吉田、ボロボロの勝利　次戦で引退へ…Ｄｙｎａｍｉｔｅ！！

　◆Ｄｙｎａｍｉｔｅ！！▼雷電杯ＳＲＣルール５分３Ｒ　○吉田秀彦（判定　３－０）石井慧●（３１日・さいたまスーパーアリーナ）　総合格闘技デビューを果たした北京五輪柔道１００キロ超級金メダリストの石井慧（２３）＝アイダッシュ＝はバルセロナ五輪７８キロ級金メダリストの吉田秀彦（４０）＝吉田道場＝に判定負け。

　勝利から１時間半後。会見に臨んだ吉田は「次の試合が決まれば最後になるんじゃないかと思う」と次戦での引退をほのめかした。

　石井との金メダリスト対決は、本来ならこの日、「ＳＲＣ（戦極）」として有明コロシアムで行われているはずだった。しかし、決戦の舞台が「Ｄｙｎａｍｉｔｅ！！」へと移り「有明なら（石井戦で）最後にしようと思っていたが、魔裟斗選手の最後に水を差すわけにはいかない」と０９年限りでの引退を撤回。３月に予定されているホームグラウンド「ＳＲＣ」の興行を、総合格闘家として最後のリングにするつもりだ。

　４０歳の肉体は、すでに限界を超えている。試合後の会見には「２回にストレートを打った時に足が流れて、左太ももがブチブチッと肉離れした」と左足を引きずりながら登場。２回終盤には、石井の左ひざ蹴りを下腹部に食らい「うぁ～！」ともん絶。「ファウルカップが半分にへこんでいた。痛かった」と顔をゆがめた。勝者の姿はボロボロだった。

　「打ち合いになれば勝負できるなと思っていた」。打撃で１７歳下の石井を圧倒した。１回１分４５秒、左ジャブのフェイントから右オーバーハンドでダウンを奪うと、２分過ぎには左ひざを石井の顔面に打ち込み流血させた。石井に対しては「（自分の）いいパンチが入っていたけど、タフだなと感じた。経験を積めばいい選手になる」とエールを送った。

　０２年８月のデビュー戦から１７試合。完全燃焼した柔道王は、あと１試合でリングを去る。