きょうのコラム「時鐘」 2010年1月1日

 2010年が明けた。久々の雪の中で迎えた正月である。白い世界が広がる凛(りん)とした寒さと静けさに、身が引き締まる

21世紀もはや10歳児になった。平成は22歳の青年期に、戦後は65歳の老熟期を迎える。時代の節目であり、成長の芽を寿(ことほ)ぐめでたい年の始まりだが「門松は冥土の旅の一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし」の感じがしないでもない

明日の日本を夢見て、復興に汗を流した戦後の昭和20年から40年ころまでの高度成長期の歳月と、平成に入って足踏みの続くこの20年余がとても同じ20年に思えないからである。成長と発展の歴史的価値までを目減りさせる平成デフレに歯止めをかけたい

一里塚も様々である。社会の成長を刻む「芽出たい一里塚」もあれば、停滞や失われた空白期を省みる「めでたくもない」のもある。首相の値打ちが下がり続ける政界デフレも深刻だ。価格の下落に歯止めが必要なのは、何も経済だけではない

苦労をして積み上げてきた歳月である。10年先20年先に、2010年が新生日本の芽が出た年だったといわれる確固とした一里塚を立てる年にしたい。