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【格闘技】石田 低評価も「KOしたい」2009年12月29日 紙面から ◇WBA世界スーパーウエルター級暫定TWBA世界スーパーウエルター級暫定タイトルマッチの調印式と前日計量が28日、大阪市内のホテルで行われ、暫定王者石田順裕(34)=金沢=は「流れの中でKOしたい」と初防衛に自信をみせた。計量は石田がリミットの69・8キロ、挑戦者オネイ・バルデス(34)=コロンビア=が69・2キロでパスした。また、世界戦を差し置いて、メーンにはデビュー3戦目の井岡一翔(20)=井岡=が登場。「前回より強くなった。KOで勝ちたい」と世界ランカー撃破を誓った。 はかりに乗った石田の顔が険しくなっていく。20秒、30秒…。なかなか体重が読み上げられない。計量パスか、ウエートオーバーなのか。 「石田選手、リミットちょうど! 69・8キロ」 係員の声に、石田は安堵(あんど)の表情を浮かべ、スポーツドリンクを一気に飲みほした。 これが29戦目。一番きつい減量だった。「この4、5日がつらかったですね。固形物を食べられなくて。眠れない日もありました」。ウエートトレーニングで筋肉がつき、体重が落ちない。サウナに2時間入っても、減ったのは400グラムだけだった。そんな“地獄”からようやく解放された。「ごはんを思いっきり食べます。奥さんの手料理のアワビがゆと焼き肉ですね」と妻麻衣さんを見つめ、ニコリと笑った。 王者になって4カ月。気分は晴れない。「暫定」という二文字があり、いまひとつ評価されないイラ立ち。初防衛戦がデビュー3戦目・井岡の前座という屈辱。石田はそんな気持ちをグッとのみ込み、言い切った。 「初防衛戦だからって、いい格好しすぎないように。流れの中でKOしたい。アメリカでしっかりスパーしてきたので、自信をもって戦えます」 石田らしいスピードに乗った左ジャブで翻弄(ほんろう)し、最後は重量級らしく派手にKOする。すべてはリング上で見せればいい−。34歳の王者は決意を胸にリングに上がる。 (森合正範)
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