更新:12月18日 14:45デジタル家電&エンタメ:最新ニュース
「FF13」と「モダン・ウォーフェア2」にみる物語ニーズの日米差
スクウェア・エニックスの大型タイトル「ファイナルファンタジーXIII(FF13)」がついに12月17日発売された。ハード同梱版も含めて初期出荷が180万本という大々的なスタートである。(新清士のゲームスクランブル) 先週10日に、「コールオブデューティ モダンウォーフェアー2(CODMW2)」が発売になったばかりで、2週に渡って大型タイトルで遊んでいる。そこで改めて実感したのが、ゲームの物語表現における日本と欧米の感覚の違いだ。 ゲームは人工的な世界である。そこにどんな物語を入れ込むか、その物語をどう表現するかは、作り手の選択次第となる。当然、作り手によって大きな差が出る。わかりやすいのが「死」をどのように扱うかだ。ハードウエアの表現能力が向上したことで、その違いがますますはっきりと顔を出している。 ■「CODMW2」の主人公は戦場の駒 CODMW2の一人用プレーモードをやり終えて胸に残ったのは、イラクにおけるテロとの戦いやアフガニスタン増派という“戦争”を抱える米国の社会背景が、良くも悪くも前作以上に色濃く反映されているという印象だ。 主人公となる兵士たちは、自ら何をやりたいという意志を持たない「戦場の駒」に徹する。命令を受けて、それを確実に実行するのがプレーヤーの役割だ。ところが、任務の遂行中に予想外の事件に巻き込まれるため、プレーヤーは体験の意外性を受けることになる。
このゲームでは、複数の主人公がシナリオごとに別々に登場し、戦争が世界に拡大していく状況をプレーヤーに体験させる。中東、米国、ブラジル、北極など、主人公は世界各地で違う作戦に従事している。 物議を醸しているロシアの空港のシナリオがある。テロリストたちはロシアで反米的な世論を喚起させて戦争を引き起こすために、米国人テロリストを装って空港内の一般人を無差別に殺害する。主人公の一人である内定中のFBI捜査官は、意に反してテロリストとともに空港にいる人々への殺戮行為に荷担しなければならない。 このシーンは、米国や欧州でも「残虐すぎる表現ではないか」と問題になった。日本語版ではそもそも機能面で制限がかけられており、逃げ回る群衆に発砲したら即ゲームオーバーという設定が施されている。そのため、プレーヤーはテロリストの行為を傍観して付いていくことしかできない。いずれにせよ、一般市民への発砲という体験をゲームの物語に折り込む時点で、日本とは異質なものを感じる。 しかも、そのシーンが進むなかで、その主人公はあっけなく殺されてしまう。多くの死のなかに、主人公の死も物語として組み込まれているのである。 次ページ>>「FF13」はまったく逆の世界 ● 関連リンク● 記事一覧
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