追跡取材：一人暮らしの半数は月収100万ウォン以下（上）

5世帯に1世帯は独身、大部分は低所得のぜい弱階層

晩婚・就職難で20−30代は自発的に一人暮らし

　ソウル市チョンノ区楽園洞に住むキム・オテさん（63）は毎朝5時30分、2坪（約6.6平方メートル）にも満たない一間で一人目を覚まし、水をかけたご飯を食べる。前の晩に洗濯しておいた作業服を着て仕事場に向かう。午後5時ごろに帰宅すると、ご飯にタマネギ数切れ、コチュジャン（唐辛子みそ）という質素な食事を取る。家の近所にあるタプコル公園を散歩した後、ぼんやりとテレビを見て、一人眠りにつく。

　キムさんは全羅南道新安出身だ。若いころはリヤカーを引いて古道具を集めた。現在は住民センターの希望勤労プロジェクトに参加し、月に90万ウォン（約6万7400円）の賃金を受け取る。家賃23万ウォン（約1万7200円）、各種の公共料金12万ウォン（約8900円）、食費30万ウォン（約2万2500円）に加え、関節炎と頭痛の薬を買って飲まなければならない。

　キムさんは20歳で結婚したが11年後に妻と死別し、それからはソウル市チョンノ区三清洞で二人の子供を育てながら暮らしてきた。子供が成人すると、キムさんは一人になった。キムさんは「子供も生活が大変で、金もなく体の具合が悪い父親がしきりに連絡すると負担になる。家族がなく一人で迎える秋夕（チュソク、韓国の旧盆）が大嫌いだ」と話した。

　こうした貧しい一人暮らしが増えている。統計庁によると、2000年9月現在、韓国の世帯総数169万6966世帯のうち、341万5121世帯が一人暮らしの単身世帯だった。1990年には10世帯中1世帯にも満たなかった（9.0％）単身世帯が、00年にはおよそ7世帯に1世帯（15.5％）、今ではおよそ5世帯に1世帯（20.2％）の割合となっている。19年の間に2倍以上も増えたことになる。

　問題は、単身世帯のうち50.8％が月収100万ウォン（約7万4900円）に満たず、27.1％が月収100万−200万ウォン（約7万4900−14万9800円）の間を行き来しているという点だ。単身世帯全体で見ると、10世帯中8世帯（77.9％）が低所得層もしくは下から2番目の階層になるわけだ。統計庁や専門家らは、現在50代の人たちが70代になる2030年には、4世帯に1世帯が一人暮らしになると見込んでいる。

　ソウル市政開発研究院のピョン・ミリ研究委員は、「安定した収入がある独身者を意味する、いわゆる“ゴールドミス”や“ゴールドミスター”は、一人暮らし全体のごく一部。家庭を持ちたくても経済的な条件が伴わず、一人暮らしをしている人が絶対多数を占めているのが現実」と語った。

　一人暮らしが増えていること自体は、韓国だけの現象ではない。日本や米国、ヨーロッパでは、90年代の時点で既に一人暮らしの割合が全世帯の2割を超えていた。韓国で問題になっているのは、ライフスタイルの変化で自然と一人暮らしが増えたというより、社会構造の変化が重なったことで一気に量産されたという点だ。望んで一人暮らしをする人が増えたのではなく、仕方なく一人暮らしを余儀なくされている人が増えたというわけだ。

特別取材チーム
ピョン・ヒウォン記者
キム・ドンヒョン記者
イ・シヨン記者