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薬「輸入代行」:横行 ブローカー暗躍 「偽薬」届く例も

 インターネットで医薬品の輸入業者が“増殖”している。中には偽薬が届いたケースもあり、背後にはブローカーの影もちらつく。昨年11月、インフルエンザ治療薬「タミフル」の広告をネットに掲載したとして、大阪府警が薬事法違反(未承認医薬品の広告)の疑いで5業者を家宅捜索しており、厚生労働省も注意を呼びかけている。【渋江千春】

 ◇ブローカーの影

 業者は注文を受けると海外の薬局などへの発注を代行。消費者には直接、海外から薬が届く。薬代や送料のほか、数千円の手数料がかかる場合が多い。

 ただ、小規模業者が多く、実際の輸入代行業務をブローカーに任せる例も多い。あるブローカーは取材に「約20の代行業者と取引している」と話し、府警が捜索した業者も含まれているという。

 厚労相の輸入許可がないと未承認薬とみなされ、薬事法で販売や広告が禁じられている。しかし、がんや難病の患者が未承認の薬を試すなど、やむを得ない場合を想定し、個人輸入は規制外。これがネット業者増殖の背景になっている。

 ◇偽物届く例も

 届いた薬が偽物と分かった例もある。09年、インドから「タミフル」として発送された薬に有効成分のオセルタミビルが入ってなかったことが、米食品医薬品局(FDA)の調査で判明。また、勃起(ぼっき)不全治療薬「バイアグラ」を製造販売するファイザーなどが最近、輸入代行業者が扱う薬を調べたところ、6割が偽物だった。

 多くの業者は取材に「偽物は扱っていない」と話した。しかし、根拠は「海外の発送元が信頼できるから」などとあいまいだ。厚労省は「薬の真がんを個人が区別するのは不可能。副作用の危険があり、個人輸入は避けてほしい」と訴える。

 ◇いたちごっこ

 府警の捜索以降、多くの業者のサイトから「タミフル」「バイアグラ」などの文字や写真が消えた。しかし、サイト内検索で薬品名や価格が表示されたり、消費者とのやりとりをメールに限るなど、随所に摘発逃れの工夫がうかがえる。

 府警は捜索後、「輸入代行」の看板に隠れた違法販売や販売ルートの解明を進めている。捜査関係者は「『輸入代行』とは名ばかりで、実態は違法な販売の可能性もある。偽薬で健康被害が起きる懸念もあり、放置できない」と指摘している。【渋江千春】

毎日新聞 2010年1月5日 2時30分(最終更新 1月5日 2時30分)

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