09年の東京株式市場は、日経平均株価が19%超上昇し、昨秋以降の金融・経済危機の混乱から抜け出したことを印象づけた。ただ、年後半は政権交代に伴う経済政策の先行き不透明感やデフレの進行など新たな懸念が台頭して、相場は停滞、海外市場の回復に比べ出遅れも目立った。為替相場も不安定な動きを続けており、年明け以降の相場展開に不安を残した。【田畑悦郎、清水憲司】
09年の世界各国の株式相場が順調に回復したのは、金融危機に伴う世界同時不況を封じ込めるため、各国が量的緩和策など異例の財政・金融政策に乗りだしたのが要因だ。国内では麻生内閣が4月に総額約57兆円の経済対策を決定。景気回復期待で買い優勢となり、日経平均は8月26日に年初来高値の1万639円71銭を付け、3月のバブル崩壊後の最安値から5カ月余りで約50%上昇した。
だが、民主党政権が発足した9月以降は、上昇に急ブレーキがかかった。円高容認とも受け取れる閣僚発言などで外国為替市場で円が急伸。収益悪化懸念が浮上した輸出関連株が売られた。新政権が経済の成長戦略の策定を遅らせたことや大型公募増資が続いて需給が悪化したことも相場の重しになった。
11月20日には、菅直人副総理・国家戦略担当相が「デフレ状況にある」と宣言。しかし、対策は示されず、市場には失望感が漂った。円の急伸も重なり、景気の腰折れ懸念から同27日には日経平均が9000円割れ目前まで下落し、「政策対応を求める催促相場の様相」(大手証券)を強めた。
12月に入って日銀の追加金融緩和策や政府の追加経済対策が決まり、市場は政府・日銀の協調姿勢を評価。株価は反転したものの、8月の高値水準には達しなかった。
世界的に見ても、年間騰落率は中国、インド、ブラジルなどの新興国に大きく水をあけられただけでなく、米欧の主要株式市場も20~25%上昇しており、日本は世界の流れから取り残された。「株価反転の実感がないまま」(大手証券)、今年の取引を終えた形だ。
外国為替市場は円高・ドル安基調が続く1年となった。
円相場は1月、欧州の金融不安の再燃から円が買われ、1月下旬に1ドル=87円台まで上昇。春以降は世界経済の持ち直しから、8月にかけておおむね95~100円台で推移した。
しかし、市場に円高容認とみられた鳩山政権発足後の9月中旬以降は再び円買いが強まり、11月27日には「ドバイショック」も加わり、1ドル=84円台まで急伸した。
12月に日銀が追加の金融緩和策を決定すると円買いは一服。30日の東京外為市場では一時、前日午後5時比55銭円安・ドル高の1ドル=92円26銭と2カ月ぶりの水準に下落した。午後5時時点は同42銭円安・ドル高の1ドル=92円13~14銭だった。
来年の相場をめぐっては、市場の見方は分かれている。大和総研の亀岡裕次氏は米国の利上げが視野に入るとの見方から「ドル高に反転する可能性がある」と指摘する。米国景気の回復テンポが緩やかなら「もみ合いの展開」(三菱東京UFJ銀行の高島修氏)になりそうだ。
毎日新聞 2009年12月31日 11時01分
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