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◆Dynamite!!▼雷電杯SRCルール5分3回 ○吉田秀彦(判定 3-0)石井慧●(31日・さいたまスーパーアリーナ) 総合格闘技デビューを果たした北京五輪柔道100キロ超級金メダリストの石井慧(23)=アイダッシュ=はバルセロナ五輪78キロ級金メダリストの吉田秀彦(40)=吉田道場=に判定負け。1回、相手の右オーバーパンチを食ってキャンバスに両手をつき、2回には自身が放った左ひざ蹴りが相手の下腹部に入って1点減点されるなど、いいところなく敗れた。勝った吉田は次戦での引退をほのめかした。この日で引退する魔裟斗(30)=シルバーウルフ=はアンディ・サワー(27)=オランダ=に判定勝ちし、有終の美を飾った。
うちひしがれていた。「勝者、吉田」のコールが会場に響くと、石井はグラブをつけた右手で顔を覆った。視線を宙に泳がせながら控室へ。試合後の会見には出席せず、代わって事務所関係者が対応。「精神的ショックとけがのダメージが大きい。黙って座っていた。このあと病院に行く」と、けがの個所は明かさなかったが、心身ともにダメージを受けた。
プロは甘くなかった。1回、ワン・ツーを放ってペースをつかもうとしたが、総合格闘技でもまれている17歳上のベテランの前にペースをつかめない。右オーバーパンチを顔面に食らうと、両手をバッタリついた。2回には左ひざ蹴りが吉田の下腹部に命中し1点減点。効果的なパンチ、キックもなく、3回でグラウンドになったのはたった2度で、寝技勝負にも持ち込めないまま。傷だらけの相手を倒すことができず、4万人を超すファンが集まった注目の一戦は消化不良のまま終わった。
08年の北京五輪後、1年以上を経ての総合格闘技デビュー。関係者からは「時期が遅い。デビューするなら五輪の年にしなければ」という声も聞かれたが、強くなるために自分の考えを貫いた。「所属するのがイヤで柔道をやめた。長く続けるためにはマイペースで」。一人で武者修行の旅に出た。総合格闘技の本場・米国では、ランディ・クートゥア、フランク・ミア、ロバート・ドライステールといった強者(つわもの)のアドバイスを受けたが、打撃、キック、寝技すべてに成果を出すことはなかった。
神頼みはしないという石井だが、11月には豆まきなどで訪れた東京・八王子市の宝生寺を訪れてお参り。この試合にかける思いは強かった。後日、記者会見で思いを口にする予定。「次は戦極で」と3月7日のイベントに出場する意向を示していたが、この日の負傷で微妙になった。石井が目指す人類で最強の“60億分の1”の男になるための道は、険しいものになりそうだ。
(2010年1月1日06時02分 スポーツ報知)
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