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kamipro編集部・大川義之プロフィール

1973年5月20日、大阪府大阪市出身。中学・高校教師を経て、02年に日本語講師として渡韓。大学で日本語を教えながら、韓国総合格闘技の草創期からその成り行きを目撃。大会の観戦を重ねていくうちに、ライターや通訳、現地コーディネイターとして日本・韓国格闘技業界とかかわりを持つようになる。06年から『kamipro』誌上で韓国格闘技情報の月刊コラム「インサイド・コリア」の寄稿を開始。08年に帰国と同時にダブルクロスへ入社。09年6月よりフリーライターとして活動中。

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1月4日更新

韓国メディアが警告「2010年、K-1/DREAMは韓国でテレビ放映されない?」

あけましておめでとうございます! 『Dynamite!!』の興奮冷めやらぬ日本の格闘技界ですが、韓国の格闘技界では『Dynamite!!』を主催したFEGのテレビ放映権問題が話題を集めています。今週は、そんな日本のFEG本体に大きな経済的響を及ぼしかねない韓国でのFEG系列イベントのテレビ放映権問題の詳細を紹介します。

「これは看板スターであったチェ・ホンマンの不振が決定的理由である」


魔裟斗の引退マッチ、柔道金メダリスト石井慧のデビュー戦、『戦極』 vs DREAMの対抗戦など、日本国内ではさまざまな話題を巻き起こした年末恒例のビッグイベント『Dynamite!!』。しかし、韓国ではこれが「韓国で最後のFEG系イベントのテレビ放送ではないか」という論調が高まっているという。

韓国のネットメディア『EデイリーSPN』は、12月31日付の記事で「人気下落の日本の格闘技K-1が2010年はテレビで観られない?」というタイトルの記事を掲載している。同記事ではチェ・ホンマンのK-1転向とともに、韓国で爆発的なK-1人気が起こり、常に高視聴率をマークしたことを説明したうえで、「韓国での放映権料も天井知らずの額にハネ上がった。年間1億ウォン程度から始まった放映権料が天文学的な水準まで上がり、(韓国では)国富流出論議まで飛び出すほどの勢いだった。だが最近になって韓国でのK-1人気は低迷している。これは看板スターであったチェ・ホンマンの不振が決定的理由である。一時はK-1のトップファイターとして活躍したチェ・ホンマンは、08年に脳腫瘍問題によって物議を醸し、試合では実力を落として連敗し、大衆の関心を集められなくなってしまった」と、K-1人気の低下を指摘。

この記事で書かれているとおり、近年の韓国市場はFEGに大きな利益をもたらしてきた。05年にK-1ファイターに転向したチェ・ホンマン人気を背景に、韓国のテレビ会社であるCJメディアは、06年3月に06〜09年までの3年間で150億ウォン(当時のレートで約18億7000万円)でFEGと契約。CJメディアはFEGに年間6億2300万円の放映権料を支払っただけでなく、K-1の韓国大会の興行権を保障するための60億ウォン(約7億5000万円)、FEGの韓国法人であるFEGコリアの設立に100億ウォン(約12億5000万円)を出資し、少なくとも09年までの3年間で約310億ウォン(約39億円)という莫大な金額を支払った。

しかし、3年間でこうしたK-1バブルもはじけたようで、同『EデイリーSPN』の記事では「2010年にはテレビでK-1が観られない可能性が高まっている。現在FEG系列の格闘技イベントはCJメディアのXTMが中継しているが、09年大晦日の『Dynamite!!』を最後に事実上K-1中継契約を終了するだろう」という見通しを書いている。同記事にはCJメディア関係者の「現在FEGと交渉を行なっているが、うまく解決できそうにないのは事実だ。K-1関連の視聴率も以前とは状況が変わっており、大会を継続して放送できるかどうかは不明確」というコメントも掲載されており、交渉は難航している。

今後の可能性としては、CJメディアと再契約する場合、大幅の放映権料カットや放送回数は減少が必須条件となるだろう。もしもCJメディアと交渉決裂としても、韓国の他のテレビ局と契約する可能性は残されている。だが、最近、XTMと同様に韓国で格闘技イベントを放送しているXSPORTSは親会社がCJメディアに買収されたことで消滅。CJメディアは2010年からはUFCを中心に格闘技放送を続けていくことをほぼ決めており、FEGが契約を獲得できそうなチャンネルはさらに少なくなっている。

FEG系列の格闘技イベントが韓国のテレビ局から姿を消すと論じるのは時期尚早


『EデイリーSPN』の記事だけではなく、1月1日には韓国の大手スポーツ新聞のオンライン版『スポーツ朝鮮』の格闘技コラムでも同じような内容の記事が掲載されている。同記事では「最近の韓国でのプロ野球の飛躍的な人気上昇が、他ジャンルのスポーツの人気低下に影響を及ぼしている。広告を入れやすいシステムを持つプロ野球の視聴率向上により、あえて韓国にアピール度の高くない日本人ファイター中心の格闘技イベントに多額のお金を払う必要がなくなっているのだ」と、韓国内でのスポーツ人気の変化を説明。さらに結びでは『EデイリーSPN』の記事と同様に「FEG最後の放送は09年12月31日となった。現在の雰囲気では何か劇的な変化がない限り、2010年にXTMでFEG系列の格闘技イベントが放送されることは難しいと言わざるを得ない。残念なことに2010年は韓国格闘技界にとって最もよくない時期になりそうだ」と悲観的な意見で締めくくっている。

韓国メディアにおいてFEGの韓国内でのテレビ放映の再契約に悲観的な意見が掲載されている一方で、09年の大晦日『Dynamite!!』の大会後総括で、DREAM笹原圭一イベントプロデューサーが2010年にはDREAM韓国大会の開催を示唆し、韓国の格闘技界内では2010年にDREAMが韓国大会を複数回開催する可能性が噂されている。過去3年間のような好条件での再契約は難しいにしても、このままFEG系列の格闘技イベントが韓国のテレビ局から姿を消すと論じるのは時期尚早であろう。はたして2010年に、DREAMの韓国大会が実施されるのか、あるいは韓国においてFEG関連イベントが再びテレビ契約を獲得できるか、注目が集まりそうだ。

以上、今週の韓国格闘技情報でした。今年もこのコーナーをよろしくお願いします!