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児童虐待防止:親権停止も必要 法務省研究会報告書提出へ

 法務省の児童虐待防止対策に関する研究会は、児童を保護するため親の親権を一時的に停止させる民法改正が必要との報告書をまとめる方針を固めた。10年1月中に千葉景子法相らに提言し、法務省は2月にも法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する見通し。日本の家族制度に踏み込む見直し作業となる。

 民法は、未成年の子の親権は父母にあると定めている。しかし、虐待を受けた子供が児童養護施設などに保護された場合、親が親権を理由に引き取りを主張するケースが多い。

 親権を巡っては、親族らの申し立てを受けて、家裁が親権はく奪を宣告する「親権喪失」制度がある。だが、いったん喪失手続きをとると回復させるのは困難なため、研究会は親の子供に対する権利や義務といった親権の全部か一部を一時停止させ、親が改善されたと判断した後に回復させる制度が必要と判断。病気の子供に必要な治療を受けさせずに放置する「医療ネグレクト」のケースでも、親権停止により柔軟な適用が可能になる。

 また、民法822条には「父母が子を懲戒し、または家裁の許可を得て懲戒場に入れることができる」との条文があるが、「懲戒」が何を示すのか不明確なため、この条文の削除や見直しを検討する。

 08年4月施行の改正児童虐待防止法は付則で、施行から3年以内に民法の親権規定を見直すと定めた。このため研究会は6月から学者や厚生労働省の担当者らを交えて民法改正の適否について議論していた。【石川淳一】

毎日新聞 2009年12月31日 2時30分

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