亀田大の世界戦めぐり遺恨再燃 金平会長WBA裁定に疑問

協栄ジム選手の挑戦予定が変更に

2009.12.21


金平会長と坂田(左)は、大毅にデンカオ戦を“横取り”された?!【拡大】

 来年2月7日の開催が決まったボクシングWBA世界フライ級王者デンカオセーン・カオウィチット(33)=タイ=vs同級11位亀田大毅(20)=亀田ジム=の世界戦。だが10月の段階で挑戦者は別の日本人ボクサーのはずだった。かつて蜜月関係だった亀田兄弟とは一転、現在は絶縁状態にある協栄ジムの金平桂一郎会長(44)が、この対戦が成立する過程に疑問を投げかけた。

 10月6日に大毅がデンカオに0−2で判定負けした世界戦から、わずか4カ月後のリターンマッチ。大毅側の判定負けへの不服はWBAが却下しただけに、極めて異例の事態といえる。その陰で涙をのんだのが同級前王者の坂田健史(29)。かつて大毅や現WBCフライ級王者の兄・興毅(23)も所属した、協栄ジムの選手というのも皮肉だ。

 協栄の金平会長によると、デンカオ陣営は前回大毅戦の2日前、次の防衛戦の相手として2戦無敗と相性のいい坂田にオファー。

 ここ2試合はスーパーフライ級に転じていた坂田も、「娘にベルトを見せてやりたい」と王座復帰を目指す中、なかなか世界戦が決まらないこともあって、デンカオとの再戦に同意した。

 WBA幹部にもメールで内諾を得た上に日本ボクシングコミッション(JBC)の承認も下り、会場の確保や前座試合の編成も進んでいたが、先月のWBA総会で突如「坂田が最近フライ級で試合していない」との理由で承認されず。坂田がフライ級で1試合した上で、デンカオ−大毅戦の勝者と90日以内に指名試合を行う提案がなされたが、いまだ正式決定ではない。

【「ボクシングが土台から壊れる」】

 金平会長は「そもそも1階級、上下させて世界戦を行うのはよくあること。しかも坂田はフライ級で4度も防衛した実績がある。WBAに異議を訴えてもよかったが、年齢的にも長く待っていられない坂田が『フライ級で1試合やれば次は、というならやります』と言うので、来年2月20日の開催で動いていた。だが挑戦権に何の保証もなくては、試合をやる意味がない」と困惑する。

 背後でどんな力が働いたかは定かでないが、予想外の展開で坂田の世界戦は宙に浮き、大毅の兄弟世界王者への挑戦が既成事実化していった。

 そもそも2005年に亀田兄弟を金平会長が引き取った形でジムに所属させたものの、大毅の内藤戦での反則行為を発端に問題行動が相次ぎ、08年に金平会長は契約を解除。以来、絶縁状態となっている両者がからむトラブルだけに、きな臭いにおいがする。

 「何の落ち度もないよう段取りを踏んでも、こうやってひっくり返るようでは、日本のボクシングが土台から壊れてしまう」と金平会長。日本ボクシングコミッションにも、坂田の挑戦権を明文化するよう働きかける構えだが、金平会長と亀田家との間に再び不穏な空気が漂い始めた。