両国間では05年から、戦時徴用の韓国人の厚生年金などを巡る協議が始まった。韓国側は再三、被保険者名簿の提供を求めたが、日本側はこれまで「被保険者の記録には出身地や徴用者であるか否かの情報はなく、提供は困難」などと回答していた。
ところが、07年に「宙に浮いた年金記録」問題が表面化し、社保庁は厚生年金記録全体の確認作業のため、旧台帳をすべてデータベース化。氏名や性別、生年月日を入力すれば、加入の有無や年金番号が簡単に検索できるようになり、韓国側データとの突き合わせが容易になったという。
戦時中の徴用者の年金を巡っては、社保庁が12月半ば、13歳から14歳まで名古屋市の三菱重工業で働かされ、年金にも加入していた韓国・光州市在住の女性ら7人に対して、99円の年金脱退手当金を支払った。しかし、この対応を女性らは「バカにしている」などと激しく批判し、受け取り拒否を表明。日本大使館前で抗議集会も開かれた。
4727人や追加の照会者の中には、脱退手当金の受給資格者が相当数いることは確実で、日本側の今後の対応次第では韓国内の反発が強まる恐れもある。(三橋麻子、中野晃)