来年1月2、3日に行われる第86回箱根駅伝の区間エントリーが29日に発表され、2連覇を目指す東洋大は前回優勝の立役者となった柏原竜二(2年)が2年連続で山登りの5区(23・4キロ)にエントリーした。しかし、17年ぶりの総合優勝を狙う早大は八木勇樹(2年)、前回13位からの巻き返しを図る駒大も深津卓也(4年)を5区に配置するなど、ライバル校もそろってエース級を投入。勝敗を分ける山登りで「新・山の神」の独走を許さない戦略を立てた。
覇権奪回を目指す有力校が“柏原包囲網”を敷いた。大学駅伝3冠を狙う日大こそ最強留学生のダニエル(4年)をエース区間の2区に配置したものの、早大、駒大、山梨学院大など総合優勝を狙うチームはエース級ランナーを5区に配置。前回、8人抜きで東洋大を初優勝に導いた「新・山の神」にガチンコ対決を挑む。
06年に区間距離が20・9キロから全10区間最長の23・4キロに延びて以来、山登りでは毎年首位が交代している。今季五千メートル日本学生1位の八木を5区に抜てきした早大の渡辺駅伝監督は、山の重要度を「全体の9割」と話した。絶対的エースの竹沢(現エスビー食品)を擁して臨んだ前回大会も、柏原と4分58秒差のトップでタスキを受けた5区の三輪が区間13位に沈んで逆転を許した。「竹沢がいようが(前回2区で区間新を樹立した元・山梨学院大の)モグスがいようが、山の神様がいれば勝てるんです」。指揮官は今月上旬に「こいつ(八木)と山で心中する」と決断。1区に前回区間賞の矢沢(2年)、2区には駅伝主将の尾崎(4年)を置き、往路に勝負を懸ける。
2年ぶりの総合優勝を目指す駒大も、4年生カルテットのうち3人を往路に配置。星を1区、宇賀地を2区、そして一万メートルでチーム2位の深津を5区に起用。前評判の高い山梨学院大も、柏原対策として10月の出雲駅伝5区で区間賞の大谷康(4年)を5区に置いた。
一方、東洋大の酒井監督は2区に準エースの大津(3年)を起用し「勝負できる位置で柏原にタスキを渡したい」作戦。2年連続で柏原が伝説を作るのか。それとも、新たなる「山の神」が降臨するのか。いずれにしても5区が総合優勝のカギを握る。
<東海大 村沢を2区に抜てき>スーパールーキー村沢を2区に抜てきした。高校時代には長野・佐久長聖のエースとして全国高校駅伝で優勝し、大学進学後も10月の箱根駅伝予選会で個人トップになるなど成長。新居監督は「日大のダニエルが走るなら……」と5区の起用も示唆していたが、ダニエルの2区起用が濃厚となったため村沢を同じ区間に配置。「4年間のうちに名前が残るような選手になる」と話す18歳が初めての箱根で爆走する。(スポニチ)
2009年12月30日