は果たしていると解釈して十分だと思います。これは国内の解釈なわけですよね。WTOでこうしろということを決めているわけでもなく、しっかりと門戸も開いていますし、機会も提供している。そこで、じゃ国内でどう解釈するのか。そういった場合に、やはり国内的に不利な解釈をする人はいないと思います。
 そういった意味で、やはり解釈できちんとこれでいいんだということをここでしっかりともう一回確立する必要があると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) それは機会の提供なのであって輸入の義務ではないのだというふうに、それは形式論理として言うことは私は不可能ではないと思っております。また、局長が答弁を申し上げましたように、結果的に不落ということはあるわけでございます。ただ、それはあくまで例外的なお話であって、それでは輸入をしない、MAはもう単なる機会の提供なのだから、輸入の実績がなくてもそれでもよいのかといえば、それはまた違うお話でございます。
 これはもうWTOは我が国だけでやっているわけではございません。多くの国の利害があり、それを調整する場としてWTOがあるわけでございますが、そこにおいて紛争解決の委員会、パネルというんでしょうか、そういうものに提訴をされたときに本当にそこが持ちこたえるかということはあるんだろうと思います。
 もう一つ、私どもが、七七八でしたかしら、非常に高い関税を張っているということをどのように考えるかということであって、ミニマムアクセスは機会の提供だ、義務ではない、だから入れる必要はないのだという議論は私は一面的に過ぎるだろうと思っております。
 ミニマムアクセス米が入ってこないのがそれは一番いいに決まっているわけで、入ってこないためにはどうするのだという議論を、それはきちんとしていかねばならぬのだろうと思いますが、私自身は、機会の提供なのであって輸入しなくてもいいという論にはくみすることはございません。結果として不落であり、それが達せないことはある、それはあくまで例外だということを申し上げているのです。
○委員長(郡司彰君) 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○主濱了君 民主党・新緑風会・国民新・日本の主濱了でございます。早速質問に入らせていただきます。
 まず、農政に対する石破大臣の御決意と、こういうことでお伺いをいたしたいと思います。
 私、農家をぐるっと回って歩いているんですが、その中で、昨年までは、もう自分の代で農業をやめると、こういったような話がよく聞かれました。しかし、今年に入りましたらば、もう今年でやめだ、来年はやらないと、こういうふうなことを言っている人が結構おります。これはもうよく分かるんですよ。米価が低迷している、そして今年に入ってから資材が上がっている、肥料が上がっている、そういうふうな状況です。とてもやっていられないと、こういう気持ちの表れであると、こういうふうに思っているところであります。
 いずれ、このように農業をめぐる環境というのは極めて厳しくなってきているんですが、この点に対するまず石破大臣の御認識と、そして農政推進への御決意についてまずは伺いたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 先般も申し上げましたが、とにかく生産額は落ちていると、農地は減少をしていると。そしてまた、私が一番深刻に考えておりますのは、農業者の高齢化であります。これを、言葉はいろいろありますが、中核的農業者と言ってもいいし、担い手と言ってもいいし、またそこの厳密な定義はきちんとした上で論議をしたいと思いますが、昭和一けたの方々が中心に担ってきたということですね。それがもう七十代になっておられるわけであって、そうすると、あと十年、二十年たつとどうなるんだということだと私は思っております。
 自給率ということも確かに大事なのかもしれませんが、私は、自給率というのは因数分解をしてみれば、農地であり、農業者であり、そして農業インフラストラクチャーだと思っています。それがみんな落ちている、弱っている、脆弱化していると、このことが極めて問題なのであって、そのことを一つ一つ点検してみなければいかぬのじゃないかと思っております。それは、全部正しかったらこんなことになっていないのであって、どこが過てる点であったかということは虚心坦懐に議論をしなければいけない。過てる点は正す勇気を持たねばならないと申し上げたのはそういう意味でございます。
 加えて、農村あるいは漁村、山村の疲弊というものを考えてみましたときに、農業だけで生活している、農業の場合、特にそうですね、生活しているというおうちはそんなに多くない。就業機会というものが減少しているということが農村、山村のいわゆる限界集落化というのをもたらしているのではないか。
 ただ農業だけに着目するのではなくて、農商工連携の議論もまたさせていただきたいと思いますが、これはいろんな方面から検討をしなければならない。これも先般申し上げたことですが、残された時間は極めて短いと思います。そして、選択の幅はそんなに広くないと思っています。
○主濱了君 大臣の今の御答弁の中で先般という意味がちょっと分からなかったんですがね。質問を続けさせていただきます。
 食料・農業・農村基本計画には、「意欲と能力のある担い手」と、こういう表現があります。それから、大臣の先日の御発言の中にも、意欲ある者とか、それから意欲ある担い手と、こういう表現がありました。どのような担い手を想定しているのか、考えているのかと、こういうことでございます。
 先ほどちょっと申し上げたんですが、現在、年金とか兼業の方のボーナス、これをつぎ込みながら自分の負担で農業を続けている農家が現実にあるんですよ。そして、これらの農家も、食料生産はもちろんのことですけれども、農村を構成し、そして農村文化を守り、さらには農業の多面的な機能も果たしている、こういう人たちなんですよ。こういう人たちと、この意欲ある者とか意欲ある担い手、これどう違うのか。この点をちょっと説明をしていただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 調べてみますと、意欲と能力というのは一体いつから登場したかといえば、昭和五十年から登場しております。もう今から二十数年前の話ですが、五十年四月の農政審議会で、今後の生産の安定的な確保を図るためには人的な側面からも農業の潜在的なエネルギーを高めていかねばならない。このため、農業への意欲と十分な経営能力を有し、今後の農業生産力の発展の担い手となろうとする者を重視し云々と、こういうことが書いてありまして、これはもう五十年のときから登場している概念です。
 文章になってはっきり表れてきますのは、平成四年の六月十日公表のいわゆる新政策と言われております新しい食料・農業・農村政策の方向というもので、厳しい現状が書いてありまして、その後に、この状況を打開し、農業経営に意欲と能力のある者を確保していくためには、農業経営を行う者がその持てる力を十分に発揮することによって所得を増大させることができ、経営の面白さや心の充足感を享受することができる条件を早急に整備しなければならない。このころ、私は田名部匡省大臣の下で政務次官をいたしておりました。もう随分前のお話でございますけれど。そのときから意欲と能力ということが一つのキーワードになっていたのだと思います。
 先ほど昭和一けた生まれの方がスライドしているというふうに申し上げました。当時は五十代、六十代であったのが今や六十代、七十代になっている。やはりそれは、委員おっしゃいますように、ボーナスとか年金とかをつぎ込んで農業を維持しておられる方がおられるのは確かにそのとおりであります。そして、稲作という面において水利というものは基本的に重要なものでありますから、ちっちゃなものをネグってしまうと水利そのものがめちゃくちゃになっちゃうということも確かにそのとおりでございます。
 しかしながら、これが持続的に発展していくものであろうかというお話はちゃんとしなければならないと思います。そして、日本の農業がこれから先、本当に国際的にやっていける、日本単独で生きているわけではございませんので、国際的ないろいろな流れの中で、仕組みの中で、持続的に発展していくためには何を政策支援の対象とするべきかというお話はきちんとしておかなければいかぬのだろうと思っています。つまり、現状固定であればそれでもいいのですが、次の時代にそれが維持できるのか。冒頭、御指摘になりましたように、おれの代でやめだと、もうあしたにもやめるというような方々に対して本当に今のままでいいのだろうか、政策の在り方をもう一度その辺りから議論しなければいけないと思っております。
 私は、年金やボーナスをつぎ込んで農業を続けられる方を否定的に解するつもりはございません。ただ、多様な農業主体に対してどのような政策支援を行うべきかということは、それは一様であってはならないと考えております。
○主濱了君 その点についてはもうちょっと議論を深めていきたいなというふうに思います。その議論を深めるためには、食料・農業・農村基本計画に掲げる目標、具体的には効率的かつ安定的な家族経営及び集落営農、この辺だというふうに思います。
 最初に申し上げておきますが、私は効率的、効果的な農業を否定するものではありません。ここだけはしっかりと押さえていただきたいと思います。ただ、これを実現するためには時間が掛かるんですよ、時間が。ここが問題だと私は思っております。
 この点についてちょっとお話を申し上げますと、この新しいだるまの資料ですね、皆さん御存じかと思うんですが、新しいこのだるまの資料の中の実は二ページ、部門別規模拡大の進展状況、規模拡大の進展状況というのがあります。この中の水稲というのがあります。ここでは昭和三十五年から平成十七年まで、実に四十五年かかって一・七倍になっております、一・七倍。四十五年かかって一・七倍。これ平均伸び率、年平均伸び率に直しますと大体一・二%、本当に小さな伸びしかないと、こういう状況になっております。
 最近十年間、ここは、今のは四十五年間ですね、最近十年間のもので見ますと、平成七年から平成十七年までの十年間で見ますと、全体では一・五ヘクタールから一・七六ヘクタール、本州だけ見ますと、北海道を除きますと、一・一五ヘクタールから一・三ヘクタールと非常に、もっと厳しい、伸び率が厳しいし規模も小さい、こういう状況です。最近十年間の伸び率、平均伸び率にしてみますと一・〇%ぐらいである。最近の方が伸び率が減ってきているんですよ、現実問題として。こういう状況なわけです。
 そして、一方、先ほど申し上げました計画の中では、平成二十七年には効率的かつ安定的な家族経営及び集落営農が水田作では耕地面積と飼養頭数の七割から九割を占める、こういう目標になっております。それから、畑作の方におきましてはこの経営耕地面積と飼養頭数の約八割を占めると、こういうふうなことになっております。でも、先ほど申し上げましたように規模拡大は進まないと、こういう現状があります。としますと、この基本計画の目標を達成するまでの間にどんどんどんどん今の状況が続いていって農家が減少していく可能性がある、そして耕作放棄地がどんどん増加していく可能性がある、こういうことになれば、日本の農業にとっては本当に大きな大きなマイナスであると、こういうふうに思うわけです。
 平成二十七年、あるいはこの目標が達成するまでの間に何か現実的な対応を考えているのかどうか。その目標だけをねらってずっと行っても、その間ぽろぽろ落ちていったらしようがないでしょう。こういう意味で、現実的な対応を考えているのかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のとおり、特に水稲において経営規模の拡大が遅々として進んでいないと、そのとおりであって、これは十年前も二十年前も同じような議論があったのです。
 私は、日本の農業をアメリカとかオーストラリアと比べることは余り意味がないことだと思っておりまして、もちろん農法の違いは頭に入れた上で申し上げているのですが、じゃ、ドイツと比べてどうだ、フランスと比べてどうだといったときに、経営規模の拡大の遅さというのはこれは物すごく顕著であるというふうに思っております。これはいろんな要素があるんだと思いますが、そういう要素をもう一回きちんと分析をしてみて、どのように規模の集積を図るべきかということだと思います。
 今まで、農用地利用増進法とかいろんな法律を仕組んでまいりました。ところが、それがなかなかその期待どおりに動いていないというところがあるのですね。法律そのものに問題があるのか、その実効性の担保に問題があるのか、あるいは農地の価格というものをどのように考えていくべきなのかという議論もきちんとしなければいけないことなんだというふうに思っております。
 なぜ経営規模の拡大が進まないか、農地の集積が進まないかということは、委員おっしゃるように、目標、勇ましい目標を定めてそれまで一生懸命頑張るんだといって結果として駄目でしたということであると、私は先ほど時間が残されていないと申し上げましたが、そういう危機感を持っておりまして、本当になぜ進まないのかということをあらゆる原因の分析評価をして政策を打ち出していかねばならないと考えております。
 そういうような観点から、農地政策改革の具体化を進めまして年内にはその成案を得たいと思っておりまして、どうか当委員会におきましてもいろんな御意見をお聞かせをいただき、より良いものをつくらせていただきたいと思っております。
○主濱了君 ありがとうございます。
 それでは、主業農家についてお伺いをしたいと思います、主業農家ですね。
 皆さんお分かりのとおり、主業農家というのは農業所得が農家の所得の五〇%以上である、主となっているという、そして六十五歳未満の農業従事者六十日以上働いていると、こういったような農家なわけですが、実はこの主業農家、日本の農業の中核とも言うべき主業農家も実はここ十年減少しております。本当に中核と言うべきその主業農家ですら減少しているんですよ。販売農家というのはもっと大変です。この十五年間で三分の二に減っています。販売農家は三百万戸からもう今は百八十一万戸まで減ってきているわけで、三分の二を切っているわけであります。この主業農家もどんどんどんどん減っているんですよ。特に主業農家の中でも五ヘクタール未満、規模が五ヘクタール未満のところは著しく減っております。
 ですから、ここで私、言いたいのは、結局、その主業農家というのは、販売農家が三分の二というふうに著しく減っている、その例えば農地の受皿には今なっていないんじゃないか、主業農家ですらですね、こういう今農業の実態だというふうに思いますが、非常に危惧しているところでありますが、この主業農家、主業農家と意欲ある農家というのは一致はしないと思いますけれども、この主業農家に対する石破大臣の御認識と、そして、今のような実態があります主業農家に対する期待、それから今後の対応、この辺について御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 足らざるところはまた政務官の方から補うことになろうかと思いますが、センサスで見ますと、十二年から十七年について、販売農家数については二百三十三万七千から百九十六万三千というふうに減っております。主業農家につきましては五十万から四十二万九千と減っているわけですが、他方、主業農家一戸当たりの経営耕地面積は三・九から四・四ヘクタールに拡大をしているということでございます。したがいまして、販売農家全体の経営耕地面積に占める主業農家の経営耕地面積の割合は五二・三から五四・三、わずかでございますが増加をしているわけでございます。これで十分とは言えなくなる、つまり、農地の担い手の確保がこのような五二・三から五四に増えたのだというようなことで、それでいいのかといえばそうではないのでありまして、このままでは将来農地の担い手の確保が十分と言えなくなるだろうと思っております。
 ここはいろんな御議論があることかと思いますが、当省といたしましては、主業農家を中心とする認定農業者などの担い手の経営安定、発展を図るために、土地利用型につきましては水田・畑作経営所得安定対策を講ずる一方、果樹、野菜、畜産などの品目別の経営安定対策を講ずるということであります。あるいはスーパーL資金の無利子化、あるいは融資を主体とした機械、施設等を導入する際の融資残の自己負担部分への補助等々、いろんな政策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
○主濱了君 今まで規模の問題についてお話をさせていただきました。今度は収入の方に移ってお話をさせていただきたいんですが、農業所得といいます、まあ農業所得ですね、この農業所得で、先ほど申し上げましたとおり、農家の中には、もう来年、今年で終わりだと、こう言っているようなところもあります。これは本当に、端的に言って、大変な状況をどのように認識しているか、具体的に今の農業所得、米価低迷、そしてコストの高騰と、こういったような中で農業所得が現在どうなっているかというその認識と、それにどのように対応しようとするのか、ちょっと大ざっぱで大変申し訳ないんですが、この観点について御意見を伺いたいと思います。
○大臣政務官(野村哲郎君) もうこれは釈迦に説法じゃありませんけど、主濱委員十分御承知のお話でございまして、十八年の農家の所得を主業、副業別に見ますと、数字でございますのでちょっと小さくなりますが、主業農家一戸当たりの農業所得は四百二十九万、総所得は五百四十八万でございます。準主業農家一戸当たりは農業所得が五十九万、総所得は五百七十六万。副業的農家一戸当たりの農業所得は三十二万で、総所得は四百七十一万でございます。一方、勤労者の勤め先の収入といいますのは五百四十万でございます。
 今、少し細かい数字で申し上げましたけれども、農家と農家以外の世帯の所得水準につきましては、これはもう皆さん御承知のとおり、平均年齢とかあるいは所得が最も多くなる年齢、こういったライフステージによりましてなかなか比較するのが難しいというところもございます。ただ、今申し上げました数字でいきますと、農業所得だけでは勤労者所得の世帯の収入を下回っておりますけれども、主業農家と準主業農家については、これは農外所得を含めた総所得は上回っているということになってまいります。
 なお、これも主濱委員御承知のとおり、農家の所得、特に準主業者とかあるいは副次的農家は、生きがいとか楽しみ、こういうものもありますので、すべて農業所得だけを単純に比較するのはどうなのかなという思いがいたしておるところでございます。
 ただ、やはり先ほどおっしゃいましたように、ある程度の農家の所得、いわゆる農業で収入を得ていくということになっていきますとある程度の目標を定めなきゃならないわけですが、先ほど申し上げましたように、勤労所得とやはり遜色のない、そういったおおむねの目標を掲げるということで、大体五百万円程度が所得目標の目安にしているところでございます。
 ただ、これは全国平均でございますので、例えば委員の岩手でいきますと、県の方で認定農業者の所得目標を定めておりますのが四百四十万、私の鹿児島では四百二十万、ですからやはりこの地域性というものも加味していかなければならないんじゃないかなというふうに思っておりますが、いずれにしましても、この認定農業者なりあるいは水田・畑作経営所得安定対策等々の各施策を展開しているところでございます。
 ちなみに、この認定農業者でございますが、今増えつつございます。そういった意味でも、私どもがこういう施策を集中的にまた重点的にやりながら、担い手の育成、そしてその方々が要は先ほどお話のありました農地の受皿になっていくんだろうと、かように思っているところでございます。
 所得という面だけでいきますと、やはり若い人たちにとって、ほかの産業との所得を確保できる、そういう農業づくりの実現に努めてまいりたいと、かように思っているところでございます。
○主濱了君 ありがとうございます。
 同じ所得なんですが、今度は生産農業所得、トータル的な所得でお伺いしたいんですが、これは実は六月十日にこの生産農業所得について質問をさせていただいたわけですが、残念ながら答弁がなかったということで改めて質問をさせていただくものでありますが。
 この生産農業所得は実は低下傾向にあります。そもそもその生産農業所得というのは、農業総産出額に所得率を掛ける、まさに所得ですよね、生産からの所得、それプラス産地づくり交付金であるとか中山間直接支払交付金等の交付金を加えた額であると。まさに私は農家の所得の総計であると、こういうふうにとらえていいというふうに思っております。
 この生産農業所得が昭和五十年には五兆円台、前半は五兆円台ありました。それから、平成六年も五兆一千億ほどありました。以降、七年、これが四兆六千億に下がりまして、あと五年ごとにいきますと三兆五千五百、そして平成十七年が三兆二千、そして平成十八年、これはつい先日出た資料によりますと三兆一千億と、ここまでずっと下がっている、五兆から下がってきている状況にあります。私は、思うのは、これは農家の総所得であるというふうに考えますと、当然にも個々の農家の所得が減ってくるのではないかと、こういう懸念を持っているわけであります。
 それで、まず農家に元気になってもらう、こういうことを第一に考えたらば、中山間の直接支払交付金など国からの交付金、今後は経営所得安定対策に係る交付金も入ってくるでしょうけれども、こういったようなところで増額をして、このトータルの所得である生産農業所得を上げるべきではないかなと、このように思っておりますが、いかがでしょうか。
 それからもう一つ、もし平成二十七年、基本計画の目標年度でありますこの二十七年度の生産農業所得、これを把握しているのであれば、それも一緒にお伝えいただきたいと思います。
○大臣政務官(野村哲郎君) 今、主濱議員おっしゃいましたとおり、生産農業所得は、農産物の生産、販売を積み上げて、農業の総産出額から資材なりあるいはまた物的な経費を差し引いて、それに今おっしゃいます交付金、中山間地であるとかあるいは産地づくり、こういうものを加算したのが生産農業所得になっておるわけでありますが、御指摘のとおり、年々下がっておるところでございます。ただ、やはりここは基本的に考えていかなきゃならないのは、やはり、まず農業者自らが生産面において、一つは収入を上げる、そういう努力、もう一つは、今諸物価、物財費、上がっておるんですが、生産コストをどう引き下げていくのかと、この努力も私は基本的にはあると思います。
 ただ、御指摘のように、各種の交付金でございますけれども、例えば産地づくり交付金は地域の特色あるこれは水田農業の展開を推進する、あるいは中山間地はそれだけの条件不利地でありますので、そうした不利地を補正するという、そういうねらいがあるわけでございます。
 ただ、私はここをただ上げていくだけで、農家の農業生産所得を上げていけばいいのかとなると、いろんな形で、先ほど来指摘のございます担い手をつくらなきゃいけないじゃないか、あるいは認定農業者、こういうものも増加させなきゃいけないじゃないか、こういう政策も打っているわけでありまして、それとの整合性といいますか、政策目的をゆがめていくのではないのかなと、こういう思いがするわけでございます。
 ただ、さはさりながら、やはりここは私どもも農家をつくっていかなきゃならない、担い手をつくっていかなきゃならないということがございますので、今まで産地づくり交付金がありましたけれども、そのほかの枠外として来年度から、自給率を向上させる、あるいはまた土地の効率を高めていく、そういう意味でのねらいで水田等の有効活用促進交付金ということを来年度事業で計画化いたしておりますので、どうかその辺につきましても委員なり皆さん方の御指導、御鞭撻を是非ともお願いを申し上げたいというふうに思っているわけであります。
○主濱了君 それでは、先ほどもう一つ最後に付け加えました平成二十七年の生産農業所得の推計ですね、これ。
○大臣政務官(野村哲郎君) 済みません、答弁が漏れまして申し訳ありませんでしたが、平成二十七年のこの農業生産所得の目標というのは特に見込んでおりません。申し訳ありません。
○主濱了君 それじゃ今度、各論に入っていきたいなと思います。
 経営所得安定対策の中身、各論で非常に恐縮なんですが、端的に申し上げますと、過去実績の撤廃であります。これはもう何回も私はこの場で質問をさせていただいているんですが、小麦の自給率は一三%、それから大豆の自給率は二五%、これ食用だけに限りますと五%と、こういう非常に低いものであります。需要は十分あるわけですよね、これだけ自給率が低いわけですから需要はあるというふうに考えます。生産面の努力によってどんどんどんどん自給率を伸ばすことができる品目、部門であると、このように思っております。
 それで、生産条件の不利対策、要するにゲタの部分ですよね。ゲタの部分については固定払いと成績払い、これで農家を支援しているわけでありますが、この固定払いの方、平成十六年から平成十八年の生産に基づいて支給されると、こういうことであります。ただ、十六年から十八年、十六―十八の実績がなければこの部分の支給は受けることができないと。ですから、この実績が足かせとなって、ないところはもう作らないんじゃないかと、そもそも、こういうおそれがあります。一方において、十六―十八に作った生産実績があれば、これは今、麦、大豆を作らなくても何を作っても、まあ麦、大豆を作ってもいいんですが、作らなくてもここはこの部分の支給は受けることができると、こういうことになります。より条件のいいものに移っていって、麦、大豆でないかもしれない。結局、この過去実績があることによってこの麦、大豆、これを増産する体制にないのではないか、逆に足かせになっているのではないか、こういうのが私が懸念しているところであります。
 ですから、こういう観点から、何とかこの麦、大豆を増産して、食料自給率の向上を図るために過去実績を撤廃して、そして計画的に増産させることが是非必要だと、こういう意味から、過去実績の撤廃、これを御検討いただけないかと、こういう質問でございます。
○国務大臣(石破茂君) 私どもはWTOのルールの中でやっていかねばならないと、それはもう好むと好まざるとにかかわらずそういうことになっておるわけでございます。日本だけで生きているわけではありませんし、農業だけで生きているわけではございませんで、このWTOのルールの中でどのようにして麦、大豆というものを生産を高めていくかということを考えていかねばなりません。すなわち、過去の生産実績に基づく支払、固定払いでございますが、これは国際ルールにも適合した安定的かつ継続的な制度として導入をしなければいかぬという考え方から、削減対象とはならない緑の政策として制度を設計をしておるわけでございます。そこはもう御案内のことかと存じます。
 委員御指摘のように、麦と大豆の増産を図っていかなければなりません。したがいまして、そのため、経営規模の拡大により麦、大豆などの作付けを拡大する場合には過去の生産実績がなくとも固定払い相当額の支援を行うことにより、麦、大豆等の増産が増える担い手経営革新促進事業、これを講じておるところでございます。
 つまり麦、特に麦はそうなのですが、経営規模の拡大ということがコストを下げる上において必須条件でございます。これは米よりもその効果が大きいわけでございまして、この担い手経営革新促進事業というのはなかなかすごい名前だと私は思っているのですが、これを着実に実施をすることによりまして何とかこの経営規模の拡大を図り、コストを低減をさせ所得を上げたいというふうに考えております。
○主濱了君 一つだけ指摘をさせていただきたいと思います。
 この経営安定対策という一つの中心的な施策があります。それをほうっておいて、今のような経営革新という、そういうふうな周辺の施策で救うというのはいかがなものでしょうかね。私は、この中心の、もしそういうふうな過去実績がなくても支給できるような制度をつくったんであれば、その中心の制度を直せばそれで済むんではないでしょうかと、こういう指摘をさせていただきます。
 それからもう一つ、WTOのお話がありました。WTOの黄の政策の補助金であります。日本では、農業補助金のうちWTOの黄の政策に相当する補助金を削り過ぎているんですよ、現実問題として削り過ぎている。二〇〇〇年の約束水準は三兆九千七百二十九億円、こういう額になっておりますが、現在のAMS、この補助金の実績というのは七千億前後だというふうに聞いております。そして、これは農業総生産額の八%、WTO約束水準の二〇%弱と、こういう状況であります。
 ここは是非とも、WTO、世界の中で一緒に行かなければいけないというのはよく分かります。でも、麦、大豆、日本の国民のための麦、大豆、この生産の拡大を図るために、あるいは自給率の拡大を図るために、過去実績の要件を撤廃して、さっきの問題に戻りますが、過去実績を撤廃をしまして、AMS約束水準の範囲内で必要な支援、下支えをするべきであると、こういうふうに思います。
 WTOに顔を向けるか、今日本の農業は本当に大変なんですよ、麦も大豆も。日本の農業は大変なんです。ですから、その許される範囲内で日本の農家に顔を向けるか。WTOに顔を向けるか日本の農家に顔を向けるか、私はここだというふうに思っております。
 こういうことで、是非とも元気な農業の再生を図ることが大切だと、こういう観点から、もう一回この点について御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(石破茂君) それはそのように言えればそれが一番いいわけですね。ただ、私どもは、WTOに顔を向ける、そして日本の農業をないがしろにするとか、そのようなことを申し上げているわけではございません。これはもう長くこの議論に携わってこられた方はよく御存じのはずなのであって、国内的には、いやもう甚だしきに至ってはWTOを脱退してもというような方がいらっしゃいますが、そのようなことでこの国が成り立つとは私は全く思わないのです。
 緑の政策はよろしいのですが、黄色の補助金につきましては、定められた上限の枠の中であれば更に現在よりも増加をさせても協定違反である、このようには考えておりません。したがいまして、そのような政策を短期集中的に行うことは当然あり得ることでございます。
 他方、この黄色の政策については大幅な削減が求められているということも、これはコンセンサスになっておるわけでございます。そうしますと、この黄色の政策というものを長期にわたって安定的に継続的に講ずることは果たして可能なりやといえば、それは極めて危ないと思っております。
 そうしますと、先ほど革新という言葉を使ったのはなかなかそれなりの決意だと申し上げましたが、その黄色の政策を取ることによってどれだけ短期的に集中的にその効果を上げ得るかということに努力を尽くしたいと思っております。
 ですから、黄色の政策を使わないとは申しません。上限まではそれは使えます。ただ、それが安定的に継続的に使えるかというふうに問われれば、私は責任者としてそれはできないというふうに申し上げざるを得ません。
○主濱了君 私も、実はWTOを脱退しろとかWTOを無視しろと、こういう主張をしているのではないわけです。約束水準というのがあるじゃないですか。ですから、そこを有効に活用してくださいと、こういうお願いをしているんですよ。決してWTOを脱退しろとかそんなことを言ってませんよ。ここのところをよく御理解していただきたい。
○国務大臣(石破茂君) 私は委員がおっしゃっておられるとはゆめゆめ思っているわけではございません。答弁の中で申し上げましたように、枠の中であれば現在よりも増加させても協定違反になるとは考えていないということであります。
 これをいかに有効に使うかということでありますが、ただ、これを継続的、安定的にこの施策を続けることが長期にわたって可能かといえば、それは極めて難しいという現実を現実として申し上げているのでございます。
○主濱了君 この点についてはまた、まだまだありますので、議論をさせていただきたいというふうに思います。
 先に進ませていただきたいんですが、今度は米について、時間がなくなってきましたので一点だけお伺いをいたしたいと思います。
 十九年産米の生産費、これが出ました。一万六千四百十二円と、こういう格好で出ております。平均価格、これが六月二十五日現在で、この十九年産米の平均価格が一万五千七十五円と、六月二十五日現在というふうに聞いております。ここは完全にコスト割れですね、赤字です。
 さらに、このほかに手数料が掛かります。この手数料については、二十年の集荷対策でもこの手数料はしっかりと取りますよ、こういったようなことが明示されております。農家はこれまで含めると大きな赤字になるわけであります。
 このコスト割れの生産というのは、農家の負担、農家の犠牲において結局国民に食料を供給していることになると、こういうふうに私は思うわけです。岩手の先人の石川啄木の句ですが、要するに、働けど働けど我が暮らし楽にならざり、じっと手を見る、こういったような句があります。幾ら働いたって、これプラスになりませんよ。米を作って、平均的に米を作って、これはプラスにはならない、こういう統計なわけですから。
 やはり米作が、米が日本の主食であって、この米作が国民にとって本当に必要な生産なのであれば、コスト割れしないように米についてもしっかりと国が支援をするべきと私は考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) それは、人間の経済行動にはそれなりの理由がある、動機付けがあるのだと思っております。委員がおっしゃいますように、コスト割れでもお米を作る方が大勢いらっしゃいます。それは委員の選挙区もそうでしょう、私の選挙区もそうです。それは、ちっちゃな経営面積で多くの投資をして、トラクターを持ちコンバインを持ちと、その共用もなかなか思うようにならない、それはコスト割れを起こすわけでございます。
 それをそのまま是とするかといえば、それはそうではないでしょう。どのような形でコストを低減をしていくかということについて、私どももできる限りの支援をしていかなければなりません。そして、経営規模の拡大もそうです。そして、需要をどうやって増やしていくか、それは所得弾力性とか価格弾力性が低いものではございますが、例えば国民が一人当たり一日一口食べるだけでそれは物すごい需要の増になるわけでございます。それは、国として米についても所得補償を行えとかいろんな議論がございますが、それはそれで現状固定的な色彩が強いものだというふうに考えております。
 私どもとしては、どうやって所得を上げていくかということを考えていかなければなりません。コスト割れをするということが決していいことだとは思っておりませんで、それをどうやって農家の手取りを増やしていくかというためにいろんな政策は講じていかなければならないと思っております。
○主濱了君 この問題についてはまだまだ奥が深いので、今後とも議論をしていきたいなと、こういうふうに思っております。
 それから、実は他にも質問がありまして、今日わざわざお越しいただいている皆様には準備もしていただいたというふうに思っております。時間切れで大変申し訳なく思っております。
 以上で質問を終わります。
○佐藤昭郎君 自由民主党の佐藤昭郎でございます。
 石破大臣、大変な時期での大臣就任、おめでとうございます。八年ぶりに農水省にお戻りになったというふうに所信で伺いましたけれども、私も大臣の後を追うように久しぶりに外交防衛委員会からこの農水に戻ってまいりました。
 今朝から民主党の各委員の熱心な質疑、四方の質疑を聞いておりました。それぞれ私は非常に充実した内容であったと思います。特に、平野議員の相変わらずの明快な質疑には大変感心したわけであります。我々自由民主党も少数精鋭ではありますがしっかりやっていきたいと、このように思っておりますので、よろしくひとつお願いいたします。
 大臣の所信をこれ拝見いたしまして、私、ずっと各委員会の大臣の所信を聞いているんですけれども、これはやっぱり初めてですね。このような大臣の思いがきちっと詰まった所信というものは非常に感銘を受けたわけであります。我々だけが伺うのは非常にもったいないので、これは是非農水省もホームページ等でしっかり大臣の所信を広く国民に知らせていっていただきたいと、こんなふうにお願いする次第であります。
 今日は三つの点について、お時間ありませんから、項目について伺っていきたいと思うんですけれども、一つは地方分権改革と農林水産行政の在り方といいますか、組織の在り方という、少しこれ難しい問題ですね、これについて伺いたいと思います。
 報道によりますと、各新聞、これ農業新聞の十一月七日付けの新聞ですけれども、これ全国紙もそうですが、十一月六日に総理が地方分権推進委員長の丹羽委員長にお会いになって指示された。そして、その内容が、農政局を原則廃止と、こうなっているんですね。各紙ともこれ似たような報道であります。
 大臣は、所信でも八項目にわたる大変大事な政策を実行していくとおっしゃいましたけれども、この実行部隊のほとんどがこれ農政局なんですね。ですから、いきなり自衛隊ならぬ農水省の最高指揮官たる大臣が最初に実行部隊の大部分を廃止だという御指示をもしこれ総理からお受けになったとすると、これは大きな問題であるし、私のところにも地方の方からいろんな問い合わせが来ているわけですね。
 そこで、大臣の方からは、私どもは報道によってのみしか知り得ませんけれども、その十一月七日の閣僚懇談会の総理の御発言、指示、どういうものであったのか、それに対して、余り時間はないと思うんですけれども、農水省としてどういう対応方針をひとつ取っていかれるのか、これについて伺います。
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘の閣僚懇におきます総理の御発言の骨子はこういうことです。
 昨日、これは十一月七日ですから昨日というのは十一月六日のことでございますが、地方分権改革推進委員会の丹羽委員長を呼び、国の出先機関の改革を加速するよう指示した。視点は二つ、一、国と県との二重行政の排除、二、国会や国民の目の届かない出先機関を住民の目の届くようにすること、これが一つ。二番目は、十月三十日の記者会見で、大胆な行政改革を行った後、三年後に消費税の引上げをお願いしたいと言ったと。今回の改革がその一つであると。大臣においては、部下、職員を指導し、この方針を実行させるようにせよと。これが二番目。三番目は、地方団体へ移行する職員や過員、員数が過ぎると書きますが、過員となる職員については丁寧な扱いが必要であると、こういうふうにおっしゃいました。
 だから、新聞報道に出ているように、やれ農政局廃止だとか農政事務所廃止だとか、そういう個々具体的なことが閣僚懇で総理から御発言があったわけでは全くございません。
 委員も北陸農政局長をお務めでいらっしゃいましたから、農政局というものがどういうものか、農政事務所というのがどういうものか、それは当時と今と仕組みが違っているのかもしれませんが、それ、一番御案内のことだと思っております。私は、この二重行政になっているものありとせば、それは二重行政ですから排除はしなきゃいかぬだろうと。しかしながら、国が絶対にやらなければいけないものを本当に地方に移していいかと、そしてその国の政策目標が達せられ、国民が幸せになるかといって、そうでないものは、それは国が責任を持ってやらなきゃいかぬものだというふうに考えております。
 他方、地方にお渡ししたものがよいというものもあるいはあるかもしれない。だから、全部を守りますということを申し上げているわけではなくて、その一つ一つをきちんと、最初に結論ありきではなくて議論をしていかなければいけないと思っております。
 あわせて、総理からの御指示にもございましたが、どんどん切りゃいいんだというものだとは思っておりません。職員にもみんな人生があり、それぞれの家族がおるわけであります。こう決まったのだからというようなことは私は取るべきだとは思っておりませんで、総理がおっしゃる丁寧にやれというのはそういう意味だと理解をいたしております。
○佐藤昭郎君 安心して今のお言葉を伺ったわけです。
 地方分権推進委員会とはいろいろ過去にも農水省やり取りがありまして、我々自由民主党の農林部会等でも、地方分権推進委員会の丹羽委員長を始め出てきていただいて、いろんな議論をさしていただいた。例えば、農地転用の四ヘクタール以上の許可権限を大臣から県に移せとか、あるいは農振地域の、農用地の整備計画については国の合い議は一切もう必要ない、県でとどめろとか。結局これはいろいろな議論をして、今後、農地政策改革検討チームの全体の検討結果を待って再度検討するというふうにして、途中になっているんですね。こういう状況の中で、今度はいきなり組織改編ということが出てきたわけであります。
 今日はお時間もありませんので、地方分権推進委員会からも出てきていただいていますが、この地方分権推進委員会の工程表ですね、地方支分部局の改革についての。それと内容、どういうスケジュールでどういう視点で今後進めていかれようとしているのか、教えていただきたい。
○政府参考人(小高章君) お答えいたします。
 地方分権改革推進委員会では、国の出先機関の見直しにつきまして、本年初めから本格的な検討に着手し、関係府省からのヒアリングや全国知事会を始めとした関係者との意見交換などを繰り返し行いつつ、調査審議を進めてきたところであります。
 この間、本年五月二十八日に行った第一次勧告では国の出先機関の改革の基本方向を提示し、八月には国の出先機関の見直しに関する中間報告を取りまとめ、事務・権限の仕分の考え方の具体化や国の出先機関の組織の見直しに関する基本的な考え方などを明らかにいたしました。さらに、事務・権限の仕分につきまして各府省の見解を求めた上で、本年九月以降、主要な事項について関係府省と公開討議を行うなど、出先機関の事務・権限の見直しにつきまして議論を進めてきました。
 先般、麻生総理から丹羽委員長に対し、国と地方の二重行政の排除や出先機関を住民の目の届くようにすることなどの視点から、抜本的な統廃合を検討してほしい、また年内にも総理御自身が勧告を直接受け取り、決断をするべく、この趣旨に沿った勧告を早急に出してもらいたいとの要請があったところでございます。
 委員会としては、今般の総理の御要請を踏まえ、出先機関の見直しについて、今後、十二月上旬にも第二次勧告を行うことを目指して、具体的な改革案を取りまとめていくことになるものと考えております。
 なお、いわゆる骨太の方針二〇〇八年におきまして、委員会の勧告を受けて、政府として国の出先機関の改革を実現するための計画を平成二十年度中に策定することとされているところであり、委員お尋ねの出先機関の見直しの今後の進め方や工程表につきましては、勧告を受け取った総理の御決断を踏まえて、この計画において具体化が図られることになるのではないかと考えているところでございます。
 以上でございます。
○佐藤昭郎君 私は、この問題というのはやはり拙速に進めるべきではないと思っておるんですね。それで、この問題に関していろんなところの意見をお聴きになったということを今もおっしゃったんですけど、知事会の御意見なんですね、地方の意見というのは主としてね。
 私は、やはり実際の行政の受益者である国民、農家、こういった方々の意見、そしてその方々の意見をある意味一番よく知っている我々国会議員、こういったところの意見も十分に聴いていただく。そして、農水省の意見は今大臣おっしゃったとおりですよね、今至急これを詰めておられるんですね。これを実りある、何といいますか、意見交換、本当に激しい意見交換をしていただいて、いいものをつくっていただきたいと思うんですが、十二月初旬というのはいかにも早過ぎる。この間に果たして国民の意見を聴いてまとめることができるのかどうか。これ、タイミングとして、もしずれ込んでいくことがあるとするならば、分権推進委員会が意見をまとめた後、これを政府が受け取って要綱を固めていく過程の中で、どうかひとつ、十分国民の意見を聴きながら、いい最終的な政府の要綱にしていただきたいなと、こんなふうに思うわけであります。
 それで、私どもも地方分権に決して後ろ向きなわけではありませんけれども、実際の中身が起こって、国民や地方にどういう影響があるかという点がやはり一番私は視点だと思うんですね。
 そういう意味で、小泉内閣が行った平成十六から十八年度の三位一体改革、これは非常にいい、何といいますか、テストケースというか、これは所得税から住民税、税源移譲して、三兆円税源を移譲して四兆円補助金を切るという、こういう改革でございましたね。これを実行された後、私は、これはスタートする前に、いわゆる税源が多いところというのは大都市地域、補助金が切られるところは地方、農村地域、非常にアンバランスが生じて、結局農村地域というのは割を食うんじゃないかという心配したんですけれども。
 一年ほど前の新聞情報を見ますと、県においては、総務省さんも今日副大臣来ていただいていますけど、三位一体の結果、三十五道府県が十五年から十八年に比べると赤字になっているんですね。大阪、東京、横浜、神奈川、こういうところは税収の方が多かった、あとは赤字になったという、こういうことがあるんですが、県のそういう税収と税源移譲の関係の赤字に加えて、市町村ベースで見たときに、人口の多い市町村、少ない市町村、どんなふうな三位一体の結果の検証をなされたか。もし、データがあれば、倉田副大臣、ちょっと教えていただけませんか。
○副大臣(倉田雅年君) 三位一体改革につきましては、委員のおっしゃるとおり、三兆円の財源移譲、それから補助金の削減、それから地方交付税の見直しということによりまして、全体としては地方の自立や地方分権の方向に資するものでありますし、地方財政改革の第一歩ということにもなるということで、評価すべきものだと思います。そして、これによりまして、国、それから地方の方もそれぞれプライマリーバランスの達成へと踏み出す第一歩になったという具合に考えております。
 しかしながらです、おっしゃるとおりのところがあります。結果として、地方交付税の削減が急激であったということもあります。五兆前後でございますね。それから、特に財政力の弱い地方公共団体を中心に厳しい財政運営をもたらすという結果を生じたことも、これまた事実というふうに分析をしておるわけでございます。
 具体的なことを申しますと、平成十八年度から二十年度までの間に、地方全体では、十一年度が地方の一般歳出、決算ベースで全体で七十九・一兆円だった、それが十八年度は六十六・五兆円に減っております、一般歳出全部です。つまり、十二兆六千億減っているわけです。これは数字からいきますと一五・九%の減ということになるわけでございますけれども、これを、大きなところというのは、実を言えばこの間、景気の回復というものもありました。つまり、法人税、地方の法人税関係の増収というところもあって、全体では今言った一五・九%ということになったんですが、例えば五千人規模の町村の削減率というものを見ますと、何と一般の約二倍近い二九・六%の歳出抑制をやむなくされている。これは一つには、今言ったように、地方の方では、小さいところでは残念ながら法人税等が上がらなかったという景気の問題もありますけれども、結果として地方の方へと厳しいものになってしまっているという分析をしているわけでございます。懸命な行政努力によって小さいところほど頑張っていただくような結果を来したことは、委員のおっしゃるとおりでございます。
 このような状況を踏まえまして、ここから先、質問じゃございませんけれども、総務省としては去年、二十年度ですね、地方再生対策費というものを四千億創出しました、制度として。御承知のように、東京都とそれから愛知県ですか、合計四千億近いものをいただきまして、それを再配分する、なるべく小さいところへというような施策も去年とったところでございます。
 今後の方針といたしましては、私どもの希望としましては、交付税総額をできるだけ多く確保する、あるいは党税調とか閣議決定にもございますように、税体系全体の中で、時期が来れば地方消費税というようなものもお考えをいただかなければならないという与党の合意もございますので、そういうものにも期待をするところでございます。
 以上でございます。
○佐藤昭郎君 四千億の調整金を積まざるを得ないということはある意味一歩ではありますけれども、結局、三位一体改革をスタートさせたときにはそういう状況が予測されたにもかかわらず、やはり断行していった。やはり、この地方分権というのは、理想論としてそれは一つの考え方がありますが、実態として地方がどうなっていくかということに関してはやっぱり十分な検討をする必要があるという一つの私は証左ではないかなと思いますので、ひとつ総務省さんも、補助金を交付税化してこっちに持ってきただけだというふうにならないようにひとつ十分な対応を、特に地方負担についてはひとつお願いしたいと思います。
 次に、お米の関係に行きますが、事故米の前に、今年の米の需給動向見通し、我が自民党も生産者米価対策ということで極めて力を入れて政策として発表したわけですけれども、十月十五日の作況指数一〇二を受けて、現在の米の需給の動向と二十一年産の生産目標、農家が喜ぶというか歓迎するような動向になっているかどうか、ひとつ簡潔に、ちょっと時間がありませんのでお願いします。
○政府参考人(町田勝弘君) まず二十年産の米の需給でございますが、米の需要につきましては、小麦製品を始めといたしまして、食料品の価格上昇を背景といたしまして、本年春ごろから拡大しております。本年、これは二十年の七月から来年の六月でございますが、この需給がどうなるかについては、このような米の消費の動向によると思いますが、需要が前年実績程度、これ八百五十五万トンでございます、となり、また集荷円滑化対策が適切に実施されれば、需給が大幅に緩和するといった事態にはならないというふうに考えています。
 また、二十年産米の価格でございますが、以上のような需給状況、また区分出荷米の政府買入れを決定いたしました。十九年産米のような大幅な下落は生じておりません。十八年産と同程度の水準で推移していると見られておりますが、今後の需給・価格の動向を注視したいというふうに思っております。
 あと一点、二十一年産の米の生産目標数量でございますが、これは需給バランスが崩れまして大幅な米価下落がないような、そういった観点から適切に設定してまいりたいと考えております。
○佐藤昭郎君 集荷円滑化対策で十万トンの余剰が予測されるお米については政府が市場価格で買い入れるという大胆な政策決定、これ農家は非常に歓迎されている。それの出動も含めて、ひとつ、米の価格というのは極めて大事でございますので、今おっしゃったような方向で進めていっていただきたいと思います。
 それから、事故米についてでございますが、民主党の四人の委員の方々からも出ました。私は、この影響事業者緊急支援事業のタイミングですね、百五十億というこのお金でございますが、これはやはり二次補正組まなきゃいけないわけですけれども、どうもかなり難しい。やはり年末の資金繰りに関して、この支援について、これが間に合わなかった場合、どんな手法で年末の資金繰りに対応できるのか、そこら辺、安心感を与えるひとつ政策について大臣の方からお願いしたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のように、交付自体は二次補正が成立をした後ということになってしまいます。じゃ、そうするとどうしてくれるんだということになりますが、これはやはり融資ということで御利用いただく。すなわち、借入れを行っていただいて、一年分の金利助成が措置をされるということを踏まえまして、融資の活用をお願いするしかないなというふうに思っておりますが、その際に、仮の交付金額というのは確定を第三者準備委員会において行いますので、事業者の方々に御迷惑を掛けない、そういう環境を整えたいと思っております。
 午前中の質疑でもございましたが、やはりどうしても事業者の方々に丁寧な説明というものがまだ欠けているんだと思います。先ほども私、ある方からお電話をいただいたのですが、やはりそういうおしかりをいただきました。つまり、必要なものはとにかく全部言っていただいて、あれは駄目ですよ、これは駄目ですよ、こんなもの申請しちゃ駄目ですよみたいなことではなくて、必要なものは全部言ってくださいということをこちらからお願いするような姿勢でなければ駄目だと思っておりまして、なかなかお役人はそういうことをやったことがないのだと思いますが、とにもかくにも責任は我々にあって、だれも借りたくもないのに借りねばならぬ、金利の助成をしたからそれでいいでしょうというようなお話にはなりませんので、とにもかくにも懇切丁寧に誠意を持ってやるということを徹底しなければいかぬと思っております。
○佐藤昭郎君 ひとつ、年末というのは事業者にとりまして大事な時期、またこれ第三者委員会というのが、今大臣おっしゃったんです、こちらでもと、やっぱりいろいろな第三者委員会の要求する資料そのほかが膨大なものになりまして滞るといったことのないように迅速なひとつ対応をお願いしたいと思います。
 さて、この事故米のところで今朝からも話が出ておりましたけど、やはりこれは事故米だけにとどまらず、MA米全体という問題についての質問も多くありました。私もそのとおりだと思います。
 このミニマムアクセス米というのを、資料をいただいて見ると、平成七年から二〇〇七年まででこれ八百六十五万トンが輸入されているんですね。これマークアップというのは最大上限が二百九十二円ということですけれども、そこまでは行かないにしても、二百円としてもこれ、やはり一兆六、七千億というマークアップ、国民の負担でこういうものが輸入されている。政府の売渡しの総体の金額あるいは買入れの金額、全部これ一兆円を超える大事業、ずっとやってきたわけですけど、私はこういった壮大な、ある意味で政府調達に堪え得る例えば入札契約の手続になっておるのか、検討していただくことにはこれからなっているわけでございますけれども、この調達手続の公平性やその透明性について高めていただきたいと思います。
 時間がありませんのでこれはもう返答は結構でございますが、手続の公平性、透明性を高めていただく、あるいはこのMA米含めた食糧特会の損益を見てみますと、こういうマークアップをいただいているにもかかわらず、外米部門については様々な管理経費等を差っ引くと赤字になっているんですよね。
 やはり、さっきビジネスというのもありましたけれども、ビジネスチャンスがあるということは、逆に言うと公的部門では場合によってはマイナスになっているかもしれないというわけで、管理経費、これを取り巻く様々な、例えば公益法人というのもありますよ。これは農水省で省全体で四百二十八公益法人があるんですね。総合食料局でもこれは七十二の公益法人がある。この中には例えばMA米の管理を寄託契約で省から請け負って随契で倉庫業者と契約しているといったような公益法人もある。
 いろんな面で公益法人の見直しも進んでおりますけれども、このMA米全体の取扱いについて、管理経費も節減も含めて、生産者に対して、また国民に対しても納得のできるやっぱり流通システムをしっかり立ち上げていただきたいと、このように思いますので、これは代表して大臣の方から、大臣というか局長でも結構です、一言ひとつお願いします。
○政府参考人(町田勝弘君) 御指摘のとおり、入札方式の透明性、公平性の確保、大変重要でございます。また、輸入米の保管料、こういったことについても絶えず経費節減に向けて取り組んでいく必要があるというふうに思っているところでございます。こういった観点から、競争入札、一般競争入札方式の対象を逐次拡大するといったことで経費の節減を図っているところでございます。
 また、政府と、お話がありました公益法人とで民間業者の寄託契約を代表してやっていたというようなこともあったわけでございますが、本年十月からは国と倉庫業者が直接契約する形に改めて、より契約の透明性を高めたところでございます。
 今後とも契約の競争性、また透明性を高めることで経費の節減に努力していきたいと思っております。
○佐藤昭郎君 午前中もありましたけれども、MA米から加工米に回ったというのは三百十九万トンあるんですね。やっぱり今度の事故米で分かったように、加工現場の立会というのも形式的なものだと。一時間だけ立会してあとはやらなかったとか、それから、それを売った先の、需要家の先のところから通報があったのに入っていかなかったとか。やっぱり加工米の問題も、これはけた違いに大きいですから、事故米と比べると、やっぱりこういうところもしっかり見直していただいて、国民に対してしっかり説明できるような体制を取っていただきたい、これは私の要望です。
 最後の質問ですけれども、これはバイオマス・ニッポン、これについて大臣の所信にもありましたけれども力を入れていかなきゃいけない。私は、バイオマス・ニッポンというのは、これはコンポストもあるし、エネルギー利用もありますし、バイオエタノールもあるんですけれども、やっぱりバイオエタノールという分野という、食料、作物を利用した、セルロースでもいい、含みますけれども、これは力を入れていかなきゃいけないと思っておるんですけれども。
 水田のフル活用を目指す上からも、例えば今百万ヘクタール転作を我々しているんですけれども、水田を、これは麦、大豆、いろいろなものを植えていただいて頑張っているんですけれども、これは百万ヘクタールの収量が〇・五トン、五百キロとしても、百八十万キロリッター、E3のです。日本の国内のガソリンの消費量が六千万キロリッターですからE3が賄えるんですな。これを更に上げていくと、どうも最近の技術革新では多収穫米というのは約この更に三倍、三トンぐらいまでいけるんじゃないかという予測もあるんですね。
 ですから、セルロース方式も含めて、是非ひとつこの新潟方式、今三つのプロジェクトがあって、二つは北海道、これはビートの搾りかす等を利用しているんですけど、新潟方式というのは多収穫米使ってやるんですけど、これ一千キロリッターしかやらないので、これをひとつ是非力を入れていただきたい。
 そして、これは最終的には、二〇三〇年には我が国の使用するガソリンの一〇%、E10というのはこれ六百万キロリッターですよね。これをやるというふうに総理報告されたわけですから、これに向けてひとつしっかり努力していただきたいと思うんですが、農水省としてのこの問題についての認識、伺います。
○政府参考人(吉田岳志君) 今、バイオエタノールの生産についてのお尋ねでございます。特に原料についてのお尋ねが前半ございました。
 当省といたしましては、当面はエタノールの製造技術が実用段階にあります糖質あるいはでん粉質の原料を利用しまして実証的な取組を進め、中長期的には食料や飼料の需給に影響のない稲わらですとか間伐材等のセルロース系原料あるいは資源作物、こういうことを利用することを基本といたしまして施策を進めていくという考えでございます。
 今御指摘の多収穫米をバイオエタノールの原料として活用していくことについてでございますが、お話出ました新潟で今年から始めることにしてございますが、こういう実証事業、これをまず着実に進めまして、その成果を十分に検証することが肝要と考えております。何といいましてもまずコスト問題ですね、ここを十分検証しなきゃいけないと思っております。
 それから、これもお話ございました多収穫米の収量アップを中心といたしまして、多収穫米の品種開発ですとか栽培技術の推進、こういうものもしっかり図ってまいりたいというふうに考えております。
 こういったことを併せまして、更にセルロース系の技術開発を通じまして大幅な生産拡大に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○佐藤昭郎君 これは地球環境という点も大事ですけど、我が国の農地をフル活用にするという点からも極めて大事なひとつ事業ですので力を入れていっていただきたい。
 もう一つの問題は、このバイオエタノールをどういう形でガソリンに混ぜるかという方式なんですね。直接混合方式というのが一番簡単です、これ。もう一つはETBE方式、これは石油精製の副産物として出てくるイソブテンにバイオエタノールをまず化学反応させて、そしてETBEというものを作ってガソリンに混ぜるという、こう二つの方式があるんですけれども、農水省では北海道の二つのプラント、全部合わせると三万キロリッターですか、二か所、一万五千ずつで。そのプロジェクトの施設について五割の補助を出して民間会社がやっておられるんですけど、ここで伺いますと、ETBE方式になったと、するんだとおっしゃっているんですね。しかし、ガソリンの混合方式というのを今後広めていくとするならば、E10とかE20、あるいは地域地域にプラントを造って地産地消でやっていくとするならば、直接混合方式というのも大事になってくるんですよね。
 そういう点で、なぜやらないかということになりますと、これは石油連盟、石油業界がそれを売らないんですな、これ。新聞紙上でも今年の三月にぎわして、参議院の決算委員会で公明党の浜田先生が質問した。私もそれ聞いていましたよ。
 確かに、ETBEというのは石油精製の副産物が出て、これ今燃料に使っておられるんですよね。しかし、まだ国内では、失礼、イソブテンは燃料に使っている、混ぜたETBEはまだないんですよね。しかし、ないにもかかわらず、将来ともこれでやるんだと。今、たしか外国から輸入したやつを混ぜて一部走っている。農林水産省と経産省は車のガソリンをそれで賄っておられるんですけどね。
 私は、やはりこのETBEというのはE3が限界ですよ、三%混ぜる。そしてバイオエタノールを三%、イソブテン四%で混ぜて、作って混ぜるしかありませんから、日本の生産量から考えても限界が来る。ですから、将来のいろんな意味を考えてこのプロジェクトというのは是非、まだまだ生産が出てくるのは先ですから、いろんな御交渉をなされて、しかし、株式会社ですからね、エタノールを作ったら売らなきゃいけない。一・五万キロリッターのエタノールを作ったはいいが売り先がないというんじゃ困るんで、もうしようがないからETBEを私は使わざるを得ないと思うんですけど、これは是非ひとつ農水省としても将来の展開を考えてこのプロジェクト、あるいはさらに、何せ六百万キロリッターですから、これから展開する際に直接混合方式というのを力強くやっていけるように頑張っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(吉田岳志君) まず今の混合方式でございます。事実関係だけ申し上げますと、御指摘のように、北海道につきましてはETBE方式で事業計画が策定されて上がってきてございます。これは、今お話の中にありました石油連盟も入りました地域協議会、そこで決定されたものでございます。
 北海道全体で三万キロリッターの生産になってございます。この作られたものが円滑に流通し消費されていかなければ事業そのものは成り立ちませんので、これはやはり当面ETBE方式というものも一つの方式として認めていかざるを得ないのかなというふうに考えておりますが、ただ、委員おっしゃいましたように、混合比率がだんだん上がっていくということになりますと、それぞれETBEについての限界も出てくると思いますので、その辺については十分関係者と協議を進めていきたいというふうに考えております。
○佐藤昭郎君 もうあと少ししか時間がないので、今日は経済産業省と公取にも来ていただいたんですけど、経済産業省さんとしては、このバイオエタノールの直接混合という方式については、ETBE方式もいいけれどもこっちも大事なんですよね。将来を今考えていきますと、直接混合方式の方がメリットがある。こういう状況の中で、石油連盟を中心とする業界が直接混合方式の方にはガソリンは売らないと、実際そうなっているんですよね。これカルテルを結んだかっていう証拠はないから公取は入れないと、こうおっしゃるわけですけれども、しかし、実際問題そうなっている。
 しかし、温対法の条項によりますと、事業者というのは、この温室効果ガスの排出の抑制の施策に協力しなければいけないという協力義務、責務がある。国の方には、第三条で、そういった事業者に対して様々な助言を行うような責務があるというわけなんですが、そういう点から考えて、こういった石油業界の対応に対して経済産業省としてはどのような指導、助言を行っているのか、お願いします。
○政府参考人(上田隆之君) E3とその直接混合方式、ETBEの御質問でございますが、この直接混合方式、あるいはETBE方式といって、それぞれメリット、デメリットがあるものでございます。
 E3の場合は、お話のありましたように混ぜるだけという面で非常に簡易なものではありますけれども、他方でガソリンと混ざると水分が混入した場合にガソリンの性状が変化するということで、その取扱いが難しい等々の問題がございます。
 私どもの立場は、このE3、直接混合方式であれ、ETBE方式であれ、バイオエタノールの導入という意味では全く同じものでございまして、いずれの方式も輸送用燃料の多様化あるいは温暖化対策に有効であり意義があるものであると考えております。
 私ども、そういった観点から、ETBEにつきましてもその流通実証事業というのをやっております。また、E3につきましても、例えば宮古島におきまして関係府省とともにE3方式の実証事業というものについて支援を行っているところであります。また、前国会におきましてガソリンの品質確保法というのを改正いたしまして、この中でETBE方式、E3、両方式につきまして、その安全確保を図るための措置を講じました。また、ガソリン税の免税措置というのも始まっているわけでございますが、これもE3の場合、あるいはETBE方式の両方式というのを支援の対象としております。
 最終的にどのような方式を取るかというものにつきましては、一義的には民間事業者が様々な観点から御判断されるものと思いますが、私どもといたしましては、全体として円滑にバイオエタノールの導入が進むよう努めてまいりたいと思います。
○佐藤昭郎君 最後ですけど、今さらっとおっしゃいましたけど、それは、そういった御説明はやはりもう少し現地の状況をよく見ていただきたい、このように思います。
 大阪でも堺市で廃木材からバイオエタノールを作って、それで直接混合方式にしようとしたけれども、これはやはりあらゆるSSがアウトということで、結局、南西石油という石連に独立系の、これはブラジル資本の石油会社ですけど、そういうところからようやくガソリンを手に入れることができた。あるいは今後、いろいろ新潟のプロジェクトも出てきましたけれども、いろんな難しい問題があれば、韓国からガソリンを輸入しなきゃいけないとか、こんな現場は苦労しているわけですよ。ですから、今後、バイオマス・ニッポンということで、日本が六百万キロリッターのエタノールを作って混ぜていくということについて、もう少し現場の状況を見ながらひとつしっかりした指導をお願いしていきたい。
 今日は時間がありませんので、これで終わらせていただきます。公取来ていただいたんですけれども、済みません、いろんな意味でまたお伺いしたかったんですけれども、これにて質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○牧野たかお君 自民党の牧野たかおでございます。
 石破大臣、御就任おめでとうございます。
 大臣の所信表明のことについてまず質問をさせていただきたいと思いますけれども、大臣はあの所信の中で、我が国の農林水産業は存亡の危機にあり、その場しのぎの対症療法的な政策に堕することなく、人気取りに走ることなく、政策を根本から総点検し、過てる点があればそれを正す勇気と、消費者を含めた国民全体に真実を語る誠意を持って職責を果たしたいと述べられました。先ほど佐藤委員もおっしゃいましたけれども、私もあの大臣の所信を伺って、緊急課題を処理するだけじゃなくて、農林水産行政を大きく改革しようとされる思い、また意気込みを感じたところでございます。
 その所信表明全体についてまず質問させていただきますけれども、大臣はその所信の冒頭で農山漁村の疲弊は目を覆うばかりと述べられたほか、食料の供給力の強化の部分では農業就業者の減少、高齢化などにより生産構造の脆弱化が進展していると述べられました。私も同感でありますけれども、それではこのような状況に陥った一番の原因はどこにあるというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) なかなかこれが一番の原因だということを申し上げるのは難しいのですが、やはり農産物の価格が、輸入も増えたことがございまして、農産物の価格が下がったってことが一つあります。
 それから、GNP、GDPは増えたのですが、食料生産が増加をしたかといえば、それはそうでもないねと。やっぱり食料の場合には所得が増えたからたくさん急に食べるようになるものでもありませんし、値段が下がったからたくさん食べるというものでもありません。その逆もまたそう、しかりであります。そうすると、やはり国内総生産の増加に比べて農業の成長率が相対的に低いということもあります。
 それから、これはもう日本全国、地方と言われるところはそうだと思うのですが、兼業機会が減りました。建設会社はリストラで、縫製工場は外国へ出てしまって、やはり今まで兼業によって成り立っておったという部分がたくさんあるにもかかわらず、兼業機会が消えたので農山村は物すごく疲弊をしたということは、これは間違いない事実だと思っております。
 いろいろ申し上げて恐縮ですが、農業が強くならなかったというのは最初の農業基本法を書いたときと状況が変わっちゃったってことがあるんだと思うんですね。兼業を是とするか非とするか、いろんな御議論があるんだろうと思いますが、やっぱり耕運機とかああいうものが発明をされちゃったので選択的拡大という前の基本法が書いたとおりにはならなかったわけで、ここをどのように考えるかという議論もしなきゃいかぬと思います。
 もう一つ、あれこれ申し上げて恐縮ですが、また委員の御教示をいただきたいのですが、農地の値段というものをどう考えるかという議論もちゃんとしなきゃいかぬのだろうと思っております。ですから、農業生産装置としての価格と転用期待を潜在的に含んでいる価格とございまして、農地の規模拡大、集積が進まない理由に私はかなりその辺があるんだろうというふうに考えております。その辺りを多角的に短期間に詰めてやっていきませんと、その場しのぎの政策になりかねないと。
 私は、農業って一回駄目になっちゃうと戻すのは極めて難しいと思っておりまして、あらゆる知恵を総動員しなければなりませんし、委員の御教導を賜りたいと思うゆえんでございます。
○牧野たかお君 私は多分御教授することはないと思いますが、教えていただくことはいっぱいあると思いますが、今大臣がおっしゃったとおりだと思いますけれども、総合的な要するに所得ということを考えますと、農家はとにかく農産物にしても、それは漁業の水産物もそうなんですけれども、要は生産コストに合っただけの価格転嫁ができていない、そのために生産者が生活の糧を得ることがたとえ兼業であってもなかなかできなくなってしまったというふうに私は思っております。
 それで、日本の農業をどういうふうにとらえるかということですけれども、先ほど来、石破大臣の御答弁を伺っておりましたら、日本の農業の多様性をお認めになる御答弁があって私もほっとしたんですが、やはり日本の農業というのは、それこそ規模でいえば、何十ヘクタールの大農家から兼業の、今申し上げたような兼業の農家、そしてまた小規模な生きがい農業をされているようなお年寄り、そういうふうに規模でも変わりますし、また農産物の種類でいうと、米や麦という主食のものから、私の地元でいえばお茶のような嗜好品だったり、また花卉、また観葉植物といった、食べるとか飲むとか、そういうものじゃない農産物もあるかと思います。
 ですので、私は昨年当選して地方からこの国政の場に来たわけですけれども、私自身はずっと委員会等で申し上げているのは、感じることとして、どうしても日本の農政が大規模な農家をつくろうというふうに特化している、また農産物の種類でいえば、米、麦、大豆といった主食を中心として考えていると。これは、私も幹の部分、日本の農業を守っていくための幹の部分として、その幹を強くしていくのは当然だと思うんですが、ただ日本の農業はやっぱり多様性であるという原点に立って、その多様性をどうやって守っていくかということも私は視点として非常に大事だと思っておりますけれども、大臣はどういうふうにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 二つの御指摘があったんだと思います。
 一つは、コストも賄えないよというお話は、実は私の地元でもよく聞くのです。
 私の地元は二十世紀ナシの産地なのですが、毎年毎年、私はそこの現場を歩いているのですけれども、ねえ、石破さん、何とかナシの値段上げてよと、こう言われるんですね。もう政治家に上げてよと言われてもなかなかこれ難しいお話でどうしたらいいんだろうと迷うのですが、ここにはいろんな要素があって、やはり生産と消費の距離を近くするということはやっぱり考えなきゃいかぬのだと思いますね。もう作ったらばJAに出してそれでおしまいという話にはならないだろう。魚も捕ったら漁協に出してそれでおしまいという話にならないだろうと。
 これからまた御審議をいただくことになるのだろうと思いますが、二次補正の関係でも私、今、省内で議論をしているのですけれども、例えて言いますと農産物の直売所ってなかなか町中にないですよね。農山村に行けば直売所あるんですけれども、なかなか町中にない。何でだろうって不思議に思って聞いてみますと、いやいやと、それはもう町中の人たちが農山村に来て買ってくれると、だから農山村なんだという話なんですが、何で逆がないのということなのです。
 町中の限界集落というのが最近ありまして、果物屋さんも魚屋さんも八百屋さんもなくなっちゃったと。ちっちゃなスーパーもなくなっちゃって、車でどこか遠くに行かないとスーパーがない。おじいさん、おばあさん、そんなところに行けないということになるわけですね。そうすると、町中に直売所をつくって売れば、それは相当に生産者の手取り、今、二割から四割と言われておりますが、これが増えるんじゃないか。
 私は、子供のころは魚の行商のおばさんってあったものですけれども今や絶滅してしまいまして、やっぱりそれは魚のトレーサビリティーのこともありまして、直接売りに行って、これはここで捕れたこんな魚でこうやってさばいてこうやって料理するとおいしいよということは私はあるんだろうと思います。どうやって生産者の手取りを増やすかということを考えていかなければならないと思っております。
 もう一点、花もあるだろう、お茶もあるだろう、そのとおりであります。昨日もお茶の関係の方、私の大臣室にいらっしゃっていましたが、お茶も日本の農産物の生産額で言えば十二位とか十三位とか、結構大変な産業なわけですね。私は、規模だけに着目をするということではないのだと思っております。
 ただ、そこにおいて経営という観点からして、どこを政策支援の対象とするか、あるいはアクセントをどう付けるかということはそれは考えていかざるを得ませんで、それは一律に全部経営政策支援の対象とするということにはならない、そこにはアクセントの置き方があるのだろうと。本当に農業で一生懸命生きていきたいと、農業を専業でやっていきたいという人がやっていけないで、何でこれから先の日本の農業が語れるかということを私は基本認識として持っております。
○牧野たかお君 大臣の農政におけるお考え、分かったような気がいたします。
 それでは、次の方に参りますけれども、午前中からずっと食の安全、事故米の不正流通の話がずっと取り上げられましたけれども、まず、ちょっと意地悪といえば意地悪かもしれませんけれども、この間、政府の広報として新聞に掲載されたのが、政府広報がありますけれども、お手元に行っているかと思いますが、「政府は、事故米を、二度と流通させません。」と、一番大きく上に書かれて、これは決意として私もいいなと思いますし、中身について言えば、要は消費者、国民の皆さんに安心感を与えるという紙面の内容になっていると思います。ただ、読んで思ったのが、今回の不正流通のことを簡単に言ってしまえば、要するに、悪質な業者が事故米を不正流通させ、それについて政府が見過ごしてしまったというのが、簡単に言えば今回の一連のことだと思います。
 国民の皆さんにこの政府広報を出すときに、私は、ある意味では詳細な内容というのは今検証していますんで、それはその時点で、結論が出たところで出せばいいと思いますけれども、ただ政府のある意味では責任について何も書いてないんですよね。三番目の一番下の方に、「事故米が食用として流通した問題の責任については、内閣府の有識者会議で検証のうえ、厳正に処分します。」と書いてありますけれども、これは当たり前のことですので、今回のことについて、政府の責任のことについて触れていないというのは私はちょっとやっぱりおかしいなと思います。それと、原因のことについてもやっぱり書いてないというのはおかしいですから、これ何で入れなかったのかというのをちょっと内閣府の方に伺いたいと思います。
○政府参考人(岡田太造君) 今回の新聞広告についての御質問でございます。
 今回の新聞広告については、御指摘のとおり、国民の皆さんに今回の事故米について安心をしていただくということを主な趣旨にいたしまして、十月三十日までにまとめた流通経路の解明であるとか、それから再発防止へのいろんな取組、それから通常の食生活では健康への影響は出ないということが考えられるというようなことについて三十日、三十一日に流通経路がまとまったことをきっかけにして、できるだけ早く国民の皆さんにお伝えしたいということで、十一月八日に新聞の掲載をさせていただいたところでございます。
 御指摘の責任の問題、今回の問題の原因究明、それから責任の所在の問題につきましては、これは御承知のとおり、内閣府に事故米穀の不正流通問題に関する有識者会議を設けておりまして、今専門家の先生方、第三者の有識者の方に厳正に御審議をいただいているところでございます。現段階で、今は最終取りまとめに向けて御審議をお願いしているところでありますが、現在まだ審議中ということでこの広告に間に合わなかったというような御事情でございます。
 そういうこともありますので、先生さっき御指摘いただきましたが、新聞広告の中では、検証結果に基づいて厳正な処分を行うということについて触れさせていただいたというようなことが経緯でございます。
○牧野たかお君 そう言うと意地悪になりますけれども、最後の方に、「今回の問題の反省に立って、」と書いてあるけれども、今回の問題のことの反省のことが何にも、問題について書かなくて、反省に立ってと、その反省というのは僕はちょっとおかしいなと、上から下まで読んでそう思ったんですが、また政府広報を検証が終わったところで出すんだったら、ちゃんとしたものを出していただきたいと、そうしないとなかなか国民の信頼というのが回復できないんじゃないかと思いますので、これ意見として申し上げておきます。
 それで、事故米のことでありますけれども、詳しくさっきの佐藤委員までずっと何回もやり取りがありましたので、私はちょっとその中で幾つか付け足しで質問しますけれども、一部業者が、先ほど米長委員の質問もありましたけれども、一部業者、どうも複数だそうですけれども、その九トン分の転売先を提示しない状況だということでありますけれども、食糧法の第五十二条というところですと、報告、立入検査を拒んだ場合、三十万円以下の罰金を科すというふうにありますけれども、農水省とすると、その提示しない業者に対して今後どのように対応するお考えでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 私ども、この罰則付きの食糧法に基づく報告徴求規定を発動いたしまして情報提供を求めているところでございますが、今御指摘いただいたように、その提示を拒否しているという業者の方がおります。
 こういった状況につきましては、逐次、警察当局へ報告し協議をしてきたところでございます。現時点で告発に至ったものはございませんが、今後とも警察当局と連携して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○牧野たかお君 これは検証というか、全部終わったわけじゃございませんので、その業者の方たちが善意の第三者なのか、それとか事故米と知っていて不正流通させたのか、今の時点で言えないわけですけれども。ただ、私は思うんですが、こういうことが起きて、政府の方、行政、これは地方自治体でも同じでしょうけれども、とにかくそういうルート解明をするために調査をしていってそれを拒否できるとなると、こういう調査自体がこれからできなくなってしまうんじゃないかなということを私は危惧します。
 ですので、これはどういう理由、いかなる理由であろうとも報告と立入検査に応じないというならば、これは厳格に私は法律を適用すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 検査と報告を求めて拒否する理由でございます。
 一つ多く挙げられていますのは自らの販売先に迷惑を掛けたくないといったようなもの、まあいろいろあると思うんですが、そういったものでございます。私ども、この今の米の流通にかかわります事業者の不正取引に対する罰則ございます。これにつきまして、行為の反社会性、重大性、こういうものに見合ったものかどうか、そういったことにつきましては関係法律とのバランスも考慮しながら検討しているということでございます。
○牧野たかお君 私が伺ったのは、結局、今回その安全面で言うと、最終的に体への影響という被害報告もないんですけれども、ただ、これが本当に人体に影響があるような事故が起きたときに拒否できるというのを黙認しちゃうと、以下の、これから今後もしいろんなことがあったときに、この法律自体、この五十二条自体が全く行使できないということになってしまうので、私はその方たちが、これはちょっと酷な言い方かもしれませんけれども、自分が公表することによって、調査に応じることによってほかの人に迷惑が掛かるからという理由で、仮に本当にその理由で拒否しているとしても、やはり法律は法律として適用しないと、要は厳正なこれからの行政としての調査ができなくなってしまうおそれがあると私は危惧していると、だからそれについてどう思うかという質問をしました。
○政府参考人(町田勝弘君) 御指摘のとおりでございまして、私どもこういった拒否の状況は、繰り返しになりますが、警察の方にも御連絡をいたしております。ただ、先ほど言いましたような理由で拒否をしているといった方についてまで、何といいましょうか、立件することについての議論といったようなこともあるというふうに承知しております。私どもは、もう粘り強く報告徴求を求めまして、まだ調査は続けておりますので更なる解明に努めていきたいというふうに考えております。
 先ほど関係法令というふうに申し上げましたが、この中には当然のことながら食品衛生法等、そういった規定もございます。そういったものとの罰則規定とのバランス、こういったことも必要であれば考えていくということで、今そういう問題意識を持って検討もしているところでございます。
○牧野たかお君 答弁はそれで結構ですが、食品衛生法はまた所管が変わってきますけれども、この食糧法の罰則の規定、罰金三十万ということになっておりますが、これは法律の制定時と今とは時代が違うというのと、今回の不正流通の中で、各トン数を見て、業者の、流れている、そんなに大もうけ、今回だけに限って言うと途中の過程で何千万、何億もうかったという感じはしないんですが、ざっと見て。ただ、三十万という罰金ですと今の時代から考えて果たして科料として適当な額かどうかというのがちょっと疑問だなと思ったんですが、やっぱり罰金の額について今後検討するお考えはありますでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 私どもも、繰り返しになりますが、そういった問題意識を持ちまして、今私どもとしても検討をしております。当然、こういう罰金ということになりますれば法務省等関係御当局との調整といったことも必要になろうかと思いますが、検討を今進めているということでございます。
○牧野たかお君 それでは、今度は、午前中から質問を伺っていて質問しようとした内容がちょっと変わりましたけれども、米長委員の話を聞いていて、本当に、今度は逆に善意の第三者の人たちというのは大変だなというふうにつくづく思ったわけです。私は新聞で読んだだけだったものですから、新聞では、その商品の回収に苦労していたり、また商品の販売が極端に落ちて大変だというのが載っておりましたけれども。
 それで、先ほどの石破大臣の御答弁ですと、そういう支援策として取りあえず融資の活用という御答弁がございましたけれども、私は融資の活用というのも一つの方法だと思いますけれども、二次補正は先ほどの佐藤委員のお話にありましたようにいつになるか分からないところがございますので、取りあえず、分け方も難しいと思うんですけれども、最終的な要するに流通段階の業者、要は加工して売ったような業者、そういう皆さんに対して取りあえず予備費か何かで対応するようなことはできないんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 予備費につきましては、比較的軽微なもの、また義務的経費などに限定して使用するものでございまして、今回の経営支援対策につきましては、新たな支出でありますことから予備費を使うということは難しい面がある、困難であるというふうに考えております。
 したがいまして、経営支援の財源は二次補正を念頭に置いて作業を進めているところでございます。その際、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、第三者準備委員会におきまして、仮の交付金額、こういったものを確定することによりまして事業者の方々が融資を受けやすい環境を整えていきたいということで関係の方面又は金融機関にお願いをしつつあるところでございます。
○牧野たかお君 それでは、次の項目に入っていきたいと思いますけれども、先ほど佐藤委員が質問されました出先機関の見直しについてでありますけれども、地方農政局と農政事務所が、先ほどのお話にありましたように、地方分権改革推進委員会の中間報告の中でも対象とされて、また今月六日、総理が丹羽委員長に見直しを早めるよう指示されたと。
 先ほど石破大臣から閣議の内容については御答弁がありましたけれども、全体的な流れというと、どうも地方農政局と農政事務所がこの出先機関の見直しの中の中心的な対象になってしまうんじゃないかなというような気がいたしております。
 確かに農政事務所にしても、私も地方の議員を十二年やりましたけれども、あんまりかかわったことがありませんでした。そしてまた、そういう現場でもあんまりそういう職員の方ともお会いしなかったし、統計は、作況で水稲とか、あと静岡の場合はミカンとかお茶とかそういう統計の発表はかかわってまいりましたけれども、そういう意味でいうと、確かに全体の見直しの中では対象となる部門もあるのかなという気もしますけれども、ただ、先ほど大臣がおっしゃったみたいに、全国的でないと意味がないような業務というのもあるかと思うんですよね。
 だから、そこのとこら辺はこれからちゃんと審議をしていただきたいと思うんですが、その中で、精査するのはいいんですが、現実問題として、一万六千人の職員が農政事務所と農政局とそして下部の統計・情報センターにいらっしゃるわけですけれども、この一万六千人という数を、今の流れ、要するに出先機関を地方に権限を移譲して職員も都道府県に受け入れてもらうというようなことが取りざたされていますけれども、現実問題として、私は都道府県もそれだけの職員を受け入れるだけの余地は今の財政状況の中ではないと思うんですけれども、その点はいかが考えていらっしゃるでしょう。
○政府参考人(岡島正明君) 委員もおっしゃられました地方分権改革推進委員会、本年八月に国の出先機関の見直しに関する中間報告というのを出しております。その中におきまして、「仕事を地方に移譲するのであれば、それに伴い求められる技術や専門性を備えた人材や必要な財源を確保することが必要である。」というふうに記されているところでございます。
 いずれにいたしましても、地方農政局などの組織や業務につきましては、農林水産省の個別具体的な事務事業を着実に実施するために相ふさわしいものとなっているかどうか、そういったことなどを精査いたしまして、地方分権改革推進委員会とも議論を重ねた上で判断することが重要であると考えております。
○牧野たかお君 今から仮に、仮にとしても廃止とか縮小ということを言っていいかどうかちょっと考えたんですけれども、仮に本当にそういう見直しが進んだ中で思うのは、さっき申し上げたみたいに、地方自治体にそのままストレートに職員を転籍するというのは現実的にも難しいと思うんですが、まず、先ほど大臣がおっしゃった、要は農政のこれからの改革の中で、私は、今までやっていない、農水省の、ような事業というのをこれからやっぱりいろいろ新しくつくっていくべきだと思うんですよね。やっぱり日本の国内農産物の需要を拡大していくために新たな政策を打ち出すとか、そういうところに、もし仮に農政事務所、農政局の廃止、縮小があるとしたならば、そこで人材をやっぱり吸収していくのが本筋じゃないかと思いますけれども、いかがでしょう。
○政府参考人(岡島正明君) 委員の御発言の中にもありましたように、なかなか仮定のことにつきまして申し上げること、それはもう差し控えさせていただきたいんですけれども、一般論で申し上げれば、これはもう従来から、行政ニーズの減少した分野につきましては組織、定員を合理化する、一方でやはり新たな政策分野あるいは行政需要に対応した体制の充実強化、そういったことには努めてきたつもりでございまして、今後とも国民の視点からの農林水産行政の遂行にふさわしい体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
○牧野たかお君 この出先機関の見直しについて最後の質問をさせていただきますけれども、さっきの大臣の御答弁でお気持ちはよく分かったんですが、私は今回の廃止の議論を、廃止、縮小、出先機関の見直しというので農政事務所がまずこれだけ中心に議題とされている、議論とされているというのが、昨年の緑資源機構の廃止をちょっとイメージしてしまったんですが、私はそれが決まったときにはまだ議員じゃなかったんですが、その後この委員会の質問等でそれを質問することになったものですから改めて見直したところ、何でこんな短期間ですぐ廃止と決めたのかなという、中身について、本当にそれ必要な業務はなかったのかとかそういう議論がなくて、あったのかもしれませんけれども、余りにも短期間でそういう結論を出したというのは非常に不思議だなと思ったんですが。
 今回の出先機関の見直しについても、結局、さっきの事故米の話だったりその前の食肉の偽装だったり、そういうのに農政事務所が余りにもチェックが働かなかったんじゃないかと、だからもう要らないんじゃないか、割とそういう廃止論ありきがどうも今出ているような気がしてなりません。十分な検討をした上で必要な部門を残して、また地方に移せる部門がもしあって、その方がいいとするような結論が、慎重な要は議論又はじっくりと十分な議論をした上でそういう結論が出るならいいんですけれども、余り拙速なことでやっぱりお決めになるのはそれはおかしいなというふうに思っております。
 来月には地方分権改革推進委員会の二次勧告がやっぱり出されるらしいですが、農業行政のやっぱり遂行に支障がないような結論を導いていただけるように石破大臣の決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 委員の御指摘はそのとおりです。去年の緑資源機構のときには、もういろんな事件があって、もうとにかく廃止だ廃止だ、何でも廃止だというような雰囲気がなかったかといえばそうでもあるまいと。もうとにかく世の中挙げて廃止ありきみたいな雰囲気であったと思います。
 今回も、朝からいろいろとおわびを申し上げておりますように、じゃ農政事務所の仕事が適正、的確になされておったかといえばそうでもないと、もうこんなものは要らぬだろうと、廃止だ廃止だみたいな大合唱になりかねないと思っています。
 私は、農政局にしても農政事務所にしても、委員おっしゃいますように、あんまり、その地域ですごく有名かというと、大体どこにあるか知らない人が多いのではないかと思いますですね。農政事務所の職員というものと名刺交換をした人はあんまりいないのではないか。私は食品Gメンですと名刺を持って歩いている人はまずいないのでありまして、そうするとなかなか印象も薄いねということがあるわけですが。
 よくよく見ますと、じゃ統計という仕事は都道府県に割り振ることが本当にいいか、作況とかそういうものをベースにいろんな政策を立てていくわけで、それは各県ばらばらで本当にいいですかという話はございましょう。あるいは食品の偽装とかいろんな問題がありましたときに、これが都道府県をまたがる場合に、そういうことについて消費者が不安を抱かないようにという体制が各県で本当にうまく連携が取れるかといえば、必ずしもそうではないですねということがございましょう。あるいは国営かんがい排水みたいな事業を本当に地方に移していいですかといえば、それは幾らなんでもと、こういうお話がありますわけで、私は省内でも言っているのですが。
 ただ、要らないという挙証責任が分権委員会にあるわけではないと、要るという挙証責任は当方にあるというふうに思っております。なぜこれが必要なのかということをきちんと国民の皆様方に御理解をいただくという責任は私どもにあると思っておりまして、そのことが、今農林水産省の改革チームの中でも議論をしておりますけれども、やっぱり惰性に流れていた部分があるんではないか。役所のための仕事ではなくて本当にそれが国民のための仕事になっているよという観点からもう一度組織をちゃんと見直す、その一環として今回の地方組織をどうするかという議論はやはりきちんとしたい。拙速であってはなりませんが、いつまでもだらだらとやっていいものだとも考えておりません。
○牧野たかお君 是非、この出先機関の見直しについても、今大臣がおっしゃったように、十分な精査をしてそういう結論を導き出していただきたいというように思います。
 最後に、金融機能強化法の見直しについて質問させていただきたいと思います。
 この農林水産委員会に関係する金融機関とすると農林中金のことが出てきますけれども、財金の方でも議論また質疑がされておりますけれども、農林中金の資産運用の中で危惧されているというのが有価証券の中の米国住宅金融公社関連債券というものへの投資だと思います。資料をいただいて見たところ、これ九月の決算の速報値ですけれども、その速報値でいうと今現在残っている額が三兆四千五百六十八億円。これについて農水省等に大丈夫かと聞いたら、これらの債券というのは政府保証はないけれども公社の発行したものであって格付は以前と同じ格付であるというふうに、言うならば安心であるという説明があったんですけれども、それにもかかわらず、今回また金融機能強化法の見直しの中で農林中金を再び枠組みに入れるということになるわけですけれども、これは何で再びその枠組みに入れるのか、農業金融に詳しい野村政務官に伺いたいと思います。
○大臣政務官(野村哲郎君) 今御指摘のございました米国の住宅金融公社の二社の問題でございますけれども、これは九月七日に米国政府が両社の救済策を発表した、こういうこともありまして、両社の、この二つの公社の格付は現時点におきましてもトリプルAであります。このために、この現時点においてはこれらの債券の保有が中金の経営に特段の影響を与える状況にはないと、こういうふうに判断をいたしております。
 加えまして、先般、委員御指摘のとおり、農林中金自体も今後の業績の下方修正を公表いたしましたけれども、これは当然、元々農林中金、国際基準であります八%を大幅に上回っておりました。ただし、やはりこういった毀損するという問題も、債券の毀損もありまして、自己資本比率は下がるわけでありますけど大きくは毀損しないと、こういうふうに考えておるところでございます。
 なお、御指摘のありましたとおり、今回のこの金融機能強化法の改正でありますけれども、これはすべての協同組合金融、これらすべてにやろうという考えで財金の方でも今審議をいただいておるわけでありますが、ただ、この中で農林中金にのみ公的資本の仕組みがなければやはりこれは傘下の農協にも大きな影響が出てくると、こういうふうにも判断をいたしておりますし、他の協同組織の金融機関同様にセーフティーネットの観点から農林中金も位置付けることが適当であるというふうに思います。逆に、位置付けないと、こういうふうになりますと、農林中金のみ特別に排除する、あるいはまた農協グループだけ異なる扱いということは、これは法的にもなじまないのではないかと、かように思う次第でございます。
○牧野たかお君 それで、今、野村政務官の御説明の中にもありましたけれども、今回の改正の中で各単協、まあJAの単協も要するにそのセーフティーネットの中に入れるということなんですけれども、そのJA自体はジェイエイバンク支援協会というのがあって、いざという、まあ、あってはいけないんですが、いざという場合にはこの基金を使って救済が行われるということを伺ったわけですけれども、それだけセーフティーネットが元々あるにもかかわらず今回これをまた入れるというのはどういうことと言えばいいんでしょうか。
○政府参考人(高橋博君) 今回の新たなこの公的資本注入の枠組みでございますけれども、御承知のとおり、いわゆる公的資本注入については、破綻時におけます金融危機が想定されます場合に、これは農漁協だけではなくて大手の銀行あるいは他の金融機関全部を通しまして、預金保険あるいは貯金保険機構によります救済スキームというのはございます。
 さらに、協同組合の金融機関につきましては、今委員御指摘のとおり農協の場合にはJAバンクシステムというのがございますし、また信用金庫あるいは信組、ろうきん、それぞれごとに相互援助システムというのを持っております。
 今回の導入いたしますシステムは、このような既存のものに更に加えまして、実は地域におけます中小規模の事業者に対しての信用供与が縮小しかねないような状況になってくる、それに対しては予備的にこの協同機関の、協同金融組織のこの相援システムを使って、これを活用して地域金融の円滑化を図るという新しい仕組みを設けようということでございます。
 その際、当然のことながら、協同金融機関として地域におけます重要な金融の機能を果たしております農漁協組織についても、他の信用組合、信用金庫あるいはろうきんと同様に位置付けるということが適当であるということで設けることでございます。
○牧野たかお君 これで終わりますけど、要するに、私が何でこういう質問を、確認的な質問をしたかというと、新聞等に農林中金の話が出ているものですから、JAの金融自体が大丈夫かと心配している人がかなりいるものですから、今のところというよりも、十分今のところでも大丈夫なんだけれども、更にセーフティーネットを二重にするためにやるんだというようなことをやっぱり広く知らしめていただきたいということをお願いを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○風間昶君 公明党の風間でございますけれども、多分に重なって質問になろうかと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。
 事故米に関する農水省の中間的総括の公表されて、先月の末、その中で、大臣談話、工程表、そしてそれ以外に流通ルートの解明、事故米による影響事業者の緊急経済支援対策等々言われておりますけれども、問題は、その原因は何だったのかということが何にも書かれてないというよりも、発信がなされてないと。今回のこの事故米の不正規流通の原因は何だったのかと。それが調査中とかということでは私は逃げれないと思うんですよ。
 少なくとも私はシングルなファクターではないと思いますが、幾つかのファクターがあると思いますけど、そういう意味でまずそこを、きちっと対策を立てる上でも、再発防止策を組み立てる上でも、原因はこうだったということが予想されて初めて出てくる話でありますから。それが、だから工程表の四つ、五つの中、ずっと述べられていますけど、しなきゃならないことの工程表が述べられていますが、その工程表の見出しになっているというか項目、それが原因に絡んでくる、絡んでいるんだろうなというふうにはそれは推測はできますが。
 ただ、国民的には何だったんだと、この原因は、ということを是非やっぱり大臣の口から発信をしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。そうしないと、こういうことが原因として考えられるからこそ、そのことが二度と起こらないようにというふうな対策、対応になっていくんじゃないかというふうに思うので、まず大臣のそのことのとらえ方を是非教えていただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のとおり、中間的総括の中でも私の談話の中でも、原因はかくかくしかじかということが書かれておりません。
 これは一体何事であるかというおしかりであります。ここは、これまた縦割りかというふうに言われるかもしれませんが、今回有識者会議というのが設けられておりまして、そこにおきまして、原因の究明と責任の所在の明確化というのがこの有識者会議のミッションになっているわけでございます。ここにおいて、これが原因であり、ここに責任があるのだということが出てきません段階で、私どもとして談話あるいは中間総括の中でそこについて触れるということができなかったということでありますが、常に私申し上げておりますように、このことの農水省の責任は極めて重大だということであります。
 原因としては何であるかといえば、先生御指摘のように、だからこういうふうに直しますというのを裏返せばそれが原因なんだろうと言われれば全くそのとおりでございますが、原因としては、アフラトキシンが含まれたものや残留農薬基準値を超えているものを安易に横流れ防止措置の講じられていない事故米の処理要領に基づいて販売をした、これが一番。二番は、匿名の投書があった際にも内容も精査せず、安易に在庫確認のみを行い、横流しを見逃したということ、これが二番。三番目は、事故米に関する販売先への検査マニュアルがなく、農政事務所の度重なる立会いにおいて横流しを発見できなかった、こういうことが今回のことを起こした私どもの責任であり、原因であるというふうに考えておる次第でございます。
 もちろん、有識者会議のいろいろな御議論を経て私どもとしてやっていくことになりますけれども、有識者会議の結論が出てからようやっと取り組むということではなくて、私どもとして工程表を明らかにして、できるものから即座に実行に移すということでやっております。原因は私どもとしてよく認識をし、責任もよく痛感をしておるところでございます。
○風間昶君 今の大臣のお言葉ですけれども、私は詭弁に聞こえます、それは。
 一つは、原因の究明を有識者会議に託しているということでのトーンだったですけれども、むしろ農水省自身が、こういうことが原因として考えられるんだけれども、実態を含めて有識者会議の御意見をいただきたいと、これが順番なんですよ。丸投げしているというふうに、要するに国民の目から見るととらえられる傾向が非常に強いわけです。それは首かしげても何しても、私の言っていることが正しいのか、大臣の今の発言が正しいのか。これは、いいですよ、テレビ討論でも何でもいいからやってもいいよ。それを国民の方に判断してもらってもいいんだけれども、それはともかくとして、まずは、だからその事実の、おざなりな調査だったとか、報告が上がるのが遅かったとか、事実はいいよ、それは。いいんだけれども、そういうことを挙げれば挙げるほど農水省の中にずっとある構造的な、問題が起こらざるを得ないような構造的な体質にこれ、どうしても普通の人は考えると思います。
 したがって、自らが、さっきあの何だか、マル済マーク、いや、ごめんなさい、私が指示します、あんなことで頭下げるぐらいなら、もっと根本的な原因としてはこうこうこういうことが、今は中間的な段階であるけれども、こうですと、考えられますと、そのことに対して有識者会議にも是非国民の皆さんの声を代表して議論をして再発防止策につなげていただきたいと、こういうふうに農水省の方から逆にお願いをして、そしてその意見をもらって、さらに深みのある、また実効性のある、スピーディーのある対策に、再発防止策に行かなきゃならないんじゃないかと私は思うんですけれども、どうぞ。
○国務大臣(石破茂君) これは私、そういう先生の御指摘はそれはそれで真摯に謙虚に受け止めますが、丸投げということではございませんです。それは、なぜこういうことになったかということは、私ども本当に昼夜を分かたず全力で調べてやっております。そのことは、丸投げして、どうぞ有識者会議さんやってくださいというような姿勢は私ども取ったことはございません。ありとあらゆる資料を提出をして、しかしながら客観的に何が原因であったかということは、私、大臣に就任以前ですからどのような議論があったか、それはもうつまびらかにすべて知っているわけではありませんが、それはやはり有識者会議という農水省という組織を離れた場で、農水省からありとあらゆる資料を提供させ、ありとあらゆる機会に話を聞き、これはもう何度も何度も週行われ、何時間も何時間も私ども局長以下、私も何度も出ましたが、行って御説明を申し上げているところでございます。
 これが原因であるということは農水省の言うことではなくて、先ほどミッションというふうに申し上げましたが、第三者委員会が責任の所在とそしてまた原因の究明と、これが一番最初に書いてあるわけでございます。ですから、職員の処分も、行政の不作為という言葉がございますが、それも有識者会議の御議論を経てというふうに私がずっと申し上げておりますのは、これも同じ文脈に基づくものでございます。
 私たちとして、丸投げにするとかいいかげんにするとか、そういうようなつもりはございませんが、委員からそういう御指摘があり、そしてまた多くのそれに賛同するお声があるということはよく認識をして、私どももそういうような御指摘を賜らないように、どこが誤っているのか、そこはよく反省をしてまいりたいと思います。
 私は、単にそこで謝りさえすればそれでいいとか、そんないいかげんなことを考えているわけではございません。このことについて本当に全省的に、BSEの教訓が生きなかったということは間違いない事実でございますから、なぜ生きなかったということはちゃんとやります。
 そしてまた、だれに責任があったかということも私ども全部検証して、その人は辞めちゃったとか異動しちゃったとか、そのような話が通用しないように、きちんと私どもとしてこれ以上はできないというものを有識者会議にお出しし、客観的、公正な御判断をいただきたいと思っておるところでございます。
○風間昶君 まだ、大臣、私は今の大臣のお言葉を聞いて釈然としない部分が残ってますよ。十月の二十九日に事故米の対策本部から発表された、このBSE問題の経験を生かせなかった原因ということでわざわざペーパーとして出てるわけですよね。省内の局ごと、課ごとの縦割り意識が非常に強かった。あるいは、食品の安全という確保を農水省の最大の課題ととらえてそれぞれの部局で自らの業務を改革しようという機運が生じなかったと。先ほども議論ありましたけれども、食品衛生法を所管する厚生労働省さんのこれは仕事じゃないかというふうな意識が抜けられなかったといったような、また、何よりも消費者、国民の側に、視点に立っていなかったということが挙げられて、このことを受けて、翌々日ですか、大臣は談話を出されているわけでしょう。今話したBSE問題の経験を生かせなかったことを重く受け止めて、その反省の上に立って職員の意識あるいは省の体質を改革していくと、しかも根本から改革していくってちゃんと言ってるんですよ。そのまた根本から変えていくことのある意味では骨格を今月中に固めたいというふうにおとつい大臣は発言されましたよ。
 したがって、この根本からの改革について、さっきはマル済マークは私が指示したっておっしゃったんだから、そんなことぐらい指示するんなら、じゃ、この根本の改革を大臣が今どういうふうにイメージとして描いて、そして省内の皆さん方に提示する、あるいはまたその大臣自身の根本改革についてのお考えの一端をお伺いしたいと思いますけれども。
○国務大臣(石破茂君) 一つは、消費・安全局というものをつくりました、BSEの教訓を受けて、御案内のとおりでございます。ところが、安全というものは消費・安全局の仕事であって、ほかのところはそういう意識が乏しくなったということが逆にあるのではないかという反省がございました。ここは、情報はすべて共有をするということがよろしいのか、消費・安全局的な部署、出先といいますか、それを各局、各庁に設けるべきか、いずれにしても、安全というものをすべての者が認識するために情報の共有というのは必要であり、そしてまたそれが農水省としてすぐに動ける体制をつくるにはいろんな、二つか三つの案があると思うんです。これが何が一番ベストなのかということを今議論をいたしておるところでございます。
 そして、投書にしても告発にしてもそうですが、それを共有できるようになっていない、これをどうするかという点。さらには、事故米の問題についても、福岡の農政事務所と本省との間で、本省もマニュアルを作っていなかった、現場はそれを目的意識が欠如したままただ漫然とやっておった。これは、現場と本省との連携をどう取るかという問題でございます。
 すべては、現場と本省にせよ、省内同士にせよ、どうやって意識の共有を図るかというシステムの確立。もう一つは、それが起こったときにどうやって対応を迅速にするかという仕組みの問題。そして、他省との連携を、これは厚生労働省だ、これは農林水産省だみたいな話ではなくて、消費者庁の議論と併せて、だれがどのような責任を持つのか。つまり、消極的な権限争いということが起こらないような仕組みをどうつくるかということが私はポイントだと認識をしております。
○風間昶君 今大臣、重要な発言をされました。本省と出先機関、これは牧野さんも、それから平野さんも主濱先生も質問をされ、議論をされましたけれども。
 私は、どうも考えてずっと一連の、様々なギョーザの事件から何からずっと見ていると、本省から地方へはスピーディーにばあんと行く、上から下流には。しかし、下で起こったことがきちっとそれと同じような即時性を持って上へ上がっているかというと、そうではないような気がしてならないんですよ。
 ただ、農政事務所でいうと、北海道農政事務所は結構頑張っていまして、地道に取り組んでいるんですよ。新しく、今までの食料業務や消費・安全業務や統計調査業務だけじゃなくて、農商工連携促進法に基づく事業計画をもらって、そして本省に、何というんですか、進達する業務も新たに加わって。そこで、この北海道農政事務所の食糧部長が、国民の側、生産者、流通業者、消費者から必要とされなければ何の説得力もありませんと、地域になくてはならない国の機関として、全国の農政事務所の皆さんも、それぞれ置かれた環境異なりますが、国民の皆さんの最も身近なところで農政を展開する国の機関として頑張りましょうと言って、これ自己叱咤かもしれないけれども、こういうふうに地道に取り組んでいるところもあるけれども。
 私は、だからそういう意味で、さっきも総理から、二重行政の部分を払拭しなければならない、あるいは住民の目が届く機関にならなきゃならないというふうに、そういうふうに指示が総理から出たこと自体が、現実には地方地方で起こっていることがきちっと上がってきていないというその側面があるんだと思う。
 だから、今回の事故米も、この間の九月の十八日、太田大臣でしたけれども、私は質問しましたよ。一月にこの告発があったにもかかわらず、八月、半年以上もたって、本格的にしょうちゅうまでやられているという話になってから農水省が表立ってどどどっと動き出したと。その間の調査はどうなっているんですかというふうに今そこに座っていらっしゃる次長に聞いたんですよ。そうしたら、私は聞いていませんと言ったんです、最初、この報告は。一発目の答弁で聞いていませんと言ったんですよ。この情報は東京農政事務所所長あてに入っているわけですよ。そして、後で、少し進んでから、いや、実は聞いていましたと。じゃ、聞いていたんだったら、その報告書、報告を聞いてどのように対応していったのか、どのように展開していったのか調査してくださいと、確かめてくださいと言ったんです。そうしたら、調査しますと言って、いまだに私のところに来ていませんよ、ええ、二か月たって。
 だから、こういう状況なんですよ、大臣。もう二分しかないんですよ。もう本当に民主党から時間もらいたいぐらいです、あれだけ褒められて、くれるんなら。
 それはともかくとして、本当にそういう意味で、安全対策をスピーディーに、なおかつ、さっき迅速性というお話ありました、どのように効率化していくのかということも併せて、牧野先生の議論に私も参画しようと思えば、地方の農政局が、本当に北海道道州制の議論と同じように開発局と同じ構図になっていく流れなんですよ、一方では、規制改革云々かんぬんのところで。
 だから、省内でさっきチーム検討していますというふうにおっしゃっています。もう少し、自分たちの首懸かっていると、で、首懸かっているだけじゃなくて、国民の側にとってプラスになっているということの意識をきちっと持った上で徹底的に、これは二重行政ではない、これは日本の国益にとって必要だという観点で、きちっと論を張っていくための議論をしてくださいよ。もう一分しかない。それはお願いです。
 じゃ、次。農水省設置法を見ました。そしたら、農水省がやる役割というのを、任務を書いてあるんです。食料の安定供給、それから農林水産業の発展云々かんぬん書いてあるんだけれども、食品安全の確保という項目は見当たらないんです。ないんですよ、第三条を見たら、農水省の任務の中に。だからかどうか知らぬけれども、大臣は、この八項目の所信の中で一番最初に食品の安全と消費者の信頼の確保と。これはただ単に事件が起こったから言っているんでないなと私は善意に誤解しますけれども、食品安全の確保ということがきちっと、意識も持っていないだけじゃない、農水省設置法に入っていないんだから、これは問題だと思います。
 むしろ、大胆な言い方をすれば、法律を改正してでも農水省の設置法にちゃんときちっと加えるべきだと私は思います。その方が、農水省のここにいらっしゃる皆さん方の自分たちの使命感の意識も高まるんじゃないかと私は思いますよ。
 もうオーバーしましたから、一言言って、次回またやりますので、どうぞ。
○国務大臣(石破茂君) この設置法第四条をどう読むかということになります。
 その設置法の中には、農林水産物の食品としての安全性の確保に関する事務のうち生産過程に係るものに関することのほか、農林水産物等の生産、流通及び消費の改善等に関することについても所掌事務と。
 だから、この消費の改善、つまり今の状況がよろしくないと、これを改善するのだというところで読むのだというふうに私は説明を受け、またそのようにも物には書かれております。ただ、じゃそこで無理くり読んでいるところがあるんじゃないのというところがありまして、委員御指摘のようにストレートに読んだらそうは出てこないだろうということがございます。
 ですから、先ほど来るる申し上げておりますように、これは厚労省だ、これは農水省だというような話をしておっても仕方がないのであって、消費者庁の問題これあり、ではここをどうやって書くことが一番クリアになるかということはまた委員と議論をさせていただきたいと思います。
 また、二か月前におれは言ったが全然説明に来ないぞというような御指摘でありました。私は、その委員会の場だけ逃れりゃそれでいいとか、その後御下問がないからそれでいいとか、そういうことが絶対にあってはならぬと思っております。
 委員から、委員会から質問があった、あるいは例えば自民党の会議で、あるいは民主党の部門会議で、公明党さんで、社民党さんで、いろんな党があられますが、どの党でどのようなことがあっても、国民の代表たる国会議員から御下問があった場合にそれに答えないということがあってはならないと思いますので、それはもう誠実にきちんと答えるという姿勢は徹底をさせてまいりたいと思っております。大変行き届かない点がありまして、申し訳ございません。
○風間昶君 終わります。
○草川昭三君 時間の関係がございますので、少しはしょって質問をします。
 WTOの農業交渉の件でございますが、政府は重要品目の数について、今まで具体的な中身、つまり日本の農業生産にとって何が重要なのか、どの品目が今後の重要品目として交渉をするのか、こういうことは交渉中だということで明らかにしていません。もうそろそろその考え方を明示をすることがかえって今日的な農家の方々の安心を得ることになるのではないかと思うんですが、どうですか。
○政府参考人(吉村馨君) お答え申し上げます。
 WTO交渉においては、現在、関税削減等の一般的なルール、いわゆるモダリティーについて議論している段階であります。具体的には、一般品目の関税削減率を何%にするか、あるいは重要品目の数、これをタリフラインの何%にするか、さらには重要品目とした場合に求められる関税割当ての拡大を消費量の何%にするかといった点について議論されている状況でございます。
 どのタリフラインを重要品目に指定するかという点につきましては、今後、モダリティーの合意がなされて、重要品目の数や関税割当ての拡大幅などが明らかになった後に、各タリフラインごとに一般品目、重要品目、どちらに整理することがより国内農業に与える影響が少ないか、また国民生活にとっての位置付けがどのようになるか、そういったことを総合的に勘案しながら、譲許表交渉に入る段階で判断していくことになるというふうに考えております。
 ただ、委員御指摘にございましたように、WTO交渉の状況等について農業者を始めとする関係者の皆さんに情報提供をしていくということは、これは非常に重要なことだと思っております。これまでも交渉の状況やあるいは現在の農産物貿易、あるいは国境措置の実情につきまして国民に情報提供してきたところでありますけれども、今後とも丁寧に対応していきたいというふうに思っております。
○草川昭三君 従来の考え方からは出ていないわけで大変不満でございますが、次に移りたいと思います。
 十月三十日に総理が追加の経済対策を打ち出されました。また、大臣からも当委員会で、水田をフル活用をするというような趣旨の内容が述べられているわけであります。
 そこで、具体的に支援内容を今後どのように進められるか、改めてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 今後、水田の有効活用の観点からどのような支援が行われるかというお尋ねでございます。
 持続的な農業生産を維持し、国民に不測時においても生存に必要不可欠な食を提供することができますよう、水田の有効活用を含め、自給力の維持向上を図ることは極めて重要なことであります。
 一方におきまして、米の需要は年々減少し、水田の六割で需要を賄える状況になっておりますので、残りの水田を有効に活用していくための施策は大幅に強化をしていかねばなりません。そのため、これまで取り組んでまいりました麦、大豆等の生産に加え、主食米と基本的に同じやり方で機械もそのまま活用できるなどの米粉用米あるいは飼料用米、えさ米の生産を促進していくということが重要であるというふうに考えております。
 しかしながら、これはもうお値段が安くて生産コストを賄えないのが現状でありますので、この格差を縮小する取組が必要だというふうに思っております。このため、多収性品種の導入、直播栽培の普及等を推進し、生産性の高い営農定着を進めていきたいと考えております。
 このような取組と併せまして、米粉用米、飼料用米の作付けを拡大した生産者に対して面積単位で助成金を交付する支援策を概算要求に盛り込んでおるところでございまして、現在調整を進めておるところでございます。
 米というものは非常に重要でございますが、いろいろな使い方がございまして、それに向けて積極的に支援をしていきたいと考えておりまして、それは供給力の確保にもつながるし、国土保全にもつながると思っておるところでございます。
○草川昭三君 話題を変えまして、中央卸売市場の施設整備の問題あるいは今後の活性化の問題についてお伺いをしたいと思います。
 卸売市場の重要性については今まで何回か議論をされておると思うんでございますが、最近、大型店、いわゆる場外取引のウエートが高くなりまして、資料によりますと、例えば青果の場合でも、四年度、五九・八%、これが二一・六%に減ってきております。いわゆる競りの位置付けであります。同じように、水産の場合でも、年度が四年度の場合、三四%の数字でございますが、十八年にはこれが二一・六%に減ってきておるわけであります。
 それで、卸に関係する業界の方々も、もうボーナスも払えないというような状況になっておりまして、非常に経営が苦しんでいるわけであります。また、食の安全等々から施設整備についての問題もたくさん出てきておるわけでございますが、なかなかそれが対応ができないというような問題もあるわけでございますが、国として今後どのような取組をされるのか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(町田勝弘君) 卸売市場でございますが、生鮮食料品等の流通におきまして、産地と消費者を結びます基礎的な社会インフラでございます。国としても、まずこの施設整備のことでございますが、卸売市場法等に基づきまして中央卸売市場の施設整備等に対して助成を行っているところでございます。
 具体的には、御指摘ございました、安全、安心で効率的な流通システムの確立に資するという観点から、一つは、負荷の軽減効果が見込まれますリサイクル処理施設、発泡スチロールの処理施設などでございます。また、二つ目といたしまして、鮮度や品質保持にかかわります価格上昇効果が見込まれます低温の卸売場施設を始めとする多岐にわたる施設の整備に対して助成を行っているところでございます。
 御指摘いただきましたように、生鮮食料品の流通におきまして、大変今、卸売市場流通に加えまして、生産者等の産地直売、また生産者と小売業者との直接取引、多様な流通形態がございます。こうした中におきましても、やはり卸売市場、流通の基幹的なシステムとしての役割を担っているというふうに考えております。
 今後とも、施設整備等を含めまして、施策の着実な推進によって卸売市場の活性化を図ってまいりたいというふうに考えております。
○草川昭三君 この市場のことについてもう一問。
 最近の民間資金等の活用によって、PFI等を利用した施設整備が行われておると言われておりますが、成功例があればこの際明示してください。
○政府参考人(町田勝弘君) 施設整備の実施に当たりましては、PFI事業の活用といったことで、整備コストの削減、民間資金の活用など効率化を図っていくことは大事だというふうに思っております。
 実績でございますが、これまでに一件でございます。具体的に申しますと、平成十六年度から二十年度までの予定で、神戸市の中央卸売市場、ここにおきまして進められております。この神戸市の中央卸売市場でございますが、老朽化した施設の移転、新設を行うに当たりまして、このPFI事業によりまして財政支出の一割以上の削減が見込まれることなどから、PFI法に基づきまして、公募を通じて選定をいたしました民間事業者に設計、建設及び新施設の保守管理等を行わせるPFI事業として行っているということでございます。
○草川昭三君 今度は水産庁にお伺いしますが、沖縄県の近海マグロはえ縄漁船「大幸丸」という船がありますが、つい最近、ミクロネシア当局に拿捕されました。現在も拘束されたままであると聞いていますけれども、拿捕された漁船及びその乗組員の早期釈放を求めなければいけないと思うんですが、現状はどのようになっているか、お伺いをします。
○政府参考人(山田修路君) 草川委員からお話がありました沖縄県の漁船「大幸丸」でございますが、お話にありましたように、今月四日にミクロネシア連邦当局に拿捕されております。
 本件につきましては、早期解決に向けまして、海外漁業協力財団の現地駐在員等を通じまして情報収集に努めております。また、去る十日には、中曽根外務大臣から訪日中のミクロネシア連邦のモリ大統領に対しまして、迅速な解決を申し入れるなど、政府としての働きかけを行っているところでございます。
 この件につきましては、既にミクロネシア国内の裁判所におきまして、現在取扱いがなされております。その成り行きを注視していく必要があると考えておりまして、引き続き情報収集に努めますとともに、必要に応じて外交ルートを通じた働きかけを行っていきたいと考えております。
○草川昭三君 是非そのように努力をしていただきたいと思うんです。
 我が国もミクロネシア連邦も、国連海洋法条約に加盟をしているわけです。この条約によりますと、漁業に関する法令に対する違反について沿岸国が科す罰には、関係国の別段の合意がない限りは拘禁を含めてはならず、また、その他のいかなる形態の身体刑も含まれてはならないということになっているわけです。分かりやすく言うならば、人質を取ってはいけないということです。また、二百九十二条によりますと、十日以内に保証金を支払った場合、拿捕された乗組員は直ちに釈放するということになっております。しかし、残念ながらそういうことにはなっていないわけです。
 また、ミクロネシア連邦においては、約一年前でございますが、宮崎県の漁船が拿捕されて、現在も拘束されたままになっていると聞きます。漁船のこの「大幸丸」の船長は定期的に医師の診断が必要な持病を持っていると我々も聞いておりますので、先ほど長官からの答弁もありましたが、人道的な見地から、一刻も早く船長を始めとする乗組員、あるいは本船というんですか、船体の釈放がなされることを特に強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
 以上です。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 一昨日の大臣の発言を受けて、まず直面している問題から質問したいと思います。
 最初に、麦の計画輸入制度の食品衛生法違反問題についてお聞きします。
 農林水産省は十月三十一日に、輸入時に発生した食品衛生法違反の輸入小麦の調査結果についてというのを発表して、特に問題はなかったとされました。しかし、輸入小麦の事故処理報告書は十八件、総合食料局長に出されているにもかかわらず、食品衛生法違反としては四件しかないわけです。この差は何だろうかと調べてみましたところ、これらの輸入小麦はすべて厚生労働省に輸入届がされていないものでした。要するに、計画輸入制度に乗って輸入された小麦なわけです。
 計画輸入制度というのは、一度輸入届を出せば一年間はその都度の輸入届は出さなくてもいいというもので、これは輸入者にとっては便利な制度です。しかし、この制度でも食品衛生法違反のおそれがあるもの、ないしは食品衛生法違反のものは、厚生労働省に通知することが義務付けられているわけです。ところが、厚生労働省に通知されず同省が全く関知できないまま事故処理がなされていたわけです。
 その事故の中身を見ますと、お配りした資料を見てほしいんですけれども、その資料のように、油漏れで異臭がして焼却処分をしたとか、オイル漏れで廃棄したとか、明らかにこれ食品衛生法違反と思われるものがあるだけでなく、水ぬれとなっているものも食品衛生法上は腐敗、変敗ということで、明らかに法違反となっているものもあるわけです。当然、輸入商社はこれ厚生労働省に通知する義務があるものです。これは要するに、小麦の輸入に関しては食品衛生法違反が常態化していると言ってもいい状況だと思うんですね。
 そこで、厚生労働省にお聞きしますけれども、これに対してどう受け止めて、どのように対応を考えていますでしょうか。
○政府参考人(中尾昭弘君) お答えいたします。
 農林水産省が輸入小麦を事故品と認めた事例の中で、委員御指摘の、厚生労働省が食品衛生法違反と認めた事例に掲上されていないものがあるということにつきましては、現在、輸入通関手続が実施された検疫所に対しまして、関係の輸入者が食品衛生法の規定に基づく届出等の手続を適正に実施したかどうかということについて調査を現在行っております。厚生労働省といたしましては、この調査の結果に基づきまして適切な措置をとっていきたいと考えております。
○紙智子君 確認をいたします。調査をしているということですね。
 それで、ちょっと確認をしたいんですけれども、輸入業者が食品衛生法違反かあるいはそのおそれがあるという場合、これ厚生労働省に通告していなければ、これは食品衛生法の違反ということですよね。
○政府参考人(中尾昭弘君) 食品衛生法の施行規則におきまして、計画輸入の場合におきましても、事故が発生した場合にはその事故発生の届出をするということが規定されておりますので、輸入者といたしましては事故が発生したときには届出を行う必要があるということでございます。これは食品衛生法施行規則の定めに規定しておりますので、その施行規則の違反という形になるわけでございます。
○紙智子君 そこで、石破大臣にお聞きしますけれども、この問題は輸入商社と厚生労働省の問題だけでは済まされない問題だと思います。
 計画輸入制度というのは、これ厚生労働省に輸入届が出されないものですから、いつ船が入ってくるかということは分からないわけです。厚生労働省には知らされていないと。しかし、農林水産省は全部分かっているわけです。輸入小麦に事故があれば、まず真っ先に現場に飛んでいくのは穀物検定協会と農政事務所の職員が駆け付けると。それで事故小麦の仕分をするわけです。そのときに農水省が厚生労働省に連絡をすれば、一本でも電話すればこのような事態は防げるわけですね。もちろん、第一義的に義務報告があるのは輸入商社ですけれども、だからといって農水省は関係ないというわけじゃなくて、やっぱりそこを縦割りじゃなく双方が本当に一緒になって食の安全、安心をやっていかなきゃいけないということからしても、この事態というのはやはり直していかなきゃいけないことじゃないかということを思うわけですけれども、大臣、改善するおつもりはありますか。
○政府参考人(町田勝弘君) 事実関係でございますので、私の方から答えさせていただきます。
 輸入計画制度につきましては、先ほど委員御指摘のような制度でございます。しかしながら、厚生労働省の審議官から御答弁ありましたように、食品衛生法に基づきまして、商社は輸入時に事故が発見された場合には検疫所にその概要を記載した届出書を提出するということになっているところでございます。こうしたことから、水ぬれ等が発生した場合にも、検疫所に相談をいたしまして、食品衛生法上の事故に該当する場合にはその届出を行っているというふうに承知しております。これは私ども、商社にまた改めて確認したところ、きちっと相談をし、必要な場合は届出を行っている、これが一点でございます。
 また、計画輸入制度とは別に、検疫所におきましてはモニタリング検査を行っております。これが円滑に実施できるよう、毎月、農林水産省より厚生労働省に対しまして輸入計画の一覧を提供しているところでございます。
○紙智子君 お配りした資料をちょっと見てほしいわけですけれども、これを見ても、実際に現実の問題として食品衛生法違反というふうになっていないものの中でも、実際にこれ水ぬれ、ヒートダメージとか、それから廃棄になっているものですとかオイル漏れ、それから異臭、油漏れと。これは明らかに違反というものなわけですよ。ところが、これが実際には厚生労働省の方にはなかったわけですから、実際、抜けているということなわけですから、そういう事態を防ぐためには、双方がやっぱりお互いに連絡を取り合ってやるというふうに改善するべきじゃないかということを申し上げたのであって、大臣、これについて一言お願いいたします。
○国務大臣(石破茂君) 今局長からお答えしたとおりでございますが、委員御指摘のように、それをしなければ本当に安全が保てないかということを考えてみましたときに、やはり商社と検疫所、そこの連携きちんと保たれるということがまず第一義的に履行されるべきものであろうというふうに思っております。
 当省として、どのような観点からこれに更に有効な手が打てるか、それは検討をしてまいりたいと思いますが、第一義的に、やはりそれを行う商社が検疫所ときちんとした連携を取るということがまず果たされるべきだと考えております。
○紙智子君 商社が第一義的というのは、私もそれは否定しません、そのとおりです。ただ、実際に抜けることがあり得るわけで、そのときに現場にいる農水省が一言連絡すればそれで防げるということを申し上げているわけで、そこは是非検討いただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
 次に、事故米穀の不正規流通問題について質問いたします。
 大臣は一昨日の報告で、流通ルートについて解明できるものはすべて解明を終えたところであり、消費者の方々に心配をお掛けする状況はなくなったと考えていると述べて、これで幕引きであるかのような印象を与えたわけですけれども、これは私はとんでもないことだと思います。
 なぜなら、総合食料局長に提出をされた過去五年間の輸入米の事故処理報告書を入手したわけですけれども、この報告件数というのは四十六件、その事故数量は約一万一千トンあるわけです。これについて食用への転用がなかったのかどうかと、本当になかったのかということについてよく見なきゃいけないわけですし、この間も議論になっていましたけれども、ほとんど需要がないとされている工業用ののりや合板の接着向けの事故米について報告書はあるわけですけれども、この中で見ても、三笠フーズ向けの百六十五トンを含めて千八十六トンあるわけです。この事故米が食用に転用されていない保証がどこにあるのかと思うわけですね。
 それで、大臣はなぜ、三笠フーズのルートだとかはやっていると思うんですけれども、なぜこの事故米についての調べ、調査をやらないんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 事故米に関します流通ルートの解明につきましては、三笠ルートを始めとする国が売却した事故米ルート解明にまず全力を尽くすということで、十月三十一日に流通ルートの解明状況の全体像を公表したところでございます。
 御指摘をいただきました商社ルートにつきましては、十一月中を目途に厚生労働省との連携の下で解明を進めているところでございまして、この点につきましては、十月三十一日に省の事故米対策本部で発表させていただいた進捗状況にも記載させていただいているところでございます。
○紙智子君 それじゃ、確認しますけれども、要するに、引き続きこうしたところも対象にして調査を進めるということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(町田勝弘君) 商社ルートの方につきましては、十月末には輸入小麦につきまして、先ほどお話しありましたように、食品衛生法違反についての事故品のものを対象に調査をしております。米につきましても、食品衛生法違反、このものについて商社ルートを今調査を厚生労働省さんと一緒に進めているところでございます。
○紙智子君 そうしましたら、次に、お配りした資料、@のところを見ていただきたいと思います。
 これは、平成十九年三月に出された総合食料局長通知で、物品の事故処理要領です。ここに、「事故品については、極力主食用に充当する」という記述があるということ。それからその次に、「主食用不適として認定した米穀(以下「事故米穀」という。)」という文書。それから、その隣の四十二ページの(2)のところですけれども、「事故米穀を主食用として卸売業者に売却する場合」という記述があることを発見をして明らかにしたわけですけれども、これは非常に反響がありました。この事故品については極力主食用に充当するという考え方ですね。
 これは資料Aの方をちょっと見てほしいんですけれども、これは昭和四十年のときの食糧庁長官の通知で物品の事故処理要領ですけれども、言ってみればこの当時の文書を踏襲して今日に来ているわけですけれども、その当初の文書にもない考え方なわけです。なぜこの考え方を十九年の文書に盛り込まれたのか、当時の総合食料局長の岡島官房長、今日来ておられますので、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(岡島正明君) まず、委員御指摘の資料、配られました資料の@の物品の事故処理要領、これは、そこにありますとおり平成十九年三月三十日付けで新たに通知したところでございますけれども、なぜこういうものを新たに通知したかと申しますと、先ほど資料のAにございました、昭和四十年に出されましたこの物品の事故処理要領、そこから平成十九年四月一日に実は食糧管理特別会計が廃止されて、新たに食料安定供給特別会計の設置、あるいは農産物価格安定法の廃止に伴い所要の改正が必要となったということで、旧来のいわゆる物品の事故処理要領を廃止しまして新たな要領を定めたということでございます。
 次に、今御指摘のありました「極力主食用に充当するものとし、」という文言につきましては、確かに昭和四十年、これもたしか四十年に最初に通知を出したと、食糧庁長官が通知出したと思いますけれども、資料Aにありますとおり、物品の事故処理要領におきましては極力主食用に充当するということについては記載されていないわけですけれども、平成十九年三月三十日付けで廃止したその当時におきましては、その極力主食用に売却することという文言は入っておりました。したがいまして、まさに実務的に、特別会計が変わるということから、旧来の通知を廃止して新たなものを制定したということでございます。
 その際に、問題になりました事故品と事故米穀を区別して使用していたところ、事故品と記載すべきところを事故米穀として誤って規定していた箇所があったということでございまして、これはもう本当に十分なチェックをせずに通知を発出してしまったということでございまして、申し訳なく思っております。
○紙智子君 ちょっと最初のところと最後のところは私も今聞いたところではよく分かりませんけど、後でまたお聞きしたいと思いますけど、要するに、袋が破損をしたり、虫や異物が入っていたり、ぬれていたり、色が変わっていると、こういう事故品を極力主食用に回せという考え方を言わば盛り込んでいる局長通達が出されたと。ということは、末端の農政事務所で食用に転用防止といっても、これはやっぱり力が入らなくなるんじゃないかというのは想像できるわけですよね。
 三笠フーズの事件で、なぜあのように不十分な調査で、不正規流通がつかめなかったのかということが問題になったわけですけれども、現場の担当者の意識ということももちろん問題になっているけれども、それだけじゃなくて局長の考え方のところから問題があったんじゃないかというふうに私は思うわけですよ。
 こういう文書を出された責任について大臣はどのように思われているのか、そして、局長の責任についてどのようにされるおつもりなのか、お答え願います。
○国務大臣(石破茂君) これは十分にチェックをすればこんなことは起こらないと私は判断いたします。
 紙を見てみますと、本当にミスで書き違えた、すなわち事故品と書かなきゃいかぬところを事故米穀と誤って書いちゃったので、今委員がおっしゃるようなことを現場の農政事務所の担当者が思ってもそれはやむを得ないというか、ゆえなしとしないというか、そういうところがあるではないか、そのとおりでございます。
 これは基本的に、そういうようなことがなぜきちんとチェックをされなかったのか、事務体制のミスであると同時に、そういう安全にかかわる者としての認識、意識が欠如しておったということだと思っております。それぞれの者が責任を有しており、そこについての判断というものはきちんとしなければいけないと思います。今断定的なことを申し上げることはできませんが、やはりそれが単純な事務的なミスでしたということで済まされる問題だとは思っておりません。
○紙智子君 納得できないんですよね。いやミスだったんですと、本当にそうなのかというふうに思うわけです。
 それで、私この問題を指摘したらその後すぐに事故米穀というのは誤記でしたという文書を、総合食料局長名で文書が出されたわけですよね。誤記だと、書き間違いだったんだというわけですけれども、しかし、この文書は昭和四十年の食糧庁長官通知を踏襲した文書で、もう一度その資料のAのところを見てほしいんですけれども、三十ページの4の「売却計画」の中ごろのところに線引っ張ってあります。ここに書いてありますけれども、そこにも、なお事故米穀を主食配給用として卸売業者に売却する場合というふうに明記されているわけですよ。誤記だと言うんだったら、この昭和四十年の食糧庁長官の通知も誤記になるし、そういうことはないんじゃないのかと。
 しかも、資料の@の局長通知というのは十九年の三月の三十日に出されて、二か月後、五月二十三日に一部修正されていますよね。そのときにも、かなり一つ一つの言葉については丹念に見直しを掛けているんですよ。だから、二回もじゃ見逃したのかということになるわけですけれども、これはどうなんですか。
○政府参考人(町田勝弘君) この四十年当時の通知でございます。お話がありましたが、ここにおいては、事故品も事故米穀も同じ意味で使っていたということでございます。ここの中で、そういったことから事故米穀を主食用に回すといった表現が出てきたんだというふうに思います。
 先ほど岡島官房長から話がありましたが、昨年三月直したときに、事故品と事故米穀を区分して規定をしたということでございます。主食、食用に適するものでないと、主食用として不適とした米穀を事故米穀と規定したわけでございます。その中で、事故米穀を主食用として卸売業者に売却する云々というのはこれは誤記であるというふうに、明らかな誤記だというふうに思いました。報道をいただくまで私自身気付かなかったことはこれは申し訳ないと思っておりますが、直ちにここの部分をきちっと改めた通知を改めて発出させていただいたところでございます。
○紙智子君 そういうふうに言われるとまたちょっと矛盾してくるわけですよね。実際に事故品だということで書き換えるということになると、それを当てはめて文書を読むとまたこれが矛盾してくるわけですよ。
 それで、この事故米穀を事故品に置き換えるということですけれども、事故品については、最初の文書のところでは極力主食用に充当することになっているわけです。この事故品は、事故米穀を除くというわけですから、例えば倉庫で地震が来て袋が落ちてばあっと破れてしまったと、散らばったと。こういうものはまた集めて使う分には決して毒にはならないわけですよね。そういうものが主体なんだという説明もあるわけですけれども、そうすると、本来「とう精」や「再調整」、難しい言葉で書いてあるので私も何だろうと思って調べたわけですけれども、玄米などをついて表面を削り取っていくということですよね、搗精。それから「再調整」というのは異物を除いていくという作業だと思うんですけれども、「とう精」や「再調整」をする必要がないわけですよ、ただ落ちただけのものだったら。
 事故品ということでやって読んでいきますと、その資料@の(2)のその線のところで読むと、それを卸売業者に売却する際に「とう精」又は「再調整」を行うために値引きをして売却をするという規定になっているわけですよ。つまり、本はうんと削り込まなければ主食用に回せないような米、異物を除去する作業が必要な米が想定されているわけですよ。この文書は。だから、事故米穀でよかったんだと思うんですよ、元々。そういうことでしょう。
 そして逆に、じゃ搗精しなければならない事故品というものはどういうものなのかというと、そのままでは食用に回せない相当表面が汚染されていた米ということですから、それが事故品だということになると、そういう米も極力主食用に充当するということになってしまうわけですよ。
 だから、これ大臣、矛盾しているんですよね。どう思われますか。
○政府参考人(町田勝弘君) この四十年当時の事故米穀、これは委員御指摘のとおり、単なる袋の破れと、そういったものも含んでいたわけでございます。こういったものは食品衛生上問題がありませんので、主食用にも販売し得るという整理でございます。
 ただ、その一方で、食品衛生上問題なのは非食用の用途に制限して売ってきたということでございます。
 今御指摘いただきました「とう精」、「再調整」、一体これは何だということでございますが、これは米を、古米でございますのでどうしても古米のにおいがひどく残ってしまうと。そういった場合は通常の精米程度で搗精してもにおいが残るので、もっと削り込むといったようなこと。あるいは、お米の表皮が、肌ずれというんでしょうか、ちょっと傷んで著しいと。そういったものについては、通常の歩留りはこれ九一%でございますが、それよりも精米度合いを高めて歩留りが結果的に下がると、例えば八五%になるということになりますと通常の歩留りと差が出ますので、そういった場合は値引きをするということでございます。
 御指摘いただいたカビ米でございますが、これはさっきの整理でいえば食品衛生上問題があるので食品、食用に販売することはできないわけでございますので、この規定はカビ米を、何かカビを除去すると、そういったことを想定したというか考えた規定ではもちろんございません。
○紙智子君 どう読んでもやっぱり誤記ということではなかったんじゃないかというように思うわけですよ。
 それで、やっぱり後からこれを間違いだったということを変えるものですからなかなかこの前後、合わなくなってつながらなくなると、つじつまが合わなくなるわけで、私の立場として、共産党の立場としては、やっぱりその事故品というものをそもそも極力主食用にということ自体がやっぱり問題だというふうに思うわけですけれどもね。
 いずれにしても、こういう対応をめぐっても大臣は、一昨日ですか、とにかくその場しのぎの対応はしないんだということを言われているわけだけれども、まさにこのことというのはその場しのぎだと思うんですよ。そういうことをやっていたんじゃ本当の意味で国民の信頼を回復することはできませんし、ちゃんと真剣に反省をし、どこが問題なのかということを改めていくということでやっていただかなきゃいけないというふうに思います。
 ちょっとこの後、防止策やその他の問題もあるんですけれども、時間になってしまいましたので、後のことは次回、また続きやらせていただきたいと思います。
 これで終わります。
○委員長(郡司彰君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三分散会