紅白出場の抱負を語る水樹奈々さん=東京都港区
愛媛県新居浜市出身で、声優としても活躍する歌手水樹奈々さん(29)が31日、NHK紅白歌合戦に出場する。当日披露する「深愛」はテレビアニメの主題歌で、1月にオリコンチャート1位を記録した。今や「アニソン(アニメソング)の女王」と呼ばれる水樹さんに新居浜での幼少時代や紅白出場の抱負などを聞いた。
――「深愛」は自分で作詞した歌ですね
昨年10月に父が病気で他界した直後の翌月に作詞しました。恋愛をテーマにしたアニメの主題歌ですが、広い意味で大切な人への思いを込めています。作詞している時、頭の片隅に父がいました。
――ご両親は新居浜市で歌謡教室を開いていました。お父さんはどんな方でしたか
しつけも歌の指導も厳しかった。たたかれることもありましたが、愛情を感じたし、大好きな父でした。11年前に脳梗塞(こうそく)で倒れて以来、亡くなるまで、ずっと入院生活を送りました。帰郷するか迷いましたが、父から「一人前になるまで戻ってくるな」と言われていたので。父の通夜で参列者が帰った後、2人きりになって高峰三枝子さんの「南の花嫁さん」を歌いました。私が幼い頃、初めて覚えた曲です。父には歌でしか、自分の思いを伝えられないと思いました。
――新居浜ではどんな少女時代を送りましたか
恥ずかしがり屋でした。クラスで目立つグループには絶対入らない。家ではおしゃべりだったので、母には「内弁慶」と言われました。でも、人前でもマイクを持って歌う時だけは存分に自分を表現できた。からかわれるのが嫌で、のど自慢に出ても学校では隠していました。
――歌手を夢見て15歳で上京した時の心境は
不思議と不安はなく、むしろ絶対に歌手になるんだという気持ちでした。同級生の中で県外に出るのは私が一番早かったけれど、多くの友人も夢を抱いて上京しています。東予はそういう土地柄なのかも知れません。