「新日本」(4日、東京ドーム)
IWGPヘビー級選手権が行われ、王者・中邑真輔(29)が挑戦者・高山善廣(43)=高山堂=を退け、4度目の防衛に成功した。次期防衛戦は、試合後に乱入した中西学(42)と2・14両国大会での激突が濃厚になった。棚橋弘至(33)は、ノア・潮崎豪(27)を撃破。GHCヘビー級王者・杉浦貴(39)は、後藤洋央紀(30)を下して初防衛に成功した。また、丸藤正道(30)はIWGPジュニア王者・タイガーマスク(39)を下し、メジャー3団体のジュニア王座を完全制覇する史上初の快挙。新日本とノアの対抗戦は2勝2敗だった。
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思いの丈をヒザに込めた。中邑は勝利後、自ら握手を求め、高山と抱擁した。「心の中を整理できない。花道からリングまで、いろんなことを思い出した」。特別な存在から奪った勝利の味をかみしめた。
02年8月にデビュー。空前のブームだった総合格闘技で頭角を現した。03年12月、史上最年少、最短でIWGPベルトを巻いたが、“代償”もあった。
「プロレスでは誰からも相手にしてもらえなかった。スカされたり、『中邑には触れないでおこう』という空気があった」。そこに壁として現れたのが高山だった。「本当につぶしにきてくれた。自分には少ない時間だけど、ヤングライオンとしての下積み。今の支えになっている」と感謝している。
高山が脳こうそくから奇跡の復帰を遂げたことにも「地獄からよみがえった人間としての強さも感じる」と一目置いている。昨夏から使う必殺技ボマイェ(頭部へのヒザ蹴り)も高山からの影響を否定しない。
壮絶な打撃戦だった。鈍い音でエルボーを受け、観客がどよめいた。一方的な劣勢だったが、雄たけびとともに反撃を開始した。原爆固め、ヒザ蹴りを食らっても、カウント2でキックアウト。最後はグーパンチの殴り合いから、ハイキックでヒザをつかせ、ボマイェ3発で3カウントを奪った。
試合後のリング上で王者は誓った。「過去は今に。今が未来に続く。今を生きるしか未来は創(つく)れない。オレは今日を生きた。以上!!」。
低迷するプロレス界。V字回復は無理かもしれないが、やるべきことは一つ。今を精いっぱい生きること。中邑が未来を創る。