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F11-1F タイガー  (ハセガワ 1/72)   

by 厚木の助さん        。
 厚木の助でございます。先月は横田の角さんに助っ人を お願いいたしました。なんでも 角さんは次回はF-32にすると のたまわっております。しかし、こういうことを言ってはなんでございますが、最新鋭機というのは ブスでございますねえ。 
 メンクイの助といたしましては、今月のお題には 世界初の超音速艦上ジェット戦闘機 F11-1F タイガーを取り上げてみたいと存じます。 
 タイガーは エリアルールを適合したコンパクトな胴体に、35度の後退角をもち、それはそれは ボディコンのオネーチャンの佇まいがございます。
 1/72では ハセガワからロングノーズ型が1970年代に発売されたに過ぎず、実機の人気がなぜかイマイチなので、リメイクモノにはお目にかかることが できておりません。
 ハセガワのキットは 発売当時の世相を反映し、可動部が一切無く、端正シンプルなフォルムです。薄い、凸ボリのパネルラインだけの表面は、のっぺらで 弥生土器を思わせます。
 同時期に発売された F9パンサーが、全面凹ボリのパネルラインだっただけに、凹ボリを期待したファンを 少しがっかりさせたものでございました。



■ 実機について

 もう50年以上前のことゆえ、ご存知の方は少ないとは思いますが、F11タイガーはグラマンが1950年代に世界で初めてエリアルールを適用して設計し、海軍に送りだした後退翼ジェット戦闘機でありまして、クルセーダーに取って代わられる前、空母に搭載され、世界の警察官の役目を果たしておりました。
 しかし、J65エンジンの推力不足に泣き、就役が1957年と遅れ、結局、計201機が生産されたにすぎません。4年後の1961年には全機が 実戦VFから姿を消しました。就役期間が短く、厚木にも配備されたことがないため、地味な印象は拭えず、日本では あまり人気が無いのは残念なことです。
 厚木には VF-111 Sundowners が1960年1月、61年2月の2回、CVG-11ハンコックのWest Pacツアーに同行して訪問しており、当時のテールコードは NHでありました。 
また、生産数が少なかったため、海兵隊までは手がまわらず使用されておりません。

生産はプロトタイプが3機。ショートノーズ型が39機。こちらは機首に空中空油プローブを固定装備しております。

生産の主力はロングノーズ型となっています。
 レーダーベイのスペースを確保するために、コクピット前スペースを大型化したロングノーズ型が157機生産(Bu.No.141728~141884)されました。 空油プローブは廃止され、翼付け根前縁に小さなフィレットが追加されています。
 しかし、予定した大型レーダーは結局搭載しなかったので、「張子のタイガー」となっております。
 機首先端の黒ネオプレン塗装部が非常に小さく、塗装が禁止されているはずの機首レドームになぜ大きなタイガーシャークを書くことができたのか?これが謎の答えでありました。





 タイガーの主翼の後縁はすべてフラップ。翼端のものはトリムトリマーで、横操縦にはスポイラーを用いております。
 水平尾翼は 昇降蛇つきですが、通常飛行時は水平安定板にロックされ、全面可動のスタビレーターとして動くようになっています。
 垂直尾翼の方向蛇の後縁はかなり分厚く、(上18mm,下36mm)なまくら後縁と呼ばれるものであります。1/72では上0.3mm,下0.5mm換算です。
 フラップと昇降蛇も程度の浅いなまくらでありますが、5mm程度ですので、1/72換算では0.07mmとなり指が切れそう。「なまくら」という言葉をナンパという言葉と勘違いして惑わされると、ころっとだまされて 後で大変なことになります。ここはひとつ、お気をつけて下さいませ。 
また、あまり 知られていないことですが、空母に適合させるため、主翼端が下にダランと折りたたまれるのです。 といっても心配しすぎで、エレベーターには折りたたまずとも、さらっと 入ったようでございます。
20mmGUN 4丁はインテーク下にぶら下げております。

小生はニューヨークのイントレピッドの甲板上で、今世紀に入り 初めてご対面いたしました。VF-33のF11-1(AF-210 Bu.141783)でしたが、タイガーという名前に似合わず 非常にコンパクトな戦闘機でした。そのコンパクトさは ハリアーと同じ大きさ というと判っていただけますでしょうか。
 近くで見るそのフォルムは、同じエリアルールの代表 F105Dサンダーチーフのコカコーラボトルのような豊満なオケツというわけでありません。しかし、こちらのタイガーも、小さいヒップでありますが、エリアルールの味付けが しっかりされております。 どうも グラマラスに見えないのは コクピットからエアインテークあたりの胸の膨らみが小さいからのようです。 サンダーチーフがマリリンモンローの成熟した大人の魅力とすれば、こちらはオードリーヘップバーンのローマの休日、乙女の恥じらいといったところでしょうか。 この辺りは実物におさわりしないと 合点が行かないことでございましょうね。 

 前置きが長くなりましたが、それでは キットの製作にまいりましょう。





■ コクピット

■ レドーム 胴体とエアインテーク

 いたってシンプルなコクピットになっており、計器板と操縦桿をつければ出来上がりです。おもりは釣り用を粘土でとめて放り込んでおきました。 シートは ちょうど ソフトメタル製のマーチンベーカーの残りがありましたので、それにフェースカーテンをつけて 使ってあります。  レドームの丸いような、丸くないような絶妙なとがり具合が顔つきのポイントでございますゆえ、鼻先を慎重に削ってまいりましょう。胴体を貼り合わせ、エアインテークと主翼をつければ、形はできてしまいます。  エアインテークと胴体のつながりは このキットの肝ゆえ、500番のトキパテを塗りたくって、一日おいて 落ち着いてから、スムーズにスムーズに削ってゆきます。足らない所は瞬間接着剤を盛ります。




■ 主翼

■ 塗装

 主翼の後縁は 少しダルですので、直線になるよう、小田原カマボコ板に耐水ペーパーを貼り付けた 手製やすりで ここはビシッと決めてやりましょう。 といいつつ 小生の腕では切れ味はまだまだでございます。ここで スジボリをするか否か 乙女にプロポーズを申し込む心境でありますが あいにく 郷に妻が待つゆえ、今回はパスさせていただいております。  塗装は1950年代後半の機体ゆえ、少し古ぼけた雰囲気が大事であります。このため、塗装は 今回は No.11 ガルグレーと No.62 オフホワイトを使っております。 
 レドームは黒つやけし。主翼舵面はフラップとスポイラーがインシグニアホワイトです。
垂直尾翼エッジに黒つやけし部分がありますので、お忘れなく。この時代のJET戦闘機の翼前縁はシルバーコートがされています。
  デカールは 我が家のデビスモンサンのモスポールを30年ぶりに解凍したものゆえ、バラバラ事件の心配があり、使う前にマイクロのフィルム液をとりあえず塗って置きました。デカールを貼り、デカールが落ち着いた後、透明部をカミソリで丁寧にきりとっておきます。最後に 保護のために、セミフラット(半ツヤケシ)を 軽く吹きつけてあります。 
 アクセントをつけるために、舵面など可動部のみに、茶黒系のエナメルでごく軽くスミを入れておきました。 



■ 脚など

 

 脚は可もなく、不可もなくといったところですので、そのまま くっつけておきました。キャノピーは透明度と形状はよいので、慎重に窓枠を塗装します。 脚カバーの断面はRED。

アレスティング フックは 白黒の縞で塗りわけとなっています。
主翼の武装は 今回は取り付けず、クリーンな状態としてありますが、お好みで 派手に やっちゃってください。





■完成した佇まい

 

 前脚が短いので、スカイホークよりも近い距離にレドームがある。そんな感じでございます。タイガーは ビシッとしているようで、どこかヤボ、年齢不詳ののボデイコンネーチャンの佇まいが出れば、大成功であります。 今回はマイクロデカールの出番がございませんでしたが、実は 2枚ほど、はるか昔にGETして 真空パックされております。いつか、こちらのマイクロにも出番を与えてやらねばと 夢を描く 助でございました。   次回は 角さんが F-32をやりたいと のたまわっております。 
それでは今月は この辺りで失礼いたします。








Vol.3 2009 Apr.        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
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