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キャンパる・大楽人:古代エジプト美術館館長・菊川匡さん

 ◇大学院生として遺物分析も--菊川匡さん(44)

 「世界の美術館のスタンダードを目指す」。7月に東京・渋谷に開館した古代エジプト美術館。館長の菊川さんは熱く抱負を語る。「展示品は一流。でもエジプト考古学をよく知らない人や、お子さんにも来てほしいんです」とコンセプトも斬新だ。来館者一人一人にスタッフが説明したり、「宝探し」のようなアトラクションもある。ミイラやマスクなど1000点以上を所蔵し、その一部を展示している。

 その菊川さん、実は理系出身。金融工学の専門家として数々の外資系証券会社を渡り歩いた。「リポートを書くたびに相場がその通りに動くんだ。面白かったけどその半面、怖かった。だからストレスもたまったよ」

 10年ほど前に偶然、古代エジプトの遺物が日本でも買えることを知りコレクターとなる。「不景気でみんなお金がなくてね。いろんな人が自分のコレクションを手放すんだ」。海外在住の少年時代、親に連れられ遺跡や博物館を回った記憶がよみがえった。

 しばらくして考古学試料の分析を専門とする東京理科大学の中井泉先生に出会う。縁は自身のコレクションを分析用に貸したこと。しかし、そのうち社会人ドクターとして中井研究室に入らないかという話になった。「そこからが大変でした。修士卒レベルの論文の作成から研究計画書の作成まで、入学後もさすがは厳しいことで有名な大学です」。現在は美術館の運営の他に遺物分析の研究もこなし時には海外へも足を運ぶ。

 将来の目標はと聞いた。「各地で移動展を開くことかな。もっと多くの人にコレクションを見てほしいから」。菊川さんの目には力がこもっていた。【東京理科大・五十嵐亮平】

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 ■人物略歴

 ◇きくがわ・ただし

 88年、早稲田大理工学部卒。ゴールドマン・サックス証券などを経て09年4月から東京理科大大学院総合化学研究科で学ぶ。

毎日新聞 2009年12月11日 東京夕刊

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