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タイ、モン族4千人の強制送還開始 欧米諸国は批判

2009年12月28日22時11分

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 【バンコク=山本大輔】タイ政府は28日、ラオス政府による「迫害」を訴えてタイ北部に流入し、収容キャンプで暮らしていた4千人以上の少数民族モンの強制送還を始めた。年内に全員を送り返す方針だが、欧米諸国や人権団体は「非人道的措置」と厳しく批判している。

 タイ政府によると、約5千人の兵士を動員し、タイ北部ペチャブン県にあるキャンプから軍用トラックで陸軍施設へ移送。その後、400台のバスでラオス国境へ向かうという。全員を送還するには数日かかる見通しだ。

 モン族はベトナム戦争時に米国に協力してラオスの共産主義勢力と戦い、1975年にラオスに共産政権が発足すると弾圧の対象となった。多くは国外に逃れたが、一部は山間部で抗戦を継続。政府軍の攻勢が強まったことで2004年以降、タイに相次いで集団流入したとされる。

 タイ政府はモン族をキャンプに収容し、ラオス政府と協議。経済的な困窮で流入した「経済難民」が多く、ラオス政府も迫害しないと約束しているとして、今年9月に年内の強制送還で合意した。ラオス政府は、送還されたモン族を国内2カ所に設置した移住施設などへ移し、生活支援をするとしている。

 だが、タイ軍筋によるとキャンプでは多くが「送還されれば訴追される」などとして強く抵抗し、欧米の人権団体も「人道的配慮に欠けた判断だ」と批判。政治難民として第三国に亡命させるようタイ政府に求めてきた米政府も送還を前に、「保護が必要な人たちの強制送還は国際社会の慣例と一致せず、深く懸念する」との声明を出していた。

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