年越しそばを食べた翌日は雑煮をいただく。大みそかから元日にかけて多くの日本人はそうする。雑煮はともかく、年越しそばの習わしはどれくらい定着しているのだろう
▼アンケートの結果が毎年のように出る。「食べる」人の割合は80―90%台が多い。中高年層を除いた20―40歳代で80%近いものもあった。やはり日本人の年の送り方・迎え方は年越しそばと雑煮を抜きには語れない
▼うどんが加わるのか。名づけて「年明けうどん」。香川県の「さぬきうどん振興協議会」が2年前から提案し、スーパーやコンビニなどがこの正月から商品を並べ始めた、とテレビが伝えていた。紅色かまぼこや金時にんじんなど紅色の具材入り
▼うどんは昔から「太く長く」長寿を願う縁起物ともされてきた。具材の紅色とうどんの白との取り合わせで「紅白」が出来上がる。新年を祝う気分が食卓でも増す、ということのようだ
▼思えば雑煮に入れる餅(もち)も白だった。これも一緒に、という手もある。餅入りのうどんは力うどんと言って珍しくないが、正月だと紅白の白の援軍になるし、紅色の具材を梅などで足せばいっそう華やぐ
▼年明けうどんの推奨期間は「1月15日まで」と長めに取られている。正月の主役である雑煮の顔を立ててのことと推察する。立てつつ「丸い餅が入った年明けうどんで角張らず軟らかく」、人間関係もそうありたい、との願いを添えれば味わいが増す。
=2010/01/03付 西日本新聞朝刊=