【社説】豪雪を通じて目にした国と国民のレベル

 4日早朝から降り出した雪の影響で、ソウルをはじめとする首都圏の通勤の足が完全にまひしてしまった。通常なら車でわずか20分、30分の通勤時間が2時間、3時間となり、また城南市盆唐区からソウル・光化門まではバスで5時間もかかったという。ソウル市内では午後までに25.8センチの雪が積もり、1937年の観測開始以来、最高の積雪を記録した。この交通まひは確かに不可抗力という側面もあった。しかしたとえそうだとしても、政府や地方自治体、放送局、市民の誰もがもっと徹底した備えを行っていれば、交通が完全にまひするような事態は避けられたはずだ。

 気象庁が3日に発表したところによると、首都圏では4日だけで2センチから7センチの積雪が予想されていた。しかし実際は、その3倍以上の雪が降った。昨年12月27日にも気象庁は積雪を予想できず、ソウル都心の交通は完全にまひしてしまった。天気予報を完全に的中させるのは難しいかもしれないが、こうして毎回のように誤った予報を行っているようでは、気象庁としてもメンツが丸つぶれだろう。昨日も首都圏での積雪が10センチから15センチに達した午前8時20分ごろになって、気象庁はやっと大雪警報を発令した。これも、発表が少しばかり遅れたといえるものではない。完全な手遅れだ。

 ソウル市は雪が降り出す前の4日午前零時から、主な幹線道路に除雪剤をまくなど最初の非常態勢に入った。しかし、第2段階の対応はすでに渋滞が始まった朝7時になってからで、投入可能なすべての人員が対策に乗り出す第3段階の非常態勢に入ったのは、それからわずか1時間後の午前8時だった。ソウル市がやるべき仕事の中で、交通がまひしないように対策を取ることほど重要なものはないはずだ。つまり、ソウル市はもっと早い段階から、最高レベルの非常態勢で備えをしておくべきだった。民間の重機を除雪作業に動員できるような体制も整えておくべきだろう。

 地下鉄は乗り換えの駅ごとに通勤客が殺到し、機能が完全にまひしただけでなく、時には電車が故障するといった、通常では理解できないような事態が発生した。多くの雪が降った場合には、車やタクシーで通勤していた人たちが地下鉄を利用するのは当たり前のことであり、主要な駅では大きな混雑が起こることが予想できて当然のはずだが、それに対する備えはまったく行われていなかった。

 テレビなどでは朝6時の放送開始と同時に、市内の交通状況を市民に伝えた。MBC放送は光化門に中継車を送り、6時、6時32分、7時、7時21分にそれぞれ道路が凍り付く恐れがあると報じた。しかしもっと早い時間帯から非常態勢に準ずるような編成を思い切って行い、自家用車ではなく公共交通機関を利用するよう市民に呼び掛けていれば、市内の各地で車が乗り捨てられて大渋滞を引き起こすような事態は起きなかったはずだ。米国東部でも先月18日に激しい雪が降り出した際、放送各社はワシントン市長を出演させ、急な事情がない限りは家の外に出ないよう呼び掛けた。

 非常事態の中では市民の誰もが徹底して秩序を守ることも求められる。ところがソウル市内では、どこの十字路でも互いに先を争って車が交差点に進入したため、あらゆる方向に向かう車が完全に入り交じって身動きも取れなくなるという混乱が起こった。災難が起こるとその国のレベル、あるいは国民のレベルが目に見えるようになる。4日に起こった出来事は、大韓民国が先進国となるにはまだ多くの課題が残っていることを明確に示してくれた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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