名古屋完敗…吉田“ラストゲーム”飾れず 天皇杯
<G大阪4−1名古屋>視線を背けることはなかった。スタンドと陸上トラックを挟んで、わずか数十メートル先の壇上で歓喜に沸くG大阪イレブン。自分が立っていたかもしれない舞台をDF吉田は凝視していた。
「シナリオ通りにはいかないというか、甘くはないということですね。ごめんなさい。勝ちたかったけど、すいません」
悔しくて、悔しすぎて涙も出なかった。この試合を最後にオランダ1部VVVフェンロへ移籍。有終の美を強く願っていた。そして、その栄光は自身の横をすり抜けていってしまう。後半32分だった。MF遠藤に入った縦パス。クリアしようとスライディングするも逆に一発でかわされて決勝点につながった。「あそこで決めてくるのが代表選手のすごいところ。うまかった」。素直に脱帽するしかなかった。世界が認めたDFも、一度も日本一のタイトルは手にできなかった。
だが3年間のキャリアが色あせることはない。プロデビュー戦となった07年3月21日のナビスコ杯・甲府戦。DFラインからの縦パスを相手FWに渡してしまった。それでも果敢に再挑戦。その姿勢を当時のフェルフォーセン監督に認められ、レギュラーへの階段を駆け上がってきた。08年には北京五輪に逆転選出。09年はアジア杯最終予選イエメン戦の日本代表にも選ばれ、2日に敵地へ旅立った。そのままオランダ入りし、フェイエノールト戦(24日)でのデビューが濃厚だ。
「早く優勝したい。オランダで?そうですね」
試合後はサポーターからメッセージが寄せられた日の丸をもらった。名古屋で育った9年間の誇りと自信を胸に−。夢の続きはオランダでかなえる。
試合結果
[ 2010年1月3日付 ]
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