トップ > 中日スポーツ > 格闘技 > 紙面から一覧 > 記事
【格闘技】船木誠勝が世界タッグ王座奪取2010年1月4日 紙面から
◇全日本プロレス後楽園大会▽世界タッグ選手権▽3日▽東京・後楽園ホール▽観衆2100人 船木誠勝(40)が“男”になった。かつてパンクラスを創設するなど総合格闘技のパイオニアとして時代の寵児(ちょうじ)になりながら、その後は不遇の連続で、わらにもすがる思いで昨年8月に全日本入りした船木が、武藤敬司(47)とタッグを組み、鈴木みのる(41)、太陽ケア(34)組に挑戦。ケアの足をクロスヒールホールドで締め上げ、世界タッグ王座を獲得した。船木は“純プロレス”で初めてベルトを巻いた。試合後は「全部のベルトを狙う」と話し、三冠ヘビー級王座など全日本のベルト総なめを宣言した。 武藤のシャイニングウィザードを浴びてフラフラ状態のケアの足を、船木が鬼の形相で締め上げた。開始から26分すぎ。勝てるチャンスはここしかない。10秒、20秒…。悲鳴を上げていたケアがついにギブアップの合図。船木が純プロレスで初めて王座をつかんだ瞬間だった。 昨年8月、全日本と1年契約をかわしてプロレスに本腰を入れた。12月には武藤と組んで世界最強タッグリーグ戦に初出場し、優勝。いい形で1年を締めくくり、満を持しての世界タッグ王座挑戦だった。 だが、全日本入りして4カ月で手にしたタイトル戦は、厳しい戦いとなった。パンクラスの元同門、鈴木と感情むき出しの激しいファイト。大技に免疫のない船木はブレーンバスターやバックドロップなどプロレス特有の大技でたたきつけられ、「気持ちが途中で切れそうになった」という。 ここであきらめたら、復帰した意味がなくなる。「『これじゃダメだ!』と自分で自分に気合を入れた」。気持ちを切り替えて再びエンジン全開。最後は武藤とのコンビネーションからギブアップを奪う快勝だった。 不遇をかこった。パンクラス時代に無差別級王座を獲得し、一時代を築いたが、2000年に東京ドームで行われたヒクソン・グレイシー戦で絞め落とされ、引退を宣言した。その後、甘いマスクで俳優業に転身したものの売れず一時は肉体労働などで生活費をかせいだ。07年大みそかのDynamite!!でリングに復帰、桜庭和志との総合格闘技戦で一本負けし、その後もDREAMで2試合行ったが強い印象は残せなかった。 新日本の新弟子時代の同期である武藤に誘われて純プロレスに復帰した船木はベルトの感触が心地よさそう。「これをきっかけにチャンスがあれば全部のベルトに挑戦したい」と言い切った。最高の初夢。よみがえったサムライが2010年を突っ走る。 (石川晴信)
|