2010年1月5日 15時0分
日本に住む外国人の生活支援などを行っているNPO法人「在日外国人情報センター」(東京都新宿区)が母体となり、在日外国人向けの家賃保証団体を設立し、今月中にも本格的に活動を始める。外国人に限定した家賃保証サービスはあまり例がないといい、首都圏の1都3県が対象地域。当面は韓国・中国人向けで、英語圏の人たちにも拡大する方針だ。【曽田拓】
同センターは95年の阪神大震災で被災した外国人の救援活動をきっかけに設立。現在は、中国語や韓国語、タイ語など14言語の在日外国人向け情報紙など計44メディアと連携している。センターが中心となってネットワークをつくり、東京都などからの防災情報や行政情報を各メディアに掲載する活動のほか、都の委託で外国人向けの防災訓練や語学ボランティアの研修事業も行っている。
同センターが都内在住の外国人約400人を対象に06年9月に実施したアンケートで、賃貸物件を借りるために、1人平均15軒以上の不動産業者を回っていることが判明。言語や生活習慣の違いや、「家賃を滞納されるのでは」との不安から外国人が敬遠される実態が浮かび上がった。
このため、同センターと在日中国人向け情報紙が協力し、社団法人「外国人生活サポート機構」(豊島区)をつくり、家賃保証サービスを始めることにした。提携先として、都内の不動産業者数社が名乗りを上げている。
具体的な仕組みは、提携先の不動産業者が、物件探しに訪れた外国人にサービスを紹介。借り主は、家賃1カ月分の40~60%を初回保証委託料、1年を超えるごとに追加の委託料として1万円を同機構に支払う。機構側は借り主が滞納した場合、積み立てた委託料の中から1年分を限度に保証する。さらに、家賃保証だけでなく、借り主に電子メールアドレスを登録してもらい、生活情報などを提供しながら継続的に連絡を取る。
1年前に来日した韓国人学生、金英敏(キム・ヨンミン)さん(23)は「友人にも『外国人はダメ』と不動産業者に断られた人がいる。私もまだ日本語に不安があるので、こういうサービスはうれしい」。日本に住んで5年になるというインドネシア人デザイナー(28)は「来日した当初は、保証人になってくれる人もおらず困った。インドネシア人にも需要はあると思う」と話した。
自身がマンションオーナーで、在日フィリピン人向け情報紙編集長もしている小池昌・同センター代表(55)は「住宅探しに苦労している外国人は多く、この試みを成功させたい」と話している。