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ディズニーアニメに初のアフリカ系お姫様 米で映画公開

2010年1月4日

 【ニューヨーク=田中光】ディズニーのアニメ映画「プリンセスと魔法のキス」が、米国で公開された。10年ぶりで得意のお姫様シリーズだが、違うのは、主人公に初めてアフリカ系(黒人)を設定したこと。初のアフリカ系大統領としてオバマ氏が登場した年でもあり、黒人社会はおおむね好意的に迎えているものの、複雑な思いも交錯する。

 映画の舞台は、1920年代の米南部ニューオーリンズ。自前のレストランを持つことを夢見る主人公で、ウエートレスのティアナが、呪いによってカエルに姿を変えられた王子様と出会う。ティアナが呪いを解くためにキスしたら、自分もカエルに変身。2人で人間に戻るため、冒険の旅に出る、という物語だ。

 昨年12月11日の全米公開後の初の日曜日。ニューヨーク・ハーレムの映画館は、ほとんどが黒人で、約8割の入り。「お姫様」姿の少女もいた。

 「主人公の人種の要素もよく描かれていたのは驚いた」とシャリス・ウィンフィールドさん(21)。「黒人のお姫様を映画で見るのは初めて。ディズニーでは、きょうのが一番」と、いとこのブルニーちゃん(8)。「黒人のお姫様だから見に来た」という家族連れもいた。

 ディズニーのお姫様シリーズは、初代の白雪姫(1937年)に始まり、シンデレラ(50年)、「美女と野獣」(91年)などを経て、今回が9作品目。11日から13日にかけての週末では、全米で2500万ドル(約22億5千万円)の興行収入を稼ぎ、堂々の1位に輝くなど、観客動員は上々。クリスマス商戦でも関連グッズが売れ行き好調だ。

 ディズニー側は、制作にあたって、各界で活躍する黒人の著名人に事前に相談。黒人社会に受け入れられるような作品をめざしてきた。

 それでも黒人社会の受け止め方は一様ではない。

 「当時の人種差別をきちんと描いていない」「王子様が黒人らしくない」「仲間の蛍が歯抜けとして描かれている」。黒人を対象にしたブログなどで、批判の声が並ぶ。

 一方で、黒人向け雑誌「エボニー」は「批判はあるかもしれないが、これは子供向け映画だ。これまでだって、社会や政治問題を扱ったディズニー映画があっただろうか」などと書き、黒人を主人公に設定した意欲を評価した。

 日本では、3月6日から公開される予定だ。

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