去年12月27日に始まったイスラエルによるパレスチナ自治区・ガザへの大規模な攻撃。29日は1年後のガザの人々の姿をお伝えしましたが、30日はイスラエルの若者たちが抱える複雑な想いを取材しました。
イスラエル軍の基地。まだあどけない顔つきの少年少女が集まっていました。入隊初日の若者たちです。
「少し緊張していますが、しっかりやらなければと思っています」(少女)
「自分たち以外に国を守る人間はいませんから」(少年)
イスラエルは徴兵制の国です。18歳以上の男性は3年、女性は1年9か月の兵役が義務づけられています。入隊して数か月もたてば、最前線の部隊にも配属されます。それは例えば、ガザとの境界です。
1年前、イスラエル軍が大規模攻撃を行ったパレスチナ自治区・ガザ。イスラエルの経済の中心地、テルアビブとは、およそ60キロしか離れていません。しかし、2つの街の光景は、あまりにかけ離れています。
ガザとは対象的な、イスラエル・テルアビブの街の中心部です。多くの若者が集まっています。今、この若者たちの間で静かに広がっている動きがあります。
『私たちは良心的徴兵拒否者です。イスラエル軍での兵役を、拒否します』(インターネットの動画)
徴兵拒否を宣言する若者たち。ホームページに実名を登録した上で、インターネット上に動画を流しています。徴兵拒否者は1年前のガザ攻撃以降に急増。新たな宣言者は、このホームページだけで数百人に上ると言います。
徴兵を拒否した少女たちに会いました。
「イスラエルの十代の若者のほとんどは、何の考えも持っていません。考えずに入隊して軍のすることや方針にも関心がありません。入らなければいけないからそれに従い、思考停止しているのです」(徴兵を拒否したエメリアさん)
正当な理由なく兵役を拒否すれば、繰り返し投獄されることになります。オーアさんはインタビューの前の夜、2回目となる20日間の収監を終えて家に帰ったばかりでした。
「(収監されて)考えが変わったかって?いいえ、むしろ決意は強くなりました。『正しいことをしている』という気持ちが強くなりました」(徴兵拒否者オーアさん)
とはいえ、徴兵拒否は少数です。タールさんはカナダに留学していましたが、兵役のためにイスラエルへ帰って来ました。入隊は当然の義務だと言います。
「これが私たちの国であり状況です。建国以来、人々はずっと兵役をしてきましたし、残念ながら、これからもそうでしょう」(イスラエル軍兵士 タールさん)
『わが子が軍服を着て家にいる』。イスラエルの家庭では一般的な光景です。
「イスラエルに生まれ育った人でなければ、この現実を理解することさえ難しいと思います。しかし兵役は私たちの一部で、受け入れなくてはならない。望んではいません。でもやらなければならないのです」(イスラエル軍兵士 タールさん)
パレスチナ自治区・ガザ。瓦礫の中で、幼い少年が遊んでいました。
「(家を)壊されたんだ。(だれに?)イスラエル兵に」(少年)
若い人々に残酷な現実を強いながら、イスラエルとパレスチナの間の壁はあまりに高いままです。(30日18:14)