朗読CD『続・ふしぎ工房症候群 EPISODE.3 「いのちの期限」』




――朗読CDには初挑戦だったそうですね。


小野  昔、出版社でアルバイトをしていたんですけど、その時に朗読CDの収録現場で、朗読内容のチェックをするという仕事をしていたことがあるんです。当時、橋爪功さんとかベテランの方が朗読されているのを聴いて、朗読という仕事は最終的に役者というものを突き詰めていったうえでやるものなんだろうな、と感じていたんです。声1本で物語を表現する……いろんな役者と絡みながら表現するのがアフレコなら、朗読はひとりで物語を紡ぎ出していくもの。それは声優の仕事としてとてもやり甲斐のあるものだと思うんです。そんな憧れの仕事、朗読に今回挑戦することができて、すごく嬉しかったです。

――ストーリーは、余命半年を宣告された主人公が残り少ない時間をどう生きていくか……というものでしたが演じられての印象は?

小野  主人公が僕にとても近いんですよね。仕事にも慣れてきた頃で結婚もして、これから人生が波に乗ってくるという時期で。もし今の自分が主人公のようにどん底に落とされたら、果たしてどう考えるんだろう、と自分に置き換えてみたり。僕自身、最近お世話になった事務所の先輩の死に接して、じつは僕たちは死とすぐ隣り合わせで生きているんだなと感じることがあったんです。主人公は死を前にしてもがきながらも一生懸命生きたいと思った、自分のためというより家族のために……それは人としてまっとうな生き方なんだなと感じます。だからこそふしぎ工房の女の子も彼に力を貸してくれたのかな、と。僕も彼のようにカッコ悪いくらいもがきながら生きたい、と思いましたね。彼が最後に家族に「ありがとう」と告げるシーンがとても印象的でした。これまでのことがあったから言えた言葉。とても重いんだけど、このシーンがあるからこの物語を締めることができたなって思います。

――朗読で演じる、ということで特に意識されたことは?

小野  アフレコでは、セリフで足し算=味付けをすることを考えるんですけど、今回は、ナレーション=“地の部分”に主人公の思いの流れがあるので、合間に出てくるキャラクターのセリフの部分は、殊更に声を変えたりはせず、少しニュアンスを変えて、状況をきちんと説明するものになれば、ということを考えました。やっぱりアフレコとは違うんですね。とても勉強になりました。僕ら若手が朗読という仕事を経験できるのはなかなかないことなので、本当に力が入りました。ぜひ多くの人に聴いていただきたいです。


撮影/廣瀬武弘 取材・文/加屋野ひとみ








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