2009年12月27日

続・ジュヴナイルポルノ考

 引き続き、商業作品を研究中です。
 二次元ゲーム文庫、ドリーム文庫、ドリームノベルズ、そして美少女文庫。各レーベルから1〜2冊ずつ購入して読み進めているのですが……
 
 思っていた以上にひどいですね、これは。
 
 ここまで3冊読み終えたうち、もっともひどいものはこんな感じ。
「はぁあ……ぁはぁあ、さぎ……り、く……ンッ!わ、わたし、狭霧、くん……が……ッ!! 
ふ――ァアッ! nイイイぃぃ――――――――ッ!!」
ビクンと大きく打ち震えた刹那、灼熱の潮汁が膣奥の牝壺から勢いよく噴射された。
 ――びゅぶぅ! ぱじゅぅうっ!! ぶしゅ、ぷしゃしゃぁ――――ッ! ぺじゅぺじゅぺじゅっ!! ぶっしゅ――――――――っ!
 狂おしい熱さに満たされながら痙攣して収縮する膣襞に肉勃起が締めつけられ股間から脳天へと電流が走った。
 ドビュルゥウウッ! ブビュビッ!! ぺじゅっ、ぶびびぶばっ! プチュルッ!! どびゅどびゅどぴゅぴゅっ! ビュビュビュブビャベバブビュゥ――――――ッ!!

 念のため言っておきますが、ギャグじゃないですよ?
 ラスト近くのれっきとしたエロシーンの射精の場面。

 作者や、これが好きで読んでいるという人に訊きたいところですが……
 
 ……勃つんですか、これ読んで?

 私は無理でした(苦笑)。

 エロが売りのレーベルで、肝心のクライマックスシーンで萎えさせてどうするんでしょう。
 じゃあエロ以外のストーリーが面白いかというと、いうまでもなくそちらはもっとひどい。というか、ストーリーなんてないといってもいいレベル。
 エロシーンも擬音と喘ぎ声が派手なだけで、やっていることは普通のセックス。マニアを唸らせるような特殊なシチュエーション、プレイ、アイテムが登場するわけでもありません。
 いったいどんな思惑で作者はこれを書き、編集は出版したのか、ぜひ訊いてみたいですね。
 
 ジュヴナイルポルノは、実はこーゆーのが売れ売れなんでしょうか?
 それとも、このレベルの本も出さなきゃならないほど作家のコマ不足なんでしょうか?
 たしかに、これを書ける作家というのは少なそうですが(笑)。
 
 声とか動きとか、外見上のキャラ萌えとかに関しては、小説ではアニメやゲーム、コミックには絶対に勝てないと思うんですよね。(前述のようなシーンだって、動画ならいちおうは勃つんじゃないかと思いますし)
 なのにわざわざ小説ならではの強みを切り捨てて、他メディアの土俵で勝負しようとしているように感じるのは私だけでしょうか。
 
 強引な設定で最初から最後までただエロエロやっているだけよりも、ストーリーがしっかりした一般向けラノベの中にちょっとした性描写がある方が、私としてはずっとエロく感じます。
 ただセックスシーンのためのキャラなんてダッチワイフと同じで、なにもそそられるものはありません。それよりも、背景や内面がしっかりと描かれたキャラのエロシーンは、思い入れがあるだけにより興奮します。

『普通のラノベ的構成&ストーリー + 要所要所で実用レベルのエロシーン』こそ、楽しめる&使えるジュヴナイルポルノの形だと思うんですけど、そうした商業作品が皆無なのはどうしてなんでしょう?
 まるで売れないのか。
 書ける作家がいないのか。
 だけど、WEBで高評価を得ているジュヴナイルポルノにはそうした作品が多いんですから、商売にならないとは思えないんですけどね。
『〈使える〉電撃文庫』(※富士見や靴でも可)的なレーベルがあれば、売れそうに思うんですよ、私としては。

 しかし、昔は青心社文庫などにそうした作品があったのに今はないということは、やっぱり売れないのでしょうか?
 それとも単に、あれは個々の作品のレベルが低かっただけでしょうか?(たしかに、それほど出来のいい作品はありませんでしたが)
 青心社文庫自体がマイナーレーベルで、非エロ作品もさほど売れていたようには見えないので、なんともいえませんね。

 エロゲーでは、ストーリー重視の泣きゲー的ジャンルの作品も売れているんですから、小説だけがただエロゲのエロシーンのテキストをつなぎ合わせたような作品ばかりというのが腑に落ちません。
 この問題に関しては、いずれまた触れてみたいと思います。
posted by やまねこ at 01:06| Comment(5) | 小説
この記事へのコメント
当たり外れが大きくて、外れを引いてしまった可能性があると思います。
それはそれで品質管理が出来ていない編集部に問題があることになりますが。
理論的には、続編が出ているシリーズ物の一作目とか、何冊も出版している作家の初期作なら当たりの可能性が高いのでは。
個人的には二次元ドリームノベルズが評価高いです(同じ二次元でも文庫はダメ)。作家で言えば黄支亮、斐芝嘉和とか。相性があるだろうから絶対では無いでしょうけど。
Posted by 通りすがり at 2009年12月29日 13:38
フランス書院ナポレオン文庫はこういったジュブナイルポルノに当たるかと思いますが(漫画調のイラストが付いているので)、そこから出ている鳥山仁氏の小説3冊は話の構成も非常にしっかりしていて、そこらへんの一般小説よりもよほど出来がいいですよ。
すでに3冊とも絶版ですが、機会があればぜひ。
Posted by neko at 2009年12月30日 06:59
個人的には、美少女系の文庫なんですが、値段が 1000〜1200円ぐらいに
なっても良いからもっと挿絵のページが増えないかな、と思います。
とくにエロ系は。
やっぱ「美少女」がウリなんでね、もっとビジュアルでも楽しめる感じに
して欲しいですね。
数ページごとに挿絵(小さいカットを含めて)があれば、眺めても
楽しい作りになって美少女マンガとも一味違う臨場感(リアリティ)が
楽しめそうな気もします。
自分はエロゲや美少女マンガは良く買いますが、美少女系文庫は買わない
のですが、もし大幅に挿絵が増えた美少女文庫が出てきたら買うかも
しれません。
美少女文庫シリーズでそういうのが出てこないかな。
それなりに売れそうな気もするのだが。。。
Posted by 通りすがる野良 at 2009年12月30日 09:48
いわゆる「データベース消費」ではないでしょうか。
実際にライトノベル方面であっても、絵が可愛いから買う、絵が微妙だから買わない、という話はよく聞きます。本の挿絵を描くイラストレーターさんは、大御所であればスケジュールが数ヶ月前から埋まってることもあるでしょうし、オファーだけは早めに取っておく、と言うこともあるのではないかなと思います。
イラストレーターさんの描いたCGだけでは、あまり商業的に売れないはずですので、その《付加価値》として、《小説》を付け加えているだけではないのか、というのが僕の見解です。10センチくらいあるオモチャがメインで、数粒のラムネが入ってるだけの食玩を思い浮かべてもらうと分かりますが、ジュブナイルポルノにおいて《小説》の持つ価値は、ラムネくらいのものじゃないのでしょうか。

僕ですと、割と好きな作家さんなどもいて、その人の作品を一点集中で買う感じですので、あまり幅広くないのが問題ですけど、「絵を売るための小説」として扱われることも多い気がします。これはまあ、ライトノベルというジャンルが生まれた時から孕んでいた問題なのですが。
ここからは完全に推測ですが、ジュブナイルポルノ読者のほとんどが、「物語」を求めていないのではないでしょうか。
よくエロゲの小説版、などと言われますが、この両者にはもはや、越えられない壁が存在しているように実感しています、エロゲはストーリー>エロ、という進化を続けているのに対し、ジュブナイルポルノはエロ>ストーリーという進化を選んだというか。
ジュブナイルポルノは、いわばAVのようなもので、抜けるシーンだけをザッピングするように読んでいくことが目的とされ、消費されているように思えます。
だからこそ、ジュブナイルポルノにおいては、「ビジュアル的でない《美少女》」を効率的に登場させ、その「ビジュアル的でない《美少女》」とのセックス描写をより濃厚に描くことが求められるのではないかと思います。でなければ、やまねこさんの仰るとおりで、『ただセックスシーンのため』に作られた、『ダッチワイフと同じ』ようなキャラがまかり通るのではないでしょうか。

揚げ足取りではないのですが、通りすがる野良さんの仰る『やっぱ「美少女」がウリ』であることが、最大のネックなのではないか、と思います。『もっとビジュアルでも楽しめる』ようにすれば、それは必然的に小説である必要性を失っていく……その、途中経過が今の惨状なのかも知れません。
決して通りすがる野良さんの楽しみ方を否定するわけではなく、むしろ、大多数の読者の意見を率直に述べてくださったようにも思えるので、引用させていただきました。

最後になりますが、僕自身はそんじょそこらのジュブナイルポルノよりも、やまねこさんの書かれる小説の方が好みです。そして、ジュブナイルポルノよりもむしろ、エロゲのシナリオに向いている作風だ、と思いながら読んでいます。どちらの方向性を取るか(というか、そちら側にいかれるかどうかも定かではないのですが(笑))は、やまねこさん自身が決められることでしょうから、あくまで外野の意見として聞き流してもらって構いません。
だらだらとした長文、失礼しました。
Posted by きまいち at 2009年12月30日 20:20
>通りすがりさん
外れを引いてしまったというか、普通に引けばほぼ外れですよね。
当たりの確率はLOTO6級でないかと思いはじめているところです(笑)。
なにしろ恐ろしいことに、前述の例文の作家でさえ、あれがデビュー作ではないんですよ。なので、複数出していれば安牌というわけでもなさそうです。
Dノベルズは、今のところD文庫よりはマシかな、という印象です。ただノベルズは、いわゆる『二次元エンド』が受け付けませんねー。
挙げていただいた作家は、機会があったらチェックしてみようと思います。


>nekoさん
ナポレオン文庫の頃は、今と比べれば比較的ちゃんとした小説の体裁をとっていた作品が多かったように思います。
その後どんどんストーリーや構成がおざなりになり、文章がヘタになり、ヘンな擬音が増え、ただやるだけの展開になって現在に至る……と。
やるだけ展開は編集部の方針かもしれませんが、文章自体が遙かに下手になっているので、当時に比べれば作家の平均レベルも低下しているのでしょう。


>通りすがる野良さん
今のクソ駄文に挿絵を増やして1000円にするくらいなら、同じ価格の成年コミックの人気作を買った方が、楽しめるし実用性も高いと思います。
今の原稿料と印税のシステムを考えると、人気のあるマンガ家やイラストレーターはやらないでしょう。まるで割に合わないですからね。
絵で売れるくらいの絵師であれば、同人誌作ってた方が遙かに儲かりますよ。


>きまいちさん
一般レーベルのラノベはともかく、今のジュヴナイルポルノの多くは、絵で売ろうとしているとも思えないんですよね。
無名の、ド下手なイラストレーターが使われている例も多いですから。
絵師も作家も、人気と実力のある人の多くは、今はゲーム(含ヴィジュアルノベル)主体で活動してるんじゃないでしょうか。

読者が「物語」を求めていないという説は私も考えましたが、それだけとも思えない部分もあります。
実用性を考えるなら、コミックやエロゲ、AVの方が確実に上です。価格差があるゲームやAVはともかく、読者がコミックではなく小説を選ぶ理由が弱いように思えます。
おそらく、作家の質の低下、わかりやすいエロを求める読者の増加、短期的視点で手軽に売ろうとする制作側の事情等の複合要因の結果が今の状況なのではないでしょうか。
ただ、このままの路線だとこの業界に未来はないんじゃないかと思いますね。

私自身が書きたいのは、やっぱり『ゲームシナリオ』ではなくて『小説』なんですよね。台詞よりも、地の文を書く方が好きですし。
あと、エロゲ1本分のシナリオは文庫書き下ろしよりもテキスト量が何倍も多くて面倒くさいという問題もありますが(笑)。
なにより、ゲームシナリオは分岐がある点が受け付けません。
小説を書く時には、ありうる無数の展開の中から「これが最良」というルートを見つけ出して作品として仕上げるのですが、その『ボツにした展開』まで完成作品に含まなければならないというのが苦痛なのです(苦笑)。
Posted by やまねこ at 2009年12月30日 23:00
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