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きょうのコラム「時鐘」 2010年1月5日
ふるさとで暮らす身に、正月の帰省は無縁である。混雑や渋滞に同情するが、逆に年末年始の旅行がうらやましくもなる
それで、帰省客に紛れて糸魚川まで列車に乗った。線路脇にコンクリートの高架が立ち並び、先へ先へと延びている。新幹線時代の到来を実感する。駅を過ぎると、高架の列は決まって車窓から遠ざかり、山や丘へと向かう。新幹線はトンネルが大好きらしい トンネルは、用地買収の必要はないし、風雪の影響も免れる。山陽新幹線は、モグラのようにトンネルを走り続け、美しい瀬戸内海をめったに見せてはくれない。便利だが、旅の風情は味わえない 速さを優先すれば、旅の気分は犠牲になる。二兎(にと)を追うのは難しい。が、北陸新幹線は富山平野をひた走り、車窓から立山連峰を存分に見せてくれることになる。倶利伽羅を抜ければ加賀平野。福井延伸になれば、白山も眺められる。二兎が転がり込む自慢の新幹線だが、実現まで何度しびれを切らされたことか 開業が良いことずくめでないのは百も承知。それでも、年が改まると、指折り数えてその時を待つ気持ちが高ぶってくる。 |