2009.12.26 Web posted at:  19:04  JST Updated - CNN
サイエンス

環境汚染「ワースト1」の街は今――中国・山西省

臨汾の鉄鋼工場。中国当局の汚染防止対策は奏功していない
ヒツジ飼育農家のシュエさんは臨汾の鉄鋼工場の近くに住んでいる

中国・臨汾(CNN) もやに覆われた太陽、どんよりとした空。車も建物もかすんで見える。山西省南部の臨汾(りんふん)市は、06年に世界銀行が発表した報告書で、世界一環境汚染の深刻な街と名指しされた。その後、当局が大規模な汚染防止対策を進めてきたものの、スモッグに包まれた住民の暮らしは相変わらずのようだ。

同省は中国の石炭産業の拠点。その中核となる臨汾には、多くの炭鉱や製鋼所が集中している。

ヒツジ飼育農家のシュエさん(78)が、この街にやって来たのは40年前。大きな工場が建ち始める前のことだった。今、シュエさんのヒツジは、ばい煙を吐き出す煙突の陰で育つ。「工場の近くの草を食べさせると、生まれるヒツジに先天異常が出る」と、シュエさんは訴える。「だが、われわれの声に耳を傾けてくれる人はだれもいない」

環境汚染の「ワースト1」という汚名を返上しようと、当局は過去数年間、環境浄化事業に力を入れてきた。市環境当局者らによると、数百カ所の炭坑や工場が閉鎖された結果、07年の市内総生産(GDP)は約270億円も減少した。

残った工場にも厳格な環境基準が課せられた。近郊のある製鋼所では、約1億8000万円の費用をかけて、汚染物質の排出を抑えるシステムを導入した。煙突には、当局が排出物を監視するための巨大な装置が取り付けられている。

しかし、街を覆うスモッグは今も、住民の生活の一部だ。「われわれにとってはもう慣れたこと」と、シュエさんはつぶやく。「それに、製鋼所は雇用を提供してくれる。私の息子も雇ってもらっている。働く場所があればお金がもらえるのだから、住民も助かる」

外からこの街を訪れた者は、しばらく屋外にいるだけで目やのどが痛み出す。だが路上で風船を売る女性は、上空のもやを気にも留めず、「以前よりはずいぶん良くなったのよ」と、明るい表情で語っていた。

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