■離・転職急増、14万人超える
介護が原因で仕事を失う人の数は増え続けている。総務省によると、2006年10月から07年9月までの1年間に、家族の介護や看護を理由に仕事を辞めたり転職したりした人は約14万4800人。97年10月からの1年間に比べ、6万人近く増えた。
一方、厚生労働省の07年の調査では、同居の家族を介護する人の4割弱が40代と50代。介護の担い手としては少数派だった男性も全体の28.1%に達し、01年調査時の23.6%から増えた。
昨秋以降の急激な雇用悪化で、10月の有効求人倍率は0.44倍、正社員では0.27倍と低迷。安定した仕事を見つけにくい状態が続く。介護生活を続けながらの再就職は元々ハードルが高いが、不景気がそれに追い打ちをかける。
介護のプロに家族を託して働こうにも、介護保険の施設は順番待ちの待機者があふれる。生活保護は預貯金や資産、扶養義務などの審査が厳しく、特に現役世代は利用しにくいと指摘されている。(十河朋子、清川卓史)
〈「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」事務局長の津止(つどめ)正敏・立命館大教授(地域福祉論)の話〉 少子高齢化や非婚化などによって家族のあり方が変化し、働き盛り世代が家計を支えながら介護を担う時代になった。介護を機に離職して収入が激減し、残業や出張ができないことで再就職もままならない。期間やサービスが限定された介護休業制度や介護保険制度では不十分だ。介護による貧困を食い止め、安心して介護ができる生活をどのように支えるか。行政や企業、社会全体が多方面から模索する必要がある。