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「在日」テーマに本音、韓国・在日・日本の女子高生ら交流/川崎

2009年12月30日

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輪になって本音をぶつけ合う高校生=川崎市宮前区の市青少年の家

輪になって本音をぶつけ合う高校生=川崎市宮前区の市青少年の家

 韓国人、在日コリアン、日本人の高校生が集まり交流を続ける団体がある。「川崎・富川(プチョン)高校生フォーラム・ハナ交流会」。“韓流ブーム”以前の2000年から草の根活動を展開。年に2回相互の国で行う「合宿」では、歴史教科書、竹島=独島など時事的な問題に向き合い本音をぶつけ合う。25日に川崎市宮前区の市青少年の家で行った合宿で議論したテーマは「在日」。普段は携帯電話を片手におしゃべりする高校生が、心の内をさらけ出し模索した未来とは―。

 寒さが厳しくなってきた夕方。朝9時からスタートしたフォーラムはすでに5時間を超えていたが、高校生たちは真剣な表情で思いをぶつけていた。

 「在日の人は自分が外国人って感じることはあるのかな。それはどんなときに感じるの」

 「韓国では在日についてあまり知られていないし、報道もされない。同じ民族なのに恥ずかしい」

 「日本で生まれて18年。朝鮮人としての誇りはあるけれど、日本人と何が違うのって聞かれるとすぐに答えられない」…。

 戸惑いながらも、自分の気持ちを言葉にして伝える。それはハナが変わらず続けてきたことだ。メンバーの一人である県立川崎高校3年の高橋季子さん(18)は言う。「音楽や趣味を共有することだけが交流とは思わない。仲良くなれるのは、本音をぶつけて歩み寄れたときだと思う」

 そのためには過去の歴史と向き合うこともいとわない。在日コリアンの多くが植民地支配の時代に朝鮮半島から強制連行されたこと、終戦で本国へ帰還する人がいた一方、60万人余りがさまざまな事情で残留したこと、いまもなお就業や進学などで差別を受けていること…。

 フォーラム前に事前研究を行った県立川崎高校3年の山添あおいさん(18)は「在日のことは中学で習った。でも周りに在日の友達もいなかったし、ハナに出合うまで『差別なんてあるの』って疑っていた」と打ち明ける。同じ日本という地に生きながら、どこか遠い存在。そこには知らないがゆえに、偏った考えを持ってしまう恐ろしさも潜む。

 韓国・富川高校1年の南在彦(ナム・ジェオン)さん(15)が言葉を重ねる。「知らないことも多く、変なことを聞いて傷付けてしまうようで怖かった。でも、在日コリアンの友達が正直に答えてくれてうれしかった」。それは、この日話題の中心にいた神奈川朝鮮中高級学校の李慧瑛(リ・ヘヨン)さん(18)も同じだ。「前は『話しても自分たち在日のことは分かってもらえない』と思っていた。でも今は違う。自分たちから歩み寄ることも大事だと思える」

 フォーラムの最後、議論したのは「これから自分たちは何をしていったらいいのか」。韓国人、在日コリアン、日本人。高校生たちは3者を表す3つの大きな円を画用紙に描くと、その中心部、3者が交わる場所にこう書き込んだ。「関心、交流、理解」

 交流会の名前でもあるハナは韓国語で一つの意味。李さんは希望を込めて言った。「民族や国籍を超えて共生していけたら…。難しいかもしれないけれど、実現できると信じている」


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