(cache) 押尾被告“見殺し”と判断…再逮捕

　東京・六本木のマンションで死亡した飲食店従業員の田中香織さん＝当時（３０）＝に合成麻薬ＭＤＭＡを渡したとして麻薬取締法違反（譲渡）などの疑いで逮捕された元俳優の押尾学被告（３１）について、警視庁捜査１課は４日、保護責任者遺棄致死の疑いで再逮捕した。田中さんの容体急変後、すぐに救急車を呼ぶなどの適切な救命措置を取っていれば生存していた可能性が高いと判断した。筑波大学の斉藤誠二名誉教授（７７）＝刑法、刑訴法専門＝は、デイリースポーツの取材に対し「殺人罪に近い量刑が下されても不思議ではない」と断じた。

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　押尾容疑者は容体が急変した田中さんを放置し、死なせたとして、保護責任者遺棄容疑ではなく、「遺棄致死」容疑で再逮捕された。

　斉藤教授は「やむを得ない事情ではなく、自身の犯罪行為を隠匿するための行動で、およそ（正当な）理由としては認められない。１１９番通報の遅れが被害者の死につながった可能性は低くないため、（遺棄ではなく）遺棄致死に相当すると思う」と解説した。

　捜査１課によると、押尾容疑者は「（田中さんの）容体が急変して、そのまま死亡した」と容疑を否認。容体急変後すぐに救急車を要請せず、知人による１１９番通報まで約３時間半、放置した理由について「自分がＭＤＭＡを飲んでいたことが発覚するのを恐れた」と供述している。

　田中さんは午後６時ごろに容体が急変し、午後７時ごろに死亡したと推定されている。斉藤教授は「裁判所としても、心情的には押尾容疑者が人を殺したという感覚に近いものを抱くと思われます」と強い口調で“断罪”した。

　押尾容疑者が有罪となった場合の量刑についても「殺人罪は通常、懲役７年程度の量刑が多い。近年、量刑が厳しくなる傾向がうかがえることからも、懲役５-７年という、殺人罪に近い量刑が予想される」と厳しい見解を示した。

　斉藤教授によれば、容体急変後に放置したことと死亡したことの因果関係が証明できなかったとしても、薬物を飲ませること自体が身体に異変を起こさせうる行為で、薬物が原因で死亡したなら「傷害や傷害致死ということにもなりうる」と話した。