ケア(右)にクロスヒールホールドを決める船木。鈴木(左)に4の字固めを決める武藤(奥)=後楽園ホール
「全日本」(3日、後楽園ホール)
1985年に当時史上最年少の15歳11カ月でプロレスデビューし、90年代には格闘家として一時代を築いた船木誠勝(40)が、全日本社長・武藤敬司(47)とのコンビで、鈴木みのる(41)&太陽ケア(34)組から世界タッグ王座を奪取。四半世紀を経て、プロレスでは自身初のベルトを獲得した。
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中学卒業後、青森から上京して84年に新日本プロレスに入門。15歳でデビューし、ついに初のベルトをつかんだ40歳は「ものすごく充実している。プロレスに帰ってきて良かった」と喜んだ。
大技に頼らない“らしさ”で勝った。格闘技で培った寝技や打撃でケアの右ヒザを集中攻撃。最後は武藤が鈴木を足4の字固めで捕獲している間に、右ヒザを極(き)め、ギブアップさせた。
デビュー25年目 船木は20歳で、前田日明が率いた「UWF」に移籍し、格闘技に傾倒。93年には盟友・鈴木と新団体「パンクラス」を旗揚げし、王者として格闘技のパイオニアとなった。00年、当時“400戦無敗”と称されたヒクソン・グレイシーに東京ドーム決戦で敗れて引退。俳優業に打ち込んでいたが、07年大みそかに格闘家として復帰し、昨夏、武藤に導かれてプロレスラーに原点回帰した。
観戦した元舞台女優のいづみ夫人は「表情が生き生きしている」と喜んだ。新日本時代の同期でもある武藤は「20年の空白は痛いが、ベルトでいろんな作品をつくれる」と後押し。船木は「残された時間は少ない。体が壊れるまでやる」と誓った。
(2010年1月3日)