「NEWS23」の日米同盟について考えるシリーズ「再考 日米“同盟”」の2回目、日本に駐留するアメリカ軍の権利などを定めた「地位協定」をとりあげます。アメリカ軍基地問題の根本にある地位協定の問題点について沖縄からの報告です。
「あたった瞬間までは覚えてます。そこから意識がとんで」(被害にあった男性)
病院で取材に応じる2人の男性。アメリカ兵によるひき逃げ事件の被害者です。事件が起きたのは去年4月。海兵隊員が男女3人をはねたあと、基地内に逃走しました。
日米地位協定では容疑者の身柄について、殺人や強姦など一部の凶悪犯罪に限り、「起訴前」の引渡しを「考慮」するとしていますが、ひき逃げ事件はその対象ではありません。
犯罪捜査の障害になっている地位協定。結局、県警は任意で事情聴取を行い、書類送検しました。そして、起訴後に海兵隊員の身柄はようやく日本側に引き渡され、執行猶予付きの有罪判決が確定しています。
「地位協定がマニフェストに載ってるでしょう、提起するって。これは初めてだと思いますよ、日本では。ここは是非頑張ってもらいたいと思います」(沖縄県 仲井真弘多知事)
新政権の発足時、こう期待を述べた仲井真知事。地位協定をめぐっては、アメリカ軍基地を抱える全国の自治体が見直しをもとめています。
「日米地位協定を見直してほしいと。その議論に日米両政府に入ってほしいというのが最大の要請です」(神奈川県 松沢成文知事)
こうしたなか、沖縄では去年11月、ひき逃げ事件が再び発生し、66歳の男性が死亡しました。この事件ではアメリカ兵が一旦は任意の事情聴取に応じたものの、その後は拒否を続けるなど、地位協定の盲点も浮き彫りとなりました。
「(地位協定では)日本の警察が取り調べをすると決めた時に、強制的に、あるいは義務的に応じなければならないという原則になっていない」(日米地位協定に詳しい 本間浩法政大学名誉教授)
この事件でも警察は押収物などから裏づけを進め、4日にアメリカ兵を書類送検しました。日米地位協定により、日本の国内法が及ばない現実があるのです。
安保改定から50年。沖縄では常に日米地位協定が県民生活に身近な問題として横たわってきました。しかし半世紀もの間、協定は1度も改定されていないのが現実です。(06日23:09)