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見るだけ、脳波で家電操作 国立リハビリセンター開発

2010年1月5日1時28分

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 テレビやエアコンなど身のまわりの家電を脳からの信号だけで操作する――。そんな仕組みを、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の神作(かんさく)憲司・感覚認知障害研究室長らが開発した。両手足や首、眼球が動かない人たちが、より自由に活動できるようになるかもしれない。

 仕組みはこうだ。まず、使いたい家電を意味する図柄を印刷した紙を家電の近くなどに置く。家電を操作する人は、脳波を拾う電極がついた帽子をかぶる。帽子には、小型のカメラとディスプレーがついている。

 カメラが図柄を認識すると、ディスプレーにその家電に対応した操作パネルが浮かび上がる。「スイッチを入れる(ON)」「音量を上げる」などのボタンを注視すると、脳波計が脳波を拾う。コンピューターが、操作者がどのボタンを見ているのかを解析。目的にかなった赤外線信号が出て、家電が作動する。

 仕組みは一見複雑だが、操作者がパネルのボタンを注視してから瞬時で家電は動く。

 帽子にディスプレーをつける代わりにコンピューター画面を使うこともできる。カメラは帽子ではなく、車いすにもつけられる。注視する図柄については、「この形はテレビ」という具合に、コンピューターにあらかじめ設定しておく。50音が並ぶパネルにすればパソコン操作もできるという。

 神作さんは「身体障害者の活動領域が広がるようなシステムの開発をめざす」と話す。すでに研究室内での実験は成功。今年から、障害者用モデル住宅で脊髄(せきずい)損傷などで両手足が不自由な人に実際に使ってもらい、実用化への道を探るという。(大岩ゆり)

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