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<解説>久米島病院医師退職 離島派遣の仕組みを2009年12月20日  このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 twitterに投稿する

 公立久米島病院の医師3人が退職する問題で、任期満了による退職時期が当初から分かっていたにもかかわらず、後任医師が決まっていないのは、県立病院の医師不足や離島への医師派遣システムがないことが根底にある。
 離島で医師の定着を図ることは難しい。医師にとって離島勤務は住民と距離が近く、あらゆる疾患を診ることができるという利点もあるが、医療の進展に取り残される、手術件数が減り技術が落ちる―などの不安要素もある。
 そのため、1人の医師が長期間勤務することは困難で、ローテーションで派遣するなどの仕組みが必要となる。
 県の離島医療は県立中部病院が担ってきた。しかし、全国的な医師不足もあり、その中部病院も人員に余裕があるわけではない。南部医療センター・こども医療センターも同様で、県立病院からは付属診療所や宮古、八重山病院に派遣するのがやっとだ。
 他県では緊急時でないのに救急を利用するなどの受診行動を改め、医師を大事にするという住民運動で医師が集まっている地域もある。地域医療を守るには病院だけの努力ではなく、地元自治体や住民も共に医師にとって魅力的な環境をつくることが不可欠だ。
 また、県内には県立病院、琉球大、民間病院という三つの臨床研修グループがあり、全国から多数の若い医師たちが集まる。その医師たちは離島医療に興味を持っているという調査結果もあり、若い医師たちの興味を離島勤務に結び付けるための仕組みづくりも必要だ。
 同時に、若い医師を指導する中堅クラスの医師が働きやすい環境をつくり、本島中核病院の充実を図ることで医師の流出を防ぐ対策が県には求められる。
(玉城江梨子)


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