毎日新聞の全国電話世論調査(19、20日)で、婚姻時に夫婦が同姓・別姓を選択できる選択的夫婦別姓制度の是非について、「賛成」の回答が50%に上った。賛成は女性や若い年代層で多かった。「反対」は42%で賛成をやや下回るものの、賛否が分かれる実態が浮かんだ。93年の前回調査では賛成は26%だった。
選択的夫婦別姓に賛成と答えたのは、男性47%、女性52%。反対は男性47%、女性39%だった。賛成の年代別は▽20代57%▽30代52%▽40代59%▽50代54%▽60代46%▽70代以上29%。20~50代では賛成が過半数を占めたが、60代以上では反対が上回り、高齢層に根強い反対意見があることがうかがえる。
また夫婦別姓が認められた場合、子供の姓(名字)をどうしたらよいかとの設問では、「一定の年齢になったら子供に選択させる」が59%で最多。「父親の名字を名乗る」が22%、「母親の名字を名乗る」は2%、「生まれるごとに名字を決める」は5%だった。
調査は93年12月にも面接で実施。調査手法と選択肢数は今回と異なるが、反対は49%で賛成26%を大きく上回り、「どちらとも言えない」は23%だった。
選択的夫婦別姓を巡る民法改正論議は90年代に本格化し、96年には法相の諮問機関・法制審議会が導入を答申した。自民党内の反対意見などで法案提出に至っていないが、16年経過して賛成意見がほぼ倍増したことになる。千葉景子法相は、早ければ来年の通常国会への法案提出を目指している。【石川淳一】
今回の世論調査結果について、民法改正を求めるNGO(非政府組織)「mネット・民法改正情報ネットワーク」の坂本洋子・共同代表は「別姓は仕事をしている人や結婚で改姓する人が壁にぶつかる問題。そういった切実な当事者ほど、改正を求める声が多いことが分かった」と話す。
政権交代で制度導入に前向きな千葉景子氏が法相に就任するなど機運が高まったとし、11月には国会内で民法改正を求める集会も開いた。「男女平等を実現できるかどうかは、歴史観や人権にかかわるテーマでもあり、政権交代の象徴になる」と法改正に期待する。
一方、八木秀次・高崎経済大教授(憲法)は「現在は職場での通称使用で女性の大半の不便は片づいており、民法を変える緊急性はない。家族制度を揺るがしかねない問題点が理解されているか疑問で法改正の根拠にはならない」と慎重な議論を求めた。【石川淳一】
毎日新聞 2009年12月23日 22時11分