フィギュア:ヨナは「出ない」と言っているのに…

ISU会長「全州四大陸選手権への出場を」

韓国側はジレンマ

 国際スケート連盟(ISU)のオッタビオ・チンクアンタ会長(71)=イタリア=は先日、大韓スケート連盟の朴聖仁(パク・ソンイン)会長に書簡を送った。その内容は「キム・ヨナが四大陸フィギュアスケート選手権(1月27日-30日、韓国・全州)に出場するよう協力してほしい」というものだった。

 この要請を受け、大韓スケート連盟は困り果てた。韓国で開催される国際大会に韓国のスター選手が出場すれば、大会が盛り上がるという趣旨は分かるが、キム・ヨナ(19)=高麗大=は既に不参加を明言している。

 キム・ヨナは来年2月のバンクーバー冬季オリンピックに集中するため、トレーニング地であるカナダ・トロントでの最終調整に専念するとしている。マネジメントを担当しているIBスポーツ側は「トロントから全州に行けば時差への適応や試合などで1週間ほどかかる。オリンピックを1カ月後に控えた選手にとっては負担だ」と、不参加の意向を表明している。

 昨年2月に京畿道高陽市で行われた四大陸選手権も、キム・ヨナはけがで不参加だった。今年2月にカナダ・バンクーバーで行われた四大陸選手権は、来年のオリンピックの前哨戦的な性格があるう上、トレーニング地からの移動距離が比較的短かったこともあり出場、見事優勝した。

 だが、大韓スケート連盟としては、国際スケート界の大物であるチンクアンタ会長の依頼をないがしろにすることもできず、頭を抱えている。元スピードスケート選手のチンクアンタ会長は1994年にISU会長に就任、各大会のテレビ中継権料交渉で手腕を発揮するなど、攻撃的なマーケティングでISUの財政を強固にしてきた人物だ。96年からは国際オリンピック委員会(IOC)委員も務めている。

 チンクアンタ会長が率いるISUは、99年にアジア・アメリカ・アフリカ・オセアニアを指す四大陸選手権を創設、ヨーロッパ選手権に並ぶ国際大会に育て上げるため、この数年間、ヨーロッパ以外の優秀な選手の出場を促している。とりわけ韓国は四大陸選手権を最も多く開催している国(2002年全州、05年江陵、08年高陽、10年全州)だ。

 「キム・ヨナ側の意向が最優先」との姿勢を貫いている大韓スケート連盟だが、ジレンマに陥っているのも事実だ。今回の一件がチンクアンタ会長、ひいてはISUとの摩擦に発展しないことを祈るのみだ。

成鎮赫(ソン・ジンヒョク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る