現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 国際
  4. ヨーロッパ
  5. 記事

ローマ法王、政治は苦手? 「尊者」認定でユダヤ人反発(1/2ページ)

2010年1月6日4時2分

印刷印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:バチカンのサンピエトロ大聖堂で3日、バルコニーから信者らに手を振るローマ法王ベネディクト16世=APバチカンのサンピエトロ大聖堂で3日、バルコニーから信者らに手を振るローマ法王ベネディクト16世=AP

 今年就任5年を迎えるローマ法王ベネディクト16世が、ユダヤ人社会からの批判に直面している。昨年、中東のキリスト教聖地を歴訪した際は「他宗教との対話」を進めた法王だが、政治感覚が薄く、逆に摩擦を引き起こしている。カトリック信者の頂点として、今年は法王にとって真価が問われる年になる。

 ローマ法王庁(バチカン)は昨年12月19日、前法王ヨハネ・パウロ2世と第2次大戦中の法王ピオ12世を「尊者」とすることを決めた。今後「福者」を経て、カトリック最高の崇敬対象である「聖人」に列する手続きを開始したことを意味している。

 ピオ12世(在位1939〜58年)は、ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺(ホロコースト)を明確に批判せず黙認したとされていることから、各国のユダヤ系団体が一斉に反発。独ユダヤ人協会は「(尊者決定は)現段階では早すぎる」との声明を発表。「ベネディクト16世に失望した」(米ユダヤ委員会)、「バチカンと仏のユダヤ人社会の関係に打撃を与えた」(仏ユダヤ人団体)といった批判が相次いだ。

 バチカン側は事態の沈静化に懸命だ。ベネディクト16世はバチカン職員らとの謁見(えっけん)でエルサレム訪問に触れて、ホロコーストを改めて「正当化できない行為」と強調。さらに「ピオ12世とヨハネ・パウロ2世の手続きは同時には進めない」(ロンバルディ報道官)とした。

 ベネディクト16世は教義に厳格なため、バチカン内部の支持は厚い。しかし、イスラエルやパレスチナ、ヨルダンの聖地巡礼を前にホロコーストを否定した司教の破門を解除するなど、「政治音痴」からくる言動で就任以来物議を醸してきた。

前ページ

  1. 1
  2. 2

次ページ

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内
  • 中国特集