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社会

中国残留邦人2世3世の今は 神大教授が調査 

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残留邦人2世から聞き取りを進める浅野教授(中央)とゼミ生=神戸市須磨区大黒町5、市立丸山中学西野分校

 昨年4月施行の改正中国残留邦人支援法で、支援の対象外となっている2、3世の生活実態について、神戸大大学院の浅野慎一教授(社会学)が聞き取り調査を続けている。兵庫・大阪在住の2、3世らの就職難や子育て、1世の介護など取り巻く環境の厳しさを浮き彫りにするのが狙い。年度内にも報告書をまとめ、対策づくりを行政に働きかける。(飯田 憲)

 調査は8月から始めた。浅野教授のゼミで、中国残留邦人問題を研究している中国人留学生が通訳を務め、県内の夜間中学に通う2、3世に低い生活水準、日本政府への要望など約60項目を尋ねる。日本語の読み書きが十分できない人が多く、1人につき最低1時間以上は耳を傾ける。

 戦後の混乱で中国に取り残された残留邦人の子や孫にあたる2、3世は、1990年の出入国管理法改正で日本への定住が認められた。以降、急増しており、その数は1世と合わせ、全国で約10万人に上るという。

 帰国時期によっては、日本の生活に順応できず、「言葉の壁」で就労に困り、非正規従業員として働くケースも多い。ある50代の2世は昨年、来日したが無職のまま。「不況も追い打ちをかけ、ほかの2世も首を切られた」とため息をつく。10代の3世の中には、学校になじめず引きこもったり、非行に走ったりするケースもあった。

 調査を手伝う同大大学院生の孔鳳蘭さん(28)は「高齢化は1世だけでなく2世も同じ。老後の生活や子どもの教育に不安を感じている」と話す。

 残留邦人1世らによる集団訴訟を経て、国は、月額最大8万円の生活支援給付金の支給などを盛り込んだ支援法を施行したが、2、3世は主な施策の対象外だ。

 調査は30人を超えた。浅野教授は「彼らの生活環境は行政も把握できていない。残留邦人をめぐる問題の一つと国は認識すべきだ」と訴える。

(9/10 15:30)


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