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非正規も年賀状ノルマ 郵便会社 低賃金「自腹切れぬ」 (12/30 07:32)

 年の瀬で、追い込みが続く年賀はがき販売。郵便事業会社のノルマが正社員だけでなく、非正規社員にも及んでいる実態が社員らの証言でわかった。専門家は労働条件の厳しい非正規社員へのノルマを疑問視している。

 「正社員になりたいが、2千枚のノルマは無理」。道央の郵便事業会社支社に務める30代の男性は疲れ切った表情を見せた。

 郵便物を各支店に仕分ける男性の年収は150万円。月の手取りは約10万円で、ほとんどが家賃や暖房代などで消える。食費は2万円以内に抑え、「ほとんど1日1食」。

 ノルマは昨年より500枚多く、月収と同額の10万円分(2千枚)が当てられた。「友人らに500枚売ったが限界」。正社員は自腹ではがきを買い込む「自爆営業」でノルマを達成するが、男性には「自爆する金がない」。社員らによると、正社員になるにはノルマは必須条件という。

 支店内には全員の販売実績が張られ、重圧の毎日。「待遇は悪いのに会社は責任やノルマは社員と同じように負わせる」と不満だ。

 札幌市内の支店に勤める男性(58)の年収は200万円。2千枚のノルマは達成したが、300枚ほど「自爆」。男性は「未達成で、時給や勤務日数を減らされた人がいた。無理するしかない」。

 非正規労働者に詳しい北海学園大の川村雅則准教授は「不安定雇用と低賃金を強いられている非正規労働者にノルマを課すのは問題」と指摘、「郵政民営化後の労働環境はひどくなり、見直しでは改善が必要」と話す。郵便事業会社によると、道内の非正規社員は4月現在7600人、正社員5千人。同社は「(年賀状の販売枚数は)期待値としてお願いしている例はあるが、ノルマではない」としている。

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